真梨子
羽佐間 修:作

■ 第9章 肉人形37

- 生涯の枷 -  9月11日(日)2

 真梨子を縄で弄び幾度も精を放ったサイモンを帰した後、啓介に最後の陵辱に真梨子は泣き叫び快楽地獄を彷徨った。

 凌辱に耐えれば耐えるほどに、官能への揺り戻しは大きい。 恥辱を感じるほどに、夫への罪を意識すればするほどに快楽痴獄へと女体を引きずり込んいく底なし沼に、真梨子は溺れ喘いだ。

 精根尽き果てた気だるい身体を啓介の腕枕に預けている。

 自分の身体を快楽の道具、性の捌け口としてしか見ていない啓介、、、

 愛する人を裏切り快楽に溺れてしまう真梨子の苦悩こそが己の快楽の材料だと言い切る啓介、、、

 その裏切りがもたらす背徳の快楽に押し流され、自ら激しく腰を揺すり快楽を貪ってしまったはしたなさ、、、

 浩二に抱かれた後、腕枕で穏やかに流れる時間は、真梨子の一番好きな時間だった。

 そんな啓介の凌辱に身も世もない程によがり狂わされた後に髪やうなじに遊ぶその指が無性に心地よく、同じ感覚を覚える自分の性(さが)が何とも辛い。

『愛する人に心底尽くせ! 愛し抜け! 誰のペニスでも逝きまくる淫らなお前を詫びろ〜!』
 身体の芯を貫くサイモンの怒張を肉襞で喰い絞め、アナルからほとばしる恥辱の噴流がもたらす肛悦に戦慄き、命じられるまま浩二への愛を叫びながら逝った瞬間が頭の中で蘇る。

 夫を愛せよ! と快楽を得るため嬲り尽くした啓介が絶えず口にした命令でもあったことが真梨子にはたまらなく切ない。

―命令されるから愛してるんじゃない、、、 ワタシは心の底から浩二さんを愛しているわ、、、

 様々な想いが真梨子を脳乱させ、零れる涙が啓介の腕を濡らしていた。

『もう、生きていられない、、、』
 今まで真梨子は幾度そう思ったかしれない。

『死ぬしかない、、、 浩二さんの前から消え去ろう、、、』
 嬲られ、部屋で一人になるたびにそんな衝動に駆られてきた。  しかしその度、啓介が冷酷に指摘した言葉に引き戻す。

『妻が自殺?! 失踪?! マゾ牝として売春婦をしていた?! マスコミの格好の餌食になる。 上場を控えた経営者のスキャンダルは会社にとって致命傷だ。 それにある程度年齢を重ねた男が信頼しきった女の裏切りにあった時の精神的なダメージ・憎しみは想像以上だ。 その怒りのあまりお前を殺してしまうかもしれんな?!   お前は旦那を殺人者にするつもりか?』

 真梨子は殺されても仕方がない罪を犯したと思っている。 浩二に穢れた身体を滅して欲しいとさえ思う。 しかしそれは浩二を犯罪者にしてしまうことなのだ。

『死ぬことも、姿を消すことも、事実を知られることも許されない。 お前に唯一、出来ることは今まで通り、いや、今まで以上に旦那を愛し、そして旦那に可愛がられるいい女になることだ』

 啓介が真梨子を嬲る度に、そして今日も同じよう言葉を浴びながら真梨子を嬲った。

 とにかく今は悟られてはいけない、、、 真梨子は涙にくれながらそう覚悟した。

「真梨子。 女として生まれたからには愛する男の子供を産んでみたいだろう?!」
 唐突な質問に面喰ったが、真梨子はかぶりを振る。

「ふん。 嘘をつくな」

「、、、いえ。 そう思ったこともありました、、、 でも、今は、、、」

「自分には先妻との子供がいるからか? 年の差があるからか?」

「、、、ちゃんと話し合って決めた事ですから、、、」

「真梨子。 一度決めたから事だから自分を押し殺して従うか!? まったくマゾ牝のお前らしいな。 子供が欲しいくせに自分をごまかすな」

「い、いいえ。 ごまかしてなんか、、、」

「まあ、いい。 お前に愛する旦那の子供を産ませてやる」

「えっ?!、、、」
――どういう意味なの?!

「もう気付いてるんじゃないのか?! 真梨子。 お前は妊娠しているんだよ」

 長い沈黙の時間が流れた。

「夕べ、お前が高倉の屋敷で漏らした小便を検査した結果だ。 来年の春にはお前は晴れておかあさんになってるよ」

「ひっ! い、いやぁぁぁ」
――ウソッ!? 本当なの?!

 真梨子が恐れていたことだった。

 信じたくはないが、考えてみれば妊娠可能な時期にあれだけ精を注がれたのだから、当然と言えば当然の結果かもしれない。

 吉岡や啓介は惨い凌辱を真梨子に強いてきたが、真梨子の避妊や、プライバシーの保守に関しては、凌辱者たちにきつく命じているらしく、その点に関しては真梨子には信頼に似た思いをもっていた。

 生理の周期や日々の排便の時間までも梶に毎日チェックされ、管理されていたのだった。 その事は真梨子が禁断の快楽に溺れてしまった要因でもあったかもしれない。

 ところが秋山に代わってからは、真梨子への陵辱はすっかり様変わりをし、蜜壷に幾多の男達の精が注ぎ込まれているのだ。

 いつもきっちりとした周期でくる生理は遅れ、何となく体調に違和感があって、とても不安に思っていた。

――きっと妊娠してる、、、 も、もう、、、 終わりだわ、、、

「ふふっ。 誰の子か気になるか?!」
 真梨子は首を振った。

 考えたくもなかった。 夫以外の子であることには違いがないのだ。

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