淫蝶
二次元世界の調教師:作

■ 13

――本当にそうかしら?

「あなた、今日のお夕食はまりあが作ってくれたのよ」
「お、そうか! まりあは? ……もう寝てるのか」

 くたびれ切った主人が午前様で帰って来て、私の帰りが遅かったのでまりあが作ってくれた夕食を前にそんな会話を交わしていると、悪魔が私に囁きました。

――ウソばっかり。本当は校長先生に淫らな装飾を施されたいのでしょう?

「あなた、ごめんなさい。私も今日は仕事で遅くなってとても疲れてるの……」

 人の良い主人は、それを聞くと自分のことはそっちのけで私の心配をして下さり、早く休みなさいと、逆に押し出されるように私は寝床に入りました。そして私はそんな主人に大いに感謝しながらも、眠る前に今日のサンドイッチファックの興奮を思い出して危うく指を使ってしまいそうになる始末でした。今日はいつものおクスリなんか使われてもいないのに。こんな淫らな私は、校長先生の慰みものになって下腹部に装飾を施されても文句は言えないのではないかと思ってしまいました。

「ねえママ。今度の日曜の演奏会だけど……」
「……う、うん……」

 夏休み。私はブラスバンドに入って熱心に活動しているまりあと一緒に車で青蝶女学院に通う毎日です。まりあは昔からフルートをやっていて、今度の演奏会ではさっそくパートを任されるそうでした。仲の良い女友達も沢山出来たようで、こうして楽しく学校生活を過ごしている愛娘の姿を間近に見ることが、セックス奴隷として屈辱と快楽の日々を送っている私にとっては唯一の心の支えでした。

「パパと一緒に見に来てね。約束だよ!」
「……」
「ママ、どうかしたの?」
「な、何でもないわ……パパはお仕事がどうかしら……」
「えー。絶対に来てくれるようにママからもお願いしてよ」

 快活な甘えん坊口調で話し掛けて来るまりあに、ハンドルを握る私の応答は妙にぎこちないものでした。まりあのことを目の中にいれても痛くないほどかわいがっている主人は、絶対演奏会にやって来るに決まっているのですが、そんな適当なことを言って取り繕わねばならぬほど、私は淫蝶責めに気もそぞろでした。こうしてかわいいまりあと互いの息遣いも感じられる程の距離で話していると、淫蝶のはばたきは体の芯にまで嫌らしい快感を打ち込んで来るみたいで、事故を起こさないので精一杯の状態です。

――あああ、だ、ダメえ〜っっ!! おさねが凄いいっっ!! も、もうっっ!!

夏休みに入りさっそく校長先生に施された肉体装飾は恐るべき淫らなものでした。まりあがブラスの練習に励んでいる間、私は校長先生と教頭先生の手で淫蝶が体の一部となるよう嫌らしい細工をされてしまいました。乳首とクリトリスにピアッシングされ、金属製のリングに淫蝶の留め金を溶接されてしまったのです。これでもう二度と取り外すことは出来ません。こうして太陽電池によって半永久的に微振動を続ける精巧な蝶のはばたきは、寝ても覚めても官能を淫らにくすぐり立てて、ますますセックス奴隷にふさわしいはしたない体に私を貶めるのでした。

――ああ、まりあ笑わないで! ママ、又イクわ!……アン、イクっ! いくうううっっっ!!!

 夏の盛りとは言え空調の効いた車内で大汗を掻き、密かに気をやってしまっている母を、穢れのない無邪気なまりあはどんな目で見ていることでしょう。けれども、どんなに歯を食い縛り自制しようとしても、ピアスを通じて性感の急所にダイレクトに打ち響く淫蝶のバイブレーションは凄まじい威力でした。乳房を半ば覆ってしまう大きな2匹と比べて、股間の青蝶は挿入の邪魔にならぬよう小さ目のサイズでしたが、振動の力は変わりません。初めこそ痛くて痛くて夜もまともに眠れないような有様でしたが、3日もたたずに苦痛はあらかた治まり、その替わりクリップ型の淫蝶は子供だましだったと思われるほど、強烈な興奮を伴う甘美な感覚が後から後から次々に込み上げて来るようになったのです。

「ママ、最近夏バテしてるみたいだよ」
「……ママは大丈夫よ。心配しないで、あなたは演奏会のお稽古を頑張りなさい……ううっ!」
「ホントに大丈夫?」

 淫蝶のバイブレーションはごく軽微なものなので、普段は何とかごまかしごまかし、気をやらぬようやり過ごすことが出来ます。でも、まりあや主人と面と向かいお話しているとどうしても体が熱く淫らにざわめいて、達してしまうことを我慢出来ません。恐らく新学期が始まり、生徒たちの視線を浴びる教壇に上がることになれば、授業をしながら密かに気をやってしまう羽目に陥るのでしょう。淫蝶は取り外すことはおろか、ちょっとした刺激が加わっただけでたちまち激しい振動に変わってしまうので、下着を身に着けることも出来ず、ゆったりとした服装で刺激を与えぬよう気を配らねばなりません。ロングスカートを余儀なくされている下半身は特に、危険な爆弾を抱えているようなものでした。

 私は電車通学が嫌でたまらなかった学生時代のことを思い出します。日本人離れした容姿のせいで私は痴漢に狙われ易く、誰よりも長いスカートで露出を抑えていたにも関わらず、お尻を触られてしまうのは日常茶飯事でした。運転が覚束ないからと言って、今の私が電車などに乗るのは自殺行為です。他意はなくても他の方と体が接触したら大変です。万一本物の痴漢に遭遇したら、その嫌らしい手に官能を乱されてしまうことを絶対に我慢出来ないでしょう。それとなくまりあに聞いてみると、やはり青蝶に通学する電車内で時々お尻を触られてしまうそうです。夏休みに入り私が車で送迎するようになったので、ホッと安心しているようでした。

――ああ、たまらない……アソコにも、お尻にも欲しいの……

 そして学生時代には決して理解出来なかった女の性欲の深さに、私は今直面していました。淫蝶で何度も昇り詰めてしまうにも関わらず、私の前後の淫穴は常にウズウズと欲情を露にしています。今日もこれから校長室へと向かい、校長先生と教頭先生に淫虐の限りを尽くされるのを心待ちにしているのです。あの媚薬クリームはもう使われてはいませんが、そんなものがなくても私は常に発情している盛りのついたメスネコ同然でした。もちろん1人えっちは固く禁止されているし、淫蝶を体に溶接された今主人と夜の生活を持つことは一切諦めなければなりません。

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