あやつりの首輪
二次元世界の調教師:作

■ 9

「さて、今日の命令は……」
「まだ何かあるの!
 オ、オナニーだけはイヤよ!」
「わかりました。
 今度は明日までオナニーをしてはいけない、という命令をあげましょう。」
「……それでいいの?」

 アタシは狐に摘まれたような気持ちで、キョトンと涙目を貫太に向けた。

「それから、帰ったらすぐ、コレを全部体に塗って下さい。」
「な、何よ、コレ……」

 貫太が差し出したのは、大きな歯磨き粉入りみたいなチューブだった。白くて英語ではない外国語が書かれているようだったが、アタシには読めなかった。

「オナニーをやり過ぎたと思う場所に全部塗るんです。
 化膿止めですから、しっかり塗らないといけませんよ。
 クリちゃんと、アナルと、後おっぱいには沢山必要ですね。
 じゃ明日も6時に教室で。
 格好は、そのスカートで、ノーブラ、ノーパンがいいかな。」
「あ、あの、谷口君?」

 貫太は一方的にそこまで命令を下すと、聞きたい事が山ほどあるアタシをその場に残し、さっさと去って行ったのだった。

 翌朝6時。昨日よりさらにひどく憔悴し、まるで幽鬼のようなおぼつかない脚取りでガラリと教室のドアを開けたアタシは、やはり教壇の前に椅子を出して座って待っていた貫太に必死で駆け寄り、信じられない言葉を発していた。

「お、オナニーさせてえ!
 オナニーしたいいっ!
 したいの、お願いいいっっっ!!!」
「お早うございます、満里奈さん。
 あれ、僕の聞き間違いかな?」
「んああ〜っっっっ!!!」

 わざとのんびりした貫太の口調がアタシを狂気へと誘い、 何度も試みたノーパンの股間に指を忍ばせようとする行為によって首を万力のような力で締め付けられ、その痛みに吠えながらのたうち回った。

「その様子じゃ、化膿止めが妙に効いちゃったんですかね?」

 何が化膿止めだ。あのクスリは悪魔のクスリだった。昨日家に帰って大きなチューブに詰まっていたペースト状で半透明の白い薬剤を、少しも残さず羞ずかしいオナニーに狂ったカラダの部分に塗ってしまってから、アタシの恐ろしい苦闘が始まったのだ。

「あれえ?
 ひょっとしたら僕、クスリを間違えちゃったかも。
 フランス直輸入の媚薬ってやつだったかも知れません。」

 オナニーを試みて首輪に締められる苦痛に吠えながらのたうち回るアタシを見ながら、貫太はゲラゲラ笑った。世の中に本当に効果のある媚薬などという物が存在するなんて知らなかったが、アタシが塗ってしまったクスリの効果は本物だと断言出来る。一晩中乳首とクリトリスがピンと石のように勃起してそそり勃ち、乳房は小山のように膨らんで疼き上がり、アナルの中にまで気が狂いそうな猛烈な痒みを覚えたアタシは、矢も盾もたまらずオナニーを試みては首輪の絞め付けに阻止されて、悶々と一睡も眠れない夜を過ごしたのだ。

「満里奈さん、認めますか?
 あなたはえっちが大好きなどヘンタイのジョシコーセーなんですね?」
「認めるわっっ!!
 オナニーさせてよおっっっ!!!」

 鬼のように恐ろしく顔を歪め、オナニー、オナニー、と大声でわめき散らしている気の狂った女が、クールビューティーで通っている福永満里奈だとは、世界中の誰1人として信じられないだろう。アタシだって信じられないのだから。

「あなたのような美人が、オナニーするだなんてもったいない。
 僕が慰めてあげましょう。」
「ああ、お願い、谷口くうんっ!!
 してえっっ、してよおっっ!!」
「じゃあ、言われた通りしゃべってごらんなさい。
 私、福永満里奈は……」
「わたし、ふくなが、まりなは、えっちが、だいすきで、どへんたいな、じょしこーせーです。」

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