イカせ屋
二次元世界の調教師:作
■ 9
が、目の前に白い裸身を晒している、目鼻立ちの整った美人は、およそ20年近くも前の彼女とソックリなのだ。
俺は時間が逆行したのではないかと言う不思議な思いに囚われながら、女にゆっくりと近寄り声を掛けた。
「お嬢さん、若いのが乱暴なマネをしたようだな。
すまねえ、こんな格好にさせて。」
「な、何だよ!
だったら、早く服を着せろっ!」
「ああ、そうしてやるよ……」
「自分で着るから、手錠を外せっ!」
「それはちょっと我慢してくれ。
悪いようにはしねえから……」
女は俺が何者かわからず、服は着せるが束縛は解かないという意味も図りかねて困惑しているようだった。
俺は昔惚れた女とソックリな娘の、裸身を見るのがはばかられて目線を反らす。ある1つの、恐ろしい可能性が頭をかすめたからだ。
「お嬢さん、アンタ高校生か?」
ユウイチが脱がせたらしき服が、夏服のセーラー服だったので、俺はそんな事を聞いてみた。
「オッサンには関係ないだろ!」
「家出してるようだな。」
「早く服を着せろっ!」
「何て名前だ?」
「うるさいっ!」
せっかく裸を隠してやろうと言うのに、よくそんな強気な態度が取れるものだが、美形の家出娘はどうやら何1つ話をする気はないようだった。やれやれ。お人好しのユウイチは、さぞかし手を焼いた事だろう。
これはやはり単に抱くだけでは駄目だ。じっくり時間を掛けて娘の気持ちを揺さぶり、自分の事を話させてから攻略せねばならない。心を開かせなければ、本気で女を感じさせる事は出来ない。
それに娘の素性を確かめない事には、俺はとても手を出す気になれなかった。
俺の弁当を買って戻って来たユウイチは「仕置き部屋」に入ると、女が裸でなく着ていたセーラー服に戻されているのに驚いていた。
それでも両手は背中で手錠を掛け、首輪は高い位置からギリギリとチェーンで吊って、ピンと姿勢良く立ち続けねばならない拘束を施していた。
これは想像以上に体力を消耗する辛い姿勢であるが、娘は自分を拘束した張本人であるユウイチを見ると柳眉を逆立て、怒りに燃えた形良い二重まぶたの瞳で睨み付けてまだまだ気力が衰えていない様子である。
「女の子にこんな事していいと思ってんの!
最低だわ、いい加減に離しなさいっ!
警察に突き出すわよっ!」
俺に対してはシカトを決め込もうとしていた娘だが、歳の近いユウイチにはベラベラと文句をまくし立てていた。俺はユウイチがどう答えるか黙って見ていたが、情けない事に俺に泣き付いて来た。
「マサキチさん。
ずっとこの調子なんです。
一体どうしたらいいんでしょうか?」
やれやれ。スッパダカに剥き両脚を広げて拘束した女にののしられて、どうして良いかわからず頭を抱えているユウイチの姿を想像してしまい、俺はあまりの情けなさに嘆息してしまった。
仕方ない、少し助けてやろう。俺はユウイチが戻るまでに準備していた小道具を使う事にした。
「お嬢さん、聞かれた事には答えず、口汚く人をののしるだけの口ならいらないな。」
「な、何すんだよ!
やめろっっ!!」
「ユウイチ、そこのボールギャグとクスリのアンプルを取ってくれ。」
俺は不自由な体で暴れる女の顔をつかみ、鼻をきつく摘んだ。そして仕方なく空いた口の中にアンプルに入った薬剤を流し込み、柔らかい球状のボールギャグと呼ばれる口枷を噛ませていった。
本格的なSMプレイ用のもので、言葉を封じしゃべろうとすればボールに空いた穴からダラダラと涎がこぼれて屈辱を煽るという代物だ。
「ついでに目隠しもしといてやろう。」
少々暴れても外れない頑丈な目隠しまでしてしまうと、娘がハッキリ動揺の色を見せて、醜く歪んでしまった美貌にうっすらと赤みを走らせたのがわかった。しめしめ。さっそく小道具が確実な効果を示し始めたようだ。
俺は立たされたセーラー服の美少女の前にどっかと腰を下ろすと、弁当を食べ始めた。
「おい、ユウイチ。
オメエ、いきなり裸にするなんて無粋なマネをするもんじゃねえよ。」
「は、はあ、そうですか……」
イマイチ理解し難いらしい。
「こういう綺麗なお嬢さんは、着飾った所を愛でる所から始めるのが礼儀ってもんよ。
どうだ、セーラー服を着てる方が魅力的とは思わねえか。」
「そ、そうですね……」
裸の方がいい、と思ってる口調だな。まあ良い。個人の趣味は別にして、着衣のまま辱める「イカせ屋」のテクニックは会得してもらわねばなるまい。
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