下着泥棒
二次元世界の調教師:作

■ 1

「変わった下着泥棒だよね。
 選りに選ってお姉ちゃんのパンツを盗むなんて……」

 かっちーん! 私は生意気な妹沙織に一言言ってやろうかと思ったのだけど。

「そうよねえ……
 不思議だわ……」

 ママにまでそんな風に言われると、言い返す事も出来なかった。

「ホントに間違いないの、香苗ちゃん?」

「だって、ホラ、私のだけ少ないもん……」

 うちの庭に干しておいた女3人分の洗濯物が初夏の風のないカンカン照りの中で並んでる。沙織が1人ずつ分別して干してくれたので間違いない。小学生みたい、とからかわれる、私の飾り気ない純白の木綿下着だけなくなってる。

「どうして、アタシのが盗まれないで、お姉ちゃんのが盗まれるわけ?
 おかしくない、その下着泥棒?」

 コイツ、まだ言うか! でも私がキッと睨み付けても、沙織はどこ拭く風で不服そうに口を尖らせてる。まるで小学生がはぶててるみたいで、怒る気にもなれなかった。

「アタシのパンツの方が全然かわいいのにい〜。
 ママはどう思う?」

「沙織ちゃん、又泥棒が出るかも知れないから、今度はアナタ気を付けなきゃ。」

「でしょお!」

 何じゃそりゃ。確かに沙織が自分で買って来る下着は、ピンクのフリフリが付いてたり、いかにも女の子っぽいデザインので、ママのちょっとドキドキするようなセクシーな下着も並んでるのに、私の小学生みたいなパンツが盗まれるとは、自分でもビックリだ。

 でも私はママが買ってくれるのをそのまま着用してるのに。ママが沙織の言い分を認めたのがちょっとしゃくにさわった。するとまるで私の気持ちを逆撫でにするかのように、沙織がニッと笑って私に目配せをする。コイツがママも顔負けの際どいTバックだのヒモパンだのを隠し持ってるのを私が知っているからだ。

「アンタ達だけで、3日も大丈夫?
 ママ、やっぱり残ってようか?」

「大丈夫だよ、アタシがいれば。
 お姉ちゃんの面倒も見たげるし。」

 沙織が言ってるのは正しいので文句も言えない。大学受験生だと言うのもあるが、私は家事がまるでダメ。反対に沙織はとても家庭的な子で、普段からママよりよく働いてるくらいだ。きっといいお嫁さんになるに違いない。

「でも物騒じゃない?」

「下着なんか外で干さなきゃいいんだよ。
 それにママがいても、女ばかりには違いないんだし……」

 今私達のパパは長期研修とかで3か月ほど家を空けている。ママは、私達高校生が夏休みに入るのを待って、明日から3日ほどパパの身の回りの世話をしに行くんだそうだ。

 これまで家に私と沙織の2人だけ、なんて事はもちろんなかった。私はどの道朝から晩まで勉強漬けだけど、沙織は前からとても楽しみにしているようだった。

「それじゃ沙織ちゃん、頼んだわよ。
 戸締まりとかキチンとね。」

「わかったあ!
 行ってらっしゃい、ママ。」

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