真梨子
羽佐間 修:作

■ 第9章 肉人形47

− 東京・最後の夜 − 9月17日(土)


 真梨子は11時過ぎにマンションに戻ると、バスルームに駆け込んだ。

 呆然と突っ立ったまま、シャワーの飛沫を浴び続けた。 今日の出来事を思うと零れる涙が止まらない。

 ”ケイスケ”の正体が投資ファンドの風雲児、橘啓介その人で、浩二のビジネスパートナーだった事、そして浩二の部下の佐伯までが吉岡の一味だったショックで気が狂いそうだった。

 本当にこれで終わったの?! その事ばかりが頭を駆け巡る。

 東京での出来事の首謀者は吉岡なのか、啓介なのか、それとも二人が結託してのことなのか、、、

 1週間前、啓介が『お前を弄ぶのは今夜で最後だ』と言ってからも送別会と称し、秋山、横田、梶部長に吉岡専務が真梨子を陵辱した。 そしてかつて恥辱を晒した佐伯までが正体を現した。

――啓介さまの意向が彼らに通じていないの、、、?! もしそうなら神戸に戻ってからも、、、 いえ、、、 送別会というからにはあれで最後なんだわ、きっと、、、 でも、、、

 浩二の信頼している友人の遠藤医師まで巻き込み、どこまで周到に真梨子や浩二の周りに手を廻しているのか、不気味で恐ろしくて仕方がない。

 そして浩二が裏切られているのをまったく感ずいていない事が何より不安だ。

――彼らの目的は私の身体だけ、、、?! 私の事で浩二さんは脅されたりしないのかしら、、、 会社は大丈夫なの?! もしかして乗っ取り?!

 『仕事は仕事ですから。 心配には及びません』と佐伯がパーティの合間に真梨子の耳元で囁いた言葉を思い出す。

――そうよっ! 浩二さんの会社、浩二さんがいないと巧く運営できるはずがないわ、、、 

「浩二さんの夜食、作らなきゃ、、、」

 真梨子はシャワーを止め、ボディシャンプーをスポンジにたっぷりと染み込ませた。
――とにかく今の私に出来る事は浩二さんに尽くし抜くことだけ、、、 欺き続けるだけ、、、 この子を浩二さんと二人で大切に育てるだけ、、、

 たっぷりと泡立ったスポンジを梶の精液まみれた肌にあて、穢れを拭い去るように力を込めてスポンジで擦る。
――戻ってきた浩二さんに身体を求められるかも知れない、、、

 そう思うと、怖くて、申し訳なくて真梨子は幾度も幾度も洗い流した。

   ◆

 引越しの荷造りはほぼ終わり、残していた最小限のキッチン道具を使って浩二の夜食を作る。

 朝に漬けていた浩二の好物のきゅうりとなすを糠床からあげ、包丁で切る。

 一緒に暮らしている時は、漬物に目がない浩二のため真梨子は毎日漬物を漬けていた。

 神戸に置いたままにしておくと糠床を腐らせてしまうからと、東京にまで持ってきていた。

 久しぶりに愛する夫のために食事を作る。 それだけで心が少し和む気がする。

 炊飯器がシューシュー湯気を吐き、もう直ぐ炊き上がる気配だ。
――神戸に戻れば再びこういう日々が迎えられるのかしら、、、 

 真梨子は、浩二に尽くしている自分が好きだった。 そして『旨い! 旨い!』と嬉しそうに食べてくれる夫が、そして事ある毎に慈愛に満ちた目で感謝を口にしてくれる浩二が大好きだった。

『丈夫な子供を産んで、浩二さんに尽くして添い遂げるのよ、、、』
 不意に母にホテルで言われた言葉が思い出された。

 もちろんよと答えたものの、母はパーティでの真梨子を見て何か様子がおかしいと感じていたようだ。

――今日からはどんなに夫に尽くしても、それは贖罪なの、、、 心から尽くしてもそれは偽り、、、 陵辱の果てに孕まされた赤ちゃんがお腹の中にいる、、、 その子をワタシは浩二さん欺きを産もうとしているの、、、

