真梨子
羽佐間 修:作

■ 第8章 牝奴隷5

− お仕置き − 8月8日(月)U

(コン、コン)
 金色のルームプレートには「1125」と刻まれている。 震える手でドアをノックした。
 ドク、ドク、ドク、ドク…
 悲鳴をあげているような心臓の激しい鼓動が打っている。
――あぁぁぁっ、、、 た、たすけて、、、 どうしよう、、、わたし、、、身体を、、、 売春するの、、、

(コン、コン)
 ガチャリとドアの開く音がして、ドアチェーンの幅だけ開いた。
「あ、、、あ、愛奴、、、育成倶楽部から、、、まいりました、、、」
 メモにあった挨拶を言う声はかすかに震え、哀れなほどか細い。
 室内から応答がないまま、チェーンの外れる音がした。

 俯いたままドアを押し開け、真梨子は部屋の中に身体を移し、そしてそっとドアを閉めた。
 振り返ると誰の姿もなく、既に部屋の奥に行ってしまったようだった。

 脈拍があがり心臓がるで破裂するんじゃないかと思うほど早鐘を打ち、唇は震え、歯がカチカチと鳴る。
――引き返すなら今しか、、、
 短い通路を抜けると大きなWベッドが目に入る。 窓に向かってワイングラスを傾けている男の背中が目に入った。

――あぁぁぁ、、、 言わなきゃ、、、 ケイスケさまが見てるの、、、
「こ、今夜は、、、遥を、、、買って頂きましてありがとうございます。 ぁぁぁぁ、、、遥は、、、変態マゾ女、、、なんです、、、 ぁぁぁぅぅぅ、 どうぞ今宵はご主人様の思う存分、遥を、、、叱ってください、、、 いやらしい遥に、、、お仕置き、、、してください、、、」
 真梨子は、深々と頭を下げて今夜の主にお辞儀をした。

「ふふっ。 ああ、そうしよう。 そうしようとも!」
――えっ、、、 うそっ、、、 まさか、、、
 振り返った男は、小松原教授、その人だった。
「さっそくまた逢えたね、真梨子君。 本当にいけない子だ」
「ひぃっ! いやあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ こんなことぉぉぉ ひどいぃぃぃ 許してくださいぃぃぃぃぃぃ」

   ◆

 その頃、俊一がhalf moonを訪ねていた。
「あら、俊一君。 また来たの!?」
「はい…」
「今日はお姉さんは来てないわよ。 貴方、来る時は電話してくれなきゃ、真梨子さんと鉢合わせしたらどうするの?! ここでの事が貴方に知られてるって分かったら、お姉さん、可哀想でしょ!」
「えっ、ええ、、、 すいません。  あのぉ、、星野さんは…」
「ちょっと出掛けてるけど、なぁ〜に?」
「あっ、いえ…」
「うふふっ、見たわよ。 久美と裕美を虐めて縄の扱い方を覚えたみたいね。 星野君があなたは筋が良いって褒めてたわ」
「えっ、、、見たんですか?」
「あら?! 知らなかったの?! どのお部屋にも監視カメラが据えてあるのよ。 女の子達の安全のためにね。 時々無茶をして身体が傷つくようなプレイをなさる方がいらっしゃるの。 貴方のプレイも見させて頂いたわ。 それにしてもあの時、貴方のお道具が随分立派だったから、私も仲間に入りたかったくらいよ。 うふふっ」
「そ、そうなんですか…」

「うふっ、俊一君。 今日も女を縛って虐めたくなったんじゃない!? それとも前立腺マッサージの方がお気に入りかしら?!」
「あっ、いえ、、、」
「ほほほっ。 素直に言ってごらんなさいな」
「ぁぁ、はい… 女性を縛りたくて、、、」
「そうぅ、、、残念だけど暫く無理ね。 君に回してあげられる子がいないわ。 女の子達、故郷に帰省したり、旅行に行っちゃったりでね。 今いる子は縛りはNGだし、お連れの彼氏がヤキモチ妬きで他の男には触らせないって人だったりでね」
「そ、そうですか…」

「ごめんね」
「いえ、とんでもないです、、、僕も虫のいいお願いしてるのは分かってるんですけど、、、」
 がっかりした様子の俊一に雅は改めて念を押す。
「俊一君! だからって、お姉さんとは絶対ダメよ! 貴方、まだお姉さんのマンションにいるんでしょ!?」
「はい。 それは分かっています、、、」
「それはあんなに魅力的なマゾ牝犬なんだもん、貴方の欲望は良く分かるわ。 でも禁断の果実なのよ! いいわね」
「はい、、、」
――姉さんは魅力的なマゾ牝犬、、、
 それを聞いただけでジーンズの中で真梨子を求めて俊一の陰茎は充血し、いきりたってしまった。

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