真梨子
羽佐間 修:作

■ 第7章 淫獄2

 真梨子は梶にしがみつく様にして代々木公園を歩く。
 駅での排泄は許されず、代々木公園でしろと強引に連れてこられた。
 迫りくる便意は極限に達し、梶の身体にすがらねば自分では歩けない程だ。
 朝っぱらからお尻を撫でられるままに中年男にしなだれかかり蓮っ葉な商売女に見えているのだろう、散歩やジョギングする人がすれ違いざまに、あからさまに軽侮の眼差しを向けられている事を真梨子は知る由もない。
 公園を歩く間、梶は昨夜の真梨子の痴態を嘲笑う。
「昨夜、誰のチ○ポが一番旨かったんだ? もちろん俺以外でだ。うん?!」
「そんな…」
「正直に言ってみろ」
「……吉野さん…です…」
「くっくっくっ。 そうか」
「じゃあ、一番気持ちが良かった指は誰の指だ?」
「あぁぁぁ… 桑野先生です」
「それじゃ。お前のアナルを一番上手に舐めてくれたのは誰だ?」
「あぁぁぁ… さ、沢田さんですぅ…」
「あははっ。そうか、そうか、あははっ。 とにかく数え切れないほど逝きまくったからなぁ。 楽しかっただろう、真梨子」
「…はい」
「また遊んで貰おうな」
「も、もう、許してください」
「ふふっ。 正体がばれてて今日の会議の席で早速みんなに輪姦されるかも知れんがな。あ〜はっはっ」
「そんなぁ…」
「顔は変装してても、声で判ってしまったかも知れんぞ。 くくくっ。 みんなの前では間違っても逝く〜! とか、気持ちいい〜! とか言わないことだな」
「……」
「おい。もう直ぐだぞ、真梨子」
 顔をあげると、公園の入り口の案内図で見た”丘の広場”の公衆トイレらしい建屋が数十メートル先に見えた。
――ああぁぁぁぁ やっと…
 電車の中で大量の浣腸をされてからもう20分以上が経過し、真梨子の全身は脂汗でびっしょり濡れていた。
「お前のトイレはこっちだ!」
 トイレの入り口の手前で梶が道を反れ、雑木林の方へ真梨子を連れて行こうとする。
――まさか…
「いやぁぁ… 許してください! お願いです!」
「くっくっくっ。 牝犬に相応しいトイレだろうが! 早くしないと腹が破裂するぞ」
「いやぁぁぁぁぁ…」
 茂みに連れて行かれまいとしゃがみ込んで抗おうとすると、下腹部に圧力がかかりとても苦しい。
「さあ、もう少し奥まで行かないと散歩してる人から見えてしまうぞ、真梨子」
「あああぁぁぁぁ ひどい…」
 限界をとうに超えた便意に苛まれ真梨子には選択の余地はない。
 梶と言い争っている余裕などなかった。
 ヨチヨチと木陰に向かって真梨子は歩き漸く歩道が見えない位置まで辿り着いた。
「もっ、もう限界です! お願いですぅぅ… 栓を外してください! あああ早く! さまぁぁ…」
「いいだろう。 但しビデオに向かって 牝犬の真梨子がウンチするところを見てくださいって微笑みながら言えたら栓を抜いてやる!」
「いやああああ  惨いぃぃ どこまで苦しめれば気が済むんですか!」
「おっ、反抗的だな。 別にいいぞ、この鍵を放ってしまってもな」
「きぃあああぁぁ ごめんなさい! おっ、お願いです。 言います! 言いますから! 早くぅ… うぐっ…」

「スカートが汚れるぞ! 脱いでおかなくていいのか? 会社にいけなくなるぞ」
 聞くや否や真梨子は必死でフックを外しファスナーを下げて足元にスカートを落とした。
「お願いします! 取ってください! お願いぃ…」
 梶を見ると既にコンパクトなビデオカメラを構えていた。
 真梨子は生い茂った茂みの影にしゃがみ込み、カメラを向いて引き攣った笑みを浮かべた。
「ま… 牝犬の… 真梨子の… ウンチするところを… 見てください」
「ふふっ。 いいだろう。 カメラから視線を逸らすんじゃないぞ!」
 梶の手がアナル栓に触れ、鍵をさして回転させるとシューっと空気が抜ける音とともに先端部が小さくなってきた。
「さぁ、もう自分で抜けるだろ。 カメラを見詰めながら糞を垂れて見ろ! 一部始終見ててやる!」
 梶がカメラを構えなおして言った。

「あああああぁぁ み、見ないでぇ〜〜〜  お願いです〜〜」
「馬鹿野郎! 見てくださいだろうが! もう一度栓をするぞ!」
 真梨子はアナルのプラグの取っ手部に指を掛け、捻りながら引き出し一番太い部分を過ぎると一気に引き抜いた。
(ズポッ!)
「いやああああああ… 見てえええええええ ああああああぁぁぁ」
(ぴゅる… ぴゅるっ)
 液体が少量飛び出し、一瞬の間が空いた。
(ブッ、ブリッ、ブシュグジュブジュー…)
 激しい破裂音と共に真梨子の腸内で暴れていた大量の浣腸液が勢いよく地面に叩きつけられた。
 そして、朝の習慣の腸内洗浄をしていないので、臭い恥ずかしい軟便が地面に拡がり始めた。
「いや! いやっ! ダメッ〜! 見ないでぇ〜〜〜! ああああぁぁぁ〜〜〜〜 見ないでぇ…」
「あ〜ははっはっ。 澄ました顔してても臭いものは臭いなあ!」
 梶が近付き、真梨子の髪を鷲掴みにして顔を上げさせアップでビデオに収める。
 その間も羞恥の排泄は誰にも聞かれたことがない恥ずかしい音とともにひとしきり続いた。
 梶の手にするカメラは、顔のアップから地面に拡がる排泄物にターンし、液晶モニターにはっきりと映っているのを真梨子は見せ付けられた。
「いやああああぁぁぁぁぁ…」

   ◆

「おはようございます… 皆さん、ごめんなさい… 遅くなりました…」
「大丈夫? 顔色が悪いよ、羽佐間さん… 熱があるんじゃないの?」
 真梨子は朝一番の会議に30分遅れて出席した。
「ええ… 大丈夫です…」
「大丈夫そうじゃないけど、せっかく無理して出てきてくれたんだから手短に終わらそう。 途中で具合悪くなったら言ってね、羽佐間さん」
「はい。 ご心配お掛けして申し訳ありません、秋山さん」
 誰の顔も真梨子には正視できなかった。
――誰も気付いていないの?!
 昨夜、真梨子の身体に群がりヴァギナもクリトリスも、乳首も、そしてアナルまでも愛撫した男達が桑野医師を除いて勢揃いしているのだ。
 恥ずかしくて居たたまれず逃げ出したい衝動に駆られる。
 しかし秋山の声も、吉野の声も昨日の出来事を髣髴させ、真梨子の秘奥は熱く潤み、開放されたばかりのアナルは、ジクジクと甘痒く疼いていた。
「じゃ、昨日までの進捗を報告してください。 では菅野さんから」

 議事は始まったが、久美の声も今の真梨子にはまったく耳に入らない。
『夕べのお前は、本当は素顔でみんなの前で辱められたかったんだろうなあ』
 公園の出口で別れた梶の言葉が真梨子の頭をよぎった。

 真梨子は書類に目を落とすメンバーの顔をこっそりと一人ずつ目で追った。
 その目元はいつしかうっすらと赤く染まっていた。

■つづき

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