真梨子
羽佐間 修:作

■ エピローグ1

9月17日(土)


「なあ、羽佐間、、、 真梨子、、、さん、、、 良かったのか、これで、、、 あんないい女、そうはいないぞ。 俺も、そのぉ、、、 楽しませて貰ったが、、、 彼女、可哀想過ぎないか?!」

「さあな、、、 わからん、、、 だがいまさら真実を知らせる方が酷だろう」

「そりゃそうだが、、、」

 羽佐間浩二と橘啓介は、成田発、ノースウェスト航空のシアトル直行便の機中に隣り合って座っていた。

 二人の渡米の目的は、浩二がサイモンと組んでアメリカで起こそうとしている事業に、投資家として啓介も参画する。

「羽佐間、、、 桑野医師に聞いたんだが、胎児DNA検査っていうのか?! 検査したらお前の子供だったんだってな。 それにしても本当に真梨子、、、さんのお腹の中の子がお前の子供で良かったよ。 俺もホッとしたよ。 お前の望むように彼女を嬲ってきたが、俺の子って可能性がないわけじゃなかったからなあ、、、」

「ふふっ、真梨子って呼び捨てでいいよ、橘。 まあ、プロジェクトルームで犯した日は、計算上一番孕みそうな日だったんだが、たとえお前のタネであったとしても俺は慈しみ育てるよ。  お前にも放っておけない存在になっちまっただろ、真梨子は?! 巻き込んでしまって済まなかったなあ、、、」

「ああ、いやっ、、、それで弟の俊一君はどうするんだ?! 彼の登場は予定になかっただろ。 ビックリしたぜ!」

「ふっ、俺もだよ。 シスコンとは知っていたがあれほどとはな。 それに真利子に劣らぬマゾっけがあるのには驚いた。 half moonを嗅ぎつけたから成り行きで引きこんでしまったが、どうするかなぁ?! 前から彼にアメリカに留学したいって相談を受けていたんで、とりあえず10月からサイモンに預けてアメリカに留学させるつもりだ。 暫く真梨子から離している方がいいだろうしな。 彼にやる気があったら向こうの大学へ編入したらいいさ」

「そうか、、、しかしお前の真梨子に対する歪んだ愛もようやくこれで納まりがついたんだろ?! 心安らかに産ませてやれよな」

「ふふっ、、、 俺がアメリカを行き来してる間の真利子の面倒をある奴に頼んだ」

「誰だ、それ?!」

「島田だ。 お前も知ってるだろう」

「島田って真梨子の勤めるITコンサルティングの島田社長か?!」

「ああ、そうだ」

「彼も最初から知っていたのか、、、 そ、そうか、、、 なあ、羽佐間、、、 そのぉ、なんだ、、、 俺が言うのも変な話だが、、、彼女、幸せにしてやってくれよなぁ、、、」
 橘は、浩二が最初から真梨子の勤め先の社長まで巻き込んで今回の計画を進めていたことを知り、浩二の真梨子への変質的なこだわりに改めて驚いてしまった。

「ああ、、、 もちろんさ。 全身全霊を傾けてなっ。 ふふっ、他人事みたいに言うなよ、橘。 なんてったって真梨子は一生涯、お前の命令を守って俺を騙し続けるんだからな」

「ふっ、、、 病んでるよ、おまえ、、、」

「ああ。 そうだなあ、、、確かになっ、、、」

 浩二は、雲海を眺めながら仕事で出会っていた橘を吉岡からこの姦計のパートナーにどうだと相談された時の事を思い浮かべていた。

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