 涙が溢れて止まらない。 真梨子は、やがて幼い子供のようにしゃくりあげて泣く。

 携帯から浩二からの着信を示すメロディが流れる。 時計を見ると12時を少し過ぎていた。

――浩二さん、、、

 真梨子は涙をぬぐい、電話に出た。

「はい。 真梨子です」
 務めて明るい声で真梨子は電話に出た。

『羽佐間社長の奥様ですか?』

「?! はっ、はい、、、」

「ウェブコミュニケーションズの佐伯です。  今、社長とタクシーでそちらに向かっています。 ちょっと飲みすぎになられたようで僕がそちらにお送りしているところです。 後5分ぐらいで着くと思いますので」
――ひっ! どうして、、、

「、、、はっ、はい、、、 よろしくお願いします、、、」

――どうして佐伯常務が、、、?! まさか、、、 ここで、、、 いくら何でも、、、

 真梨子は動揺しながらも、浩二の部下である佐伯の分の夜食も用意し始めた。

   ◆

《ピンポーン》

 インターフォンのモニターには、スーツ姿の佐伯が酔って崩れ落ちそうになる浩二を懸命に抱え起こそうとしている情景が映った。

「あっ、、、どうぞ、お入りください」
 直ちにエントランスのロックを解除し、真梨子は二人を迎えるべく玄関に走った。

 やがて、玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けると倒れ込むように入ってきた浩二を抱きとめ、佐伯と二人でリビングへ運ぶ。

「ふ〜っ。 社長のこんなに酔ったのは見たことがありません」

「えっ、ええ、、、 本当にごめんなさい、、、 ご迷惑をおかけしちゃって、、、」
 前後不覚に酔った浩二をソファに座らせ、上着を脱がせる。

「浩二さん?! 浩二さん?! お水、飲みますか?」
 ソファにうずもれる様に座る浩二は、はやくも寝息のような息遣いをしていた。

「社長は口ではあまり仰いませんでしたが、やはり今日の上場は余程嬉しかったんですねえ。 それに奥様の妊娠もこともね」
 背後から佐伯が真梨子に声をかけた。

「、、、佐伯さんのお陰だと主人が申していました、、、 本当にありがとうございます。 あっ! やめてっ!」

 背後から佐伯が乳房を鷲づかみにしてきた。

「ふふっ。 いいえ。 とんでもないです。 今日という日が迎えられたのも一重に社長のおかげです。 いくら感謝しても感謝しきれませんよ。 奥さん」

 佐伯は、身悶える真梨子の乳房を気持ち良さそうに揉みながら平然と話す。

「やっ! やめてっ! ダメッ!」

「くくくっ。 いい匂いだ、奥さん。 もう勃ってしまいましたよ」

「やっ、やめてください! 何してるんですか、、、 しゅ、主人が起きてしまいます!」
 声を潜めて真梨子は懸命に逃れようとする。

「ホラホラ、奥さんだってもう乳首が勃ってきてるんじゃないんですか?! ふふふっ」

「いやぁぁぁぁ、、、、」

「ふふふっ。 どうかされましたか? 奥さん」
 吉岡が知らぬ間に二人の後ろに立っていた。

「ひっ、、、いやぁぁぁ、、、、」

「ふっふっ。 恥知らずな淫売だな、真梨子。 よくも旦那の前で部下の男をたらし込めるもんだ。 くっくっ」

「ど、どうして、、、」

「ふん。 昨日も横田が迎えに来たじゃないか。 この部屋の持ち主は誰だと思ってるんだ?!」

「も、もう、、、 赦してください、、、 お願いですっ」

「横田が言っただろう?! 神戸に戻るまではお前は俺たちの玩具だ! さあ、そんな端でコソコソやってないで、もっと旦那のそばで激しく乳繰り合ってみろ! その方が興奮するんだろうが。 変態牝犬の真梨子」

「いっ、いやっ!! ダメ! お願い! 主人の前では赦してください! お願いします」
 絞った声で必死に抵抗する。

――こんな姿、、、 絶対に見られる訳にはいかない、、、

 声も出せず、音もたてないように気遣った女の抵抗など男二人にかかれば何の意味もない。

 あっという間に酔って眠りこけている夫の目の前で、真梨子は素っ裸に剥かれてしまった。
 
「くくくっ。 クリ×リスにピアスつけてるなんて旦那に抱かれるつもりだったのかな?! 可愛い女だねえ、真梨子さん。 誰のチ×ポを突っ込まれても腰を振る淫乱女のクセに」
――今ここで夫が目覚めると何もかも終わり、、、 でもこの人達だってこんなところを浩二さんに見られたらどうするつもりなの、、、 ああぁぁぁ、、、

