真梨子
羽佐間 修:作

■ 第9章 肉人形18

「失礼します、、、」
 しばらくして、背後のドアが開き、裕美の声が聞こえた。

――どうしたのかしら?
 入室したはずの裕美が、いくら経ってもテーブルに近づいてこない。

「えっ?! いやぁぁ、、、ど、どうして、、、」
 振り返って目にした裕美の姿に真梨子は驚愕し、思わず声を発してしまった。
 裕美のいでたちは、上半身は肌がほとんど透けて見える黒のジョーゼットのブラウスと、下半身は黒いガーターベルトとストッキングだけを身にまとっていた。
「早くしないか!」
「は、はい、、、」
――裕美さん、、、
 テーブルの傍に立った裕美の恥丘には、真梨子と同じく秘丘には一本の飾り毛もない。
 跪き、コーヒーをテーブルに配する裕美は、顔面が紅潮し手が震えている。
 真梨子は、この異常な事態に心臓が高鳴り、身体が震えてきた。

「裕美さん、、、 あ、の、、、よ、吉岡専務、、、」
「さあ、羽佐間さん。 召し上がれ。 旨いんだよ、このコーヒー」
「は、はい、、、 あの、、、いただきます、、、 いえ、あの、、、」
「ん?! 裕美のことが気になるのかな?」
「、、、はい。 その、、、」
ふふっ。 裕美だけずるい〜! 私も〜! ってオネダリしたいのかな?!」
「なっ、何をおっしゃてるんですか?!、、、」
 真梨子の声は自分でも情けないほどに震えていた。
「さあ、身体のサイズを測ってやるから服を脱いでもらおうかな。 浩二先輩の晴れ舞台にお前に似合いのエロチックで素敵なドレスを作ってやるからな」
「な、なんて事を、、、」
――何? 何なの?! 怖い、、、吉岡専務も私の事を知ってる?
 不穏な雰囲気に思わず立ち上がりこの場を逃れようとする真梨子の手を秋山がとっさに掴んで阻む。
「ふふふっ。 いいんだよ、羽佐間さん。 吉岡専務はすべてご存知なんだよ。 貴女が変態女だって事。 僕が専務から貰ったプレゼントってマゾ牝犬奴隷真梨子、お前の身体さ」

「ひぃ! あ、秋山さん。 な、何を言ってるんですか?!」
――牝奴隷 真梨子、、、 私の身体が専務からのプレゼント、、、

 真梨子の淫らな写真付きのIDカードを秋山に突きつけられた出来事がフラッシュバックする。
 秋山の言葉は真梨子を哀れなほどに狼狽させた。
梶の業務を引き継いだ秋山がパソコンに保存されていた真梨子の秘密を知り態度を豹変させたのはほんの10日前のことだ。
 秋山の言葉通りだとすると、吉岡はそれ以前に真梨子の事を知っていたことになる、、、 それどころか梶や秋山は吉岡専務に操られていたというのか、、、 真梨子の思考は千々に乱れた。
 思えば川上奈保子は吉岡の部下なのだ。 体感エステを施されている内に見抜かれた真梨子の性癖や、その後のhalfmoonで晒した恥態を奈保子が上司の吉岡に報告していても不思議はない。
 恐ろしいストーリーが次々と真梨子の脳裏に思い浮かび、血の気が引いて顔面は見る間に蒼白になる。

 秋山は膝の上で握りしめた拳がプルプル震えている真梨子の心の葛藤を想像するだけで、股間に生気が漲りスラックスの中で雄々しくペ○スを隆起させていた。
 
「ひっ、、、 いやっ! やめてっ〜〜〜!」
 秋山が不意に真梨子のスカートを腰の辺りまでめくりあげた。
「あははっ! さすがメス犬真梨子だ! 会社の中では下着を付けるなって僕の言い付けはちゃんと毎日守っていたんだねえ。 いい子だね、真梨子!」
 あらわになった真梨子の下半身には、何一つ肌を覆うものは無かった。
「いやあああ〜〜〜! 止めてください! あっ、秋山さん、、、」
 秋山は、咄嗟に捲くられたスカートを押さえ座り込もうとする真梨子の腕を取り、陰りのない秘丘を隠すことを許さなかった。

「久しぶりにご褒美をあげようか?! 何処に欲しい? オマ○コ? それともア○ルがいいのかな?」
「ああ………あ………… あっ、秋山さん、、、 違う、、、 おっ、変なことを言わないで、、、」
「くくくっ。 何が違うのかな、真梨子?!」 秋山は無毛の秘丘に頬を寄せて真梨子を堪らなく嬉しそうに嬲る。
「ぅう…… 秋山さん おっ、お願いします、、、 ここでは、、、 あああぁぁぁ、、、 吉岡専務、、、本当に違うんです、、、、」
「言いつけを守らなかったら、僕にお尻を打たれるから家を出る時からノーパンで出勤してるんだよね、真梨子」
「あ…………秋山さん、、、  専務の前では、、、 許してください、、、」
「あははははっ! 専務の前ではって?! まだわかんないの?!」
「…………」
「僕は専務に露出狂のお前のお守りを頼まれたんだよ。 梶のオッサンの後釜としてね」
――梶さんの代り、、、 露出狂のお守り、、、 やはり、、、 ああぁぁぁ、、、
「ふふ。 halfmoonや奴隷倶楽部で吉岡専務にどれだけオマ○コやア○ルに精液をぶちまけて貰って逝きまくったと思ってんだ?! この前だって専務に縛って貰っただけで縄酔いして喘ぎまくっていたじゃないか! なっ、真梨子」
「ひっ! そんな、、、」

「真梨子!」
 吉岡がねめつける様に真梨子をじっと見詰め、大きな声で真梨子の名を叫んだ。
 秋山の手を逃れようとしていた真梨子は、ビクッと身体を縮こませ、その動きがピタリと止まる。

「こう呼んだ方がしっくりくるのか?!」
 吉岡は、一瞬にして表の顔、高倉ビューティ専務の仮面を脱ぎ捨て、裏の顔・近藤昌也、その人に豹変した。
 真梨子には確かにその声に聞き覚えがあった。

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