あやつりの首輪
二次元世界の調教師:作
■ 2
「どうですか、首輪のお味は?」
「う……
な、何のまねよ!
やめなさいっ!
こんな事してただですむとでも思ってるの!」
「へえ、警察にでも行くつもりですか?
気のせいです、病院に行きなさい、って言われるのがオチだと思いますけどねえ。」
「とにかく、やめてっ!」
アタシは冷や汗をかきながら、パニック寸前の気持ちを何とか落ち着かせて小声で言った。部屋の外のママに聞かれてはならない。アタシの首には何もないのに、どうやって説明すると言うのか? でも、確かにそこに強い力で締め付けて来る「首輪」は存在するのだ。
「良く聞いてください。
それは、僕が福永さんの事を思いながら、恋する想念で作った『あやつりの首輪』です。」
「苦しいのよ、谷口君っ!
アタシの事好きなんでしょ?
だったらどうしてこんな痛い事するの?
お願い、もうやめて……」
アタシは本心から苦しい、と泣き声で訴えていた。アイツの頭がイカれてると思った「あやつりの首輪」をもう認めざるを得なかった。このままでは本当に窒息してしまいそうだ。もしアタシの頭までイカれてるのでなければ……するとすっと首が楽になった。しかしまだ目に見えない何かが首にはまっている感触はしっかり残っていた。
「ようやく僕の言う事をまじめに聞いてくれるんですね。
福永さんとまともにお話が出来るだけでも、僕うれしいです……」
「あ、あの、さっきはごめんね、谷口君。
真面目にお話を聞いてあげなくて悪かったと思ってるよ。
ううっっ!!」
ここで又「首輪」が強烈な締め付けを発揮して来て、アタシは苦痛に呻き涙がボロボロこぼれてしまった。
「嘘を付いてはいけませんよ。
そしたら首輪が締まります。
今のは嘘ですね、満里奈さん……」
「う、うん、嘘だよ、谷口君っ!」
認めると又首が楽になった。いつの間にか「満里奈」と下の名前で呼ばれたけど、もうそれどころじゃなく、アタシは目に見えない「あやつりの首輪」の恐怖で、完全に取り乱してしまってた。
「そうですよね。
学校一の美人の満里奈さんは、僕の事を近寄られるのも嫌な生ごみみたいに思ってるんでしょう?
質問に答えないのも首輪が締まりますよ。」
「う、うん、そうよ!」
「ひどいな。
いくら美人でも、許せないですね。
たっぷりかわいがってあげましょう。」
「そんな……」
そりゃ確かに「近寄られるのも嫌な生ごみ」だなんて思ってるのはひどいけど、嘘のつけないアタシは仕方なくそう言ってるのに。
「あ、あの、どうしたら許してくれるの?
何でも言う事聞いたげるから、こんな首輪なんか外してよ。」
これはある意味嘘だが、その時は必死でまじめにそう言ったのだ。ドキドキしながら「何でも言う事聞いたげる」と持ち掛けたアタシは、首輪が締まる気配がなくホッとした。
「満里奈さんが喜んで僕と付き合ってくれるなら。」
「付き合ってあげるわよ!
んああっっ!!」
これまでで一番きつい締め付けがやって来て、アタシはケイタイに向かい猛烈な呻き声を聞かせてしまっていた。
「大嘘みたいですね。
嘘ついちゃ駄目だって、いい加減学習したらどうですか?
頭の良い満里奈さんらしくありませんね。
そろそろ観念して、無駄な抵抗をやめて僕の話を聞くんです。」
「うん……
ああ、苦しいの!
お願い、も、もう首締めないでえ……」
するとすっと楽になった。どうやら貫太は自由自在にこの「あやつりの輪」を動かせるらしい。アタシはもうすっかり弱気になり、次の言葉を待った。
「いいですか。
嘘を付いたら、その輪が自動的に反応して締まります
よくわかったでしょう。」
「う、うん、わかった……」
「後1つだけ。
僕の言う事には必ず従うんですよ。
わかりましたね?」
「……はい……」
「今満里奈さんは1人ですか?」
「ううん。
部屋の外にママがいるわ。」
「でも大声でも出さなきゃ知られる事はありませんね?」
「うん。」
「じゃあ、質問に答えて下さい。
満里奈さんは、オナニーやってますか?」
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