「嫌がってる振りしてるが、ホントのところはどうなんだ?! 旦那の前で虐められたくて仕方がないんだろ?! ほれっ、お前のデカクリに相応しい飾りをプレゼントしてやる。 ほれっ、どうだ?!」

 肉芽を飾るクリ×リスリングにゴールドのチェーンが繋げられ、包皮が除去されたクリ×リスは無様なほどに長く伸び、真梨子の脳天に快感が突き抜ける。
――あぁぁぁ、、、 ち、ちぎれちゃうぅぅぅ〜〜〜〜
「うぐっ! だめぇ……あぁ……あぁ……」
 ビクン、ビクンと真梨子の身体が跳ね上がり、フルフルと小刻みに震える。

「いやっ、、、 こっ、ここでは赦してっ! お願いっ! あっ、あっ、いやあぁぁぁぁ〜〜〜〜」
 吉岡はチェーンをぐるぐる廻し、その支点のクリ×リスは捻られるように引っ張られ、絶望的な快感が真梨子の身体を突き抜ける。

――ハァ…ハァ…あぁぁ…もうおかしくなっちゃう…ああっ
 壮絶な快感の連続に真梨子の腰が浮き上がり息もつけない。

――あっ、ダメっ、、、 イっクぅぅ、、
 瞬く間に上りつめ、真っ白な世界に真梨子は堕ちていった。

   ◆

「ほらっ、ほらっ、旦那に近づけばもっと狂えるぞ!」
 浩二が眠るソファの真横に引きずられ、肘掛に両手を付かされた。

「もう、許して、、、 いやっ! ダメッ! あっ! うぐぅぅ、、、」
 吉岡が怒張を背後からヴァギナに一気に突き入れてきた。

「う、うぐ、うぐ、…あっ、あうっ……」
 強烈な快感に真梨子は仰け反り、浩二の間近でその白い喉を晒す。 ほんの数十センチ先には男の本懐を遂げ、勝利の祝いの酒を楽しみ幸せの絶頂にいる真梨子の愛しき人が心地良さそうに寝息を立てている。

――あああああああああ 浩二さん、、、、

 究極の背徳の快楽は、狂おしいほどに真梨子を燃え上がらせてゆく。

「テレビ画面を通して旦那の姿を見ながら梶のおっさんに突かれた時より、余程興奮してるじゃないか、真梨子! 底なしのマゾ女だな、おまえは。 くくくっ」
 吉岡が耳元で囁きながら怒張を抜き差しする。

(ヌチャ、ヌチャ、ヌチャ……)
 結合部からの淫汁と媚肉が奏でる淫らな音は真梨子の耳にも大きく聞こえ出した。 

 ゆっくりとリズミカルに抜き差しされる腰を打ちつけてくる度に、ほとんど浩二の顔に触れてしまいそうになる。

「狂いそうなほど気持ちいいだろう、真梨子!」
 真梨子は無意識にガクガクと頸を振り吉岡の快楽を享受してしまう。

『クゥー、クゥー、クゥー、クゥー……』
 浩二の規則正しい寝息が真梨子の被虐心を更に煽っていく。 

「さあ、旦那の前でいつものように潮吹いてみるか?! お前の淫らな汁で旦那の顔を洗って起こしてやろうや。 なあ、真梨子!」
 吉岡は激しい抽送を繰り出し、真梨子を追い込んでいく。

 歯を食いしばっても愉悦の声がこぼれてしまう。
――きっ、気持ちいいのぉ〜〜〜 死んじゃうぅぅぅ こ、浩二さん、、、 ゴメンナサイ、、、

「おっ、真梨子! 逝くのか?! オマ○コが痙攣してきたぞ! 逝け! 逝け!」
 追い込みにかかった吉岡の肉棹は、真梨子の子宮口にまで達し真梨子を狂わす。

――浩二さん、、、 ごめんなさい、、、 真梨子、逝っちゃう、、、 あなたの目の前で、、、 あぁぁぁぁ
「ぅあーーーーー、ぅぅーーーーーー!! イっクぅぅ、、ーーーーーーーーー!!

 真梨子はガクガクと身体を震わせ、幾度目かの絶頂を迎えた。

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