舐め犬
二次元世界の調教師:作

■ 3

 その時母の事を考えたからでもないんでしょうけど部屋をノックする音が聞こえ、私は慌てて脚を閉じて服装をそれなりに整え、と言ってもお客さんにお見せするにははしたなさ過ぎる露出ぶりは隠せないんですけど、山田さんも気の毒なくらいビクッと居住まいを正されました。私が、はーい、と答えると入って来たのはやはり母で、お盆にコーヒーとお茶菓子を載せていました。

 母は見るからにホームレス風の山田さんと、露出過多な格好をしている私をジロジロ見ていましたが何も言わず、私も特に何も言いませんでした。こんなに世間では流行っているんだから「舐め犬」さんです、と本当の事を言おうかとも思いましたが、母は私以上に世間知らずで保守的な考えの人ですから、黙っておいたのです。それに突然のお客様で、母自体がとてもラフな服装でした。ちょっと目のやり場に困る、と言いますか……

「ごゆっくり、どうぞ。」

 そう言ってお辞儀した母の胸元も揺れていましたが、まるで私とお見合いでもしているかのように緊張しまくりだった山田さんは、ホッと一息付かれたようです。

「あの、今の方は……」
「母です。」
「いや、お母さんも実にお若い……」
「ええ、まだ50前なんで。」
「えっ!?」

 しまった。私は又考えが足らずうかつな事を言ってしまいました。山田さんも気付かれたようなので、この際本当の事を打ち明ける事にしました。

「ああ、すみません。
 私年齢のサバを読んでたもので。」
「あ、それは別に構わないんですが……・」
「私ホントはまだ28です。
 ウソついててごめんなさい。」

 舐め犬掲示板を見ていても、30台以上の女性が多くて、ちょっとハズカシかったんです。何か、若いのに、いかにも男に飢えてる、みたいじゃないですか。その年齢の女性の方には失礼なんですけど、私的には35歳と言うのがもっとも性的欲求不満を溜め込んで、「舐め犬」さんのお世話になりたいような年齢なのかな、と思ったんですね。私は又ペコリを頭を下げ、閉じていた脚をガバッと開いて、お詫びのつもりで白い下着を見せてあげました。

「いやいやいや、そうですか、それはそれは……。」
「いいんでしょうか、こんなに若くても。
 舐めて頂くの申し訳なくありませんか?」

 山田さんも言葉に困っているようでした。やっぱり7つも歳をごまかすなんて良くないですね。私は実年齢を打ち明けた事を少し後悔しそうでしたが、彼は演技かも知れませんが満面に笑みを浮かべてこう言ってくれたのです。

「いえ、とんでもありません!
 大歓迎ですよ!
 僕ホントは若い女性の方がいいんですよ、正直な話。
 年上の女性のばかり舐めさせられるのは、もう飽き飽きしてました。
 いやあ、舐め犬やってて良かったなあ……」

 山田さんは本当にバカ正直な人らしく、その喜びようは本心からのものである事がわかりました。私の胸と股間を眺めている視線がギラギラと一段とイヤラシク輝き、鼻息が荒くなって興奮されているのが、ハッキリわかるのです。でもこの人に対する好感度はちょっと下がっちゃいました。女は若い方がいい、ってそりゃ本音でしょうけど、余り露骨に表現するのはどうかと思います。

「あ、せっかくですから、どうぞ。」

 私は母の持って来たコーヒーをお勧めしましたが、山田さんが遠慮されるので、私の方から先にコーヒーとお菓子に手を出しました。

「コーヒーはお嫌いでしょうか?」
「いえ、そういうわけでは……」
「では遠慮なさらずにどうぞ、お召し上がりください。」
「で、では、頂きます。」

 山田さんはやはり育ちの良い方らしく、両手を合わせて「頂きます」と言ってからコーヒーに手を伸ばされたのが、何だかおかしかったです。

「あ、あの、落ち着きませんね……」
「そうですか?」
「あの、ここで、その……
 舐めさせて頂けるのでしょうか……」
「はい。
 このソファーでお願いします。」

 私は又精一杯かわいらいく見せようと、両手を胸の前に組んでお辞儀をするブリッコポーズを取りました。ブラとパンツを見せながらですから、かわいいかどうかはビミョーだと思いますけど。山田さんの掲示板の説明では「貴女がソファーでくつろいでいる間中ずっと貴女の股間に顔を埋めて」と書いてあしましたから、あえて自宅に来て頂いたんですから。ラブホテルにソファーがあるかどうかわかりませんものね。

「出来れば鍵でも掛けて頂けるとありがたいのですが。」
「あ、気が散りますか?」
「そうですね、集中し辛いと申しましょうか……」

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