下着泥棒
二次元世界の調教師:作

■ 13

 私は軽く人事不省に陥り、その後どのようにして集まった人達から逃れたのか記憶が定かでない。気が付くと何だか裏さびれた裏通りを沙織に引かれてとぼとぼ歩いていた。

「あ、あの、どこ行くの?」

 ようやく人心地を回復して来た私は、そう疑問を口にした。いつものファミレスのあるにぎやかな通りからは外れている。

「お姉ちゃんが又おかしくなったらもうアタシの手に負えないから、いい物買ったげようと思って。」

 もうその言葉だけで良からぬ妄想が私の頭を渦巻いたが、沙織は私の想像をはるかに超える恐ろしい事を考えていたのだ。

「ちょっとお使いに行って来てよ。」

「お使い?」

 そこは何だか薬局みたいな店だったが、どぎついネオンの看板には、「大人のおもちゃ」と言う電飾文字が流れていた。妄想がどんどん現実になっていく恐怖に、私は激しく体を慄わせる。

「アタシが買う物はメモに書いたげるから。
 お店の人に見せて買って来て。」

 一体「大人のおもちゃ」屋で何を買えと言うのか。沙織は用意していた紙にサラサラと沢山文字を書いている。そして手錠を外された私に、メモと一緒に渡されたのは高校生が持つには考えられないくらいの大金だった。

「お姉ちゃんを楽しませるために、前からバイトしてお小遣いも貯めてたんだよ。
 いい物、沢山買って来てね。」

 そして、メモと言うにはやけに沢山書かれた紙を見てしまった私は、そのおぞましい内容に正気を保てなくなりそうだった。

(私は、セックスドレイです。ご主人様のお使いで買い物に来ました。買いたい物は、目隠し、ボールギャグ、毛剃り用具、浣腸道具……)

 もうそれ以上は読むのをやめた。いい加減にして、悪い冗談はやめなさい、と沙織に言ってやろうかと思ったのだが……

「お姉ちゃん、さっきは凄かったね。
 したりなくて、あんな変態オナニーまでしちゃうんだもん。
 ホラ。」

「な、何よ、コレ……」

 沙織がケイタイで撮影した画像は目を疑うとんでもない代物だった。見知らぬ人の腕に跨って、股間を擦り付ける私。背中におっぱいを押し当ててる私。極めつけは、電信柱をガッと開いた脚で挟み付け、激しく腰を上下させながらウットリ目を閉じてる私……

「早く行ってよ。
 言う事聞かなきゃ、写真をバラまいちゃうぞ。
 竹中君に送ったげよっか?
 きっとビックリして、お姉ちゃんに惚れ直すかもよ……」

 私にはもう逃げ場が残されていなかった。

 約1時間後、大きな袋を提げてフラフラの足取りで戻った私に、待ちわびたように沙織が聞いて来た。

「遅かったね〜
 うわ、沢山買ったんだね、嬉しいなあ……」

「さ、沙織、これって……
 悪い冗談だよね……」

 その袋の中には昨日まで私とは無縁だと思っていた、いかがわしい物が山ほど入っている。これが現実だとはどうしても信じられず、私の言葉はしゃがれていた。もうその一部が体に装着されて、夢でも冗談でもない事はわかっていたのだけれど。

「もちろん、ぜーんぶお姉ちゃんに使ったげるよ。
 うふふ、嬉しくってワクワクしちゃうでしょ。」

「そんなわけないわ。」

「はい、ご褒美。
 手錠と首輪だよお〜」

 沙織が心底楽しそうにはしゃぎながら、私に再び後ろ手錠を嵌め、首輪をチェーンで店から出てすぐの少し脇道に入った辺りの建物に繋いで来ても、私は金縛りにあったみたいに全く抵抗出来なかった。

 ほとんど爪先立ちでしゃがむ事も許されず、首輪と手錠の冷たい感触を感じると、私は忍び寄って来るイケない感情に押しつぶされそうになる。
 
「ふふ、お姉ちゃん、こんな事されるのがクセになったでしょ。」

「バカな事言わないで!
 気持ち悪いだけよ……」

「でもお姉ちゃんのお顔、凄くえっちで嬉しそうだよ。」

 ドキッ!

 沙織の言う通りだ。私は手錠を嵌められ首輪を繋がれると、ゾクゾクとおぞましい興奮が全身を突き上げて来るのを、どうしようもなくなっていた。

「素直になろうよ、お姉ちゃん。
 ところで、ちゃんと着けてもらったあ?」

 沙織がセーラー服の胸部をはだけて小さなブラを外すと、プルンとこぼれた私の両乳房の先端に吸い付いた奇妙なスポイトみたいな物体が現れた。

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