真梨子
羽佐間 修:作

■ 第7章 淫獄14

− 俊 一 − 8月7日(日)W

 half moonの開店準備をしている星野に、近藤昌也(吉岡隆高倉ビューティ専務)から電話があった。
 ソファには、厳しい調教に疲れ果てた久美が眠っている。

(星野。 俊一はもう帰したのか?)
「ええ。 もうマンションに戻っているはずです」
(そうか。 で、どうなんだ?)
「はい。 昨日は久美を、今日は裕美を一日中虐めていました。 僕が縄の扱い方を鍛えてやったら、もうすっかり一人前のサディスト気取りですよ」
(ほっほぉ。 女を虐めることに目覚めたか…)
「ええ。 それに前立腺の快感にもお目覚めですよ。 女にケツの穴を舐めさすのが大好きでしてね。 くっくっくっ。 もしかしたらケツを掘られるほうの才能の方があるかもしれませんね」
「ほっ! それはまた面白いじゃないか」
「それに奴のシスコンはかなりのものですよ。 毎晩、真梨子の下着の匂いを嗅ぎながらオナッてますしね。 『half moonで見た女は本当に姉さんだったのか?』ってしつこく聞くんですよ。 今日は土産にドール・ユリを1体、持って帰らせました」

(ふふっ。 今夜はサディズムに目覚めて、初めて憧れのお姉さんとご対面だな。 生身を襲うか、人形で我慢できるのか、、、くっくっくっ)
「それで、橘さんの真梨子の調教は順調なんですか?」
(ああ。 今しがた橘から電話があってな。 真梨子を車でマンションに送っていく途中だったらしいが、喘ぎ声がBGMで流れていたよ。 俺達が帰った後、休みなしで責めたらしい)
「あははっ、そうなんですか。 橘さんは本当に真梨子を気に入っていますねえ。 で、近藤さん… こんなに俊一を鍛えて真梨子を堕とすのに使うんですか?」
「ふん… さあなぁ。 成り行きまかせだ」

   ◆

 話は8月3日に遡る。

「誰だ?! こいつ…」
 half moonの控え室で星野が監視カメラのモニターを眺めながら言った。
「ママ。 こいつ真梨子の弟じゃないんですか?」
 モニターには、ビルの入り口に据え付けてあるカメラの映像が映り、エレベータの前でウロウロする若い男の姿が映っていた。
「ほほほっ。 真梨子の部屋の盗撮カメラでしか見たことないけどそうみたいね。 真梨子の後を尾行て来たんじゃないかしら」
 星野の操作で拡大された画像には、夜毎帰宅の遅い真梨子が浮気をしているんじゃないかと案じ、オフィスを出た真梨子の後を追ってきた俊一の顔が映ってい

た。
「どうします?」
「ここまで上がってきたら、私が話してみるわ。 使えそうなら引き込みましょう。 面白そうじゃない」
「あはっ。 姉と弟かぁ」
「で、真梨子はどうしてるの?」
「今、カウンターで梶のおっさんに弄られているところです」

   ◆

 俊一は、姉・真梨子が入ったビルを街路樹の陰から見詰めていた。
 一階には高級そうなレストランあり、上階にも飲食店がテナントに入っているようだ。
 真梨子の姿がエレベータに消えたので、俊一は慌ててエントランスまで走った。

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