狂った果実
二次元世界の調教師:作

■ 2

 いつも判で押したように始業30分前に教室に現れ、皆にシカトされる針のむしろみたいな状況にも関わらず無表情で席についている翔太が、今日に限って遅刻ギリギリで現れたのだ。それにいつもと違って妙に大きな袋を持っていたが、そんなことを気にしている間もなく、朝のホームルームが始まりアッコTがやって来た。新任なのでまるで教育実習生みたいな黒いスーツを着ていてメガネを掛けているが、なかなかの美人で生徒には人気がある。

――アッコT、いいケツしてるよな……

 そしてこの先生、ガードの堅い服装の上からでもわかるナイスバディーなのだ。高校1年生の男子には刺激が強く、間違いなくアッコTをおかずにせんずりに励んでいる生徒がかなりいるだろう。何を隠そう、この俺がそうだ。俺の本命は香奈子だが、体だけなら年長の先生に軍配が上がる。

「今日はちょっとみんなに聞いてみたいことがあります」

 いつものことだが、先生の美貌とナイスバディーに見とれていると、アッコTは妙なことを言い出した。

「このクラスにいじめがあるのではないか、と言う噂があるのですが」

 それまで私語をしていた連中も押し黙り、教室は水を打ったみたいに静まりかえった。皆顔を見合わせるのもはばかられるのか、黙って下を向いているようだ。俺は慎重に目を動かして2列ほど前の翔太の様子をうかがった。するといつもと変わらず、まるで自分には無関係だと言わんばかりの様子で微動だにせず座っている。

――昨日あんだけ痛めつけてやったのに、タフな野郎だ……

 小学校からいじめられることに慣れている翔太だが、さすがに応えて学校を休んだのかと思った矢先のことだ。俺はさらに香奈子や、よっち、しんご、それに文江と言ったいじめグループの様子もそれとなくうかがったが、誰1人特別な様子には見えなかった。

「先生はそんな噂は信じていません。みんな、人をいじめたりしない、いい子ばかりだと思っています」

――甘いんだよ、先生……

 新米だから仕方ないのだろうが、俺は翔太がどんな気持ちでアッコTの甘い言葉を聞いていることかと思うと、逆に哀れに思えてしまった。鉄仮面で感情の起伏に乏しい翔太だが、もちろん普通の人間としての感情を持ち合わせていることも、俺たちにはわかっている。こいつ、あろうことか香奈子にラブレターを書いて寄越したのだ。香奈子はいじめグループだったわけでなく無関心派だったのだが、いじめグループの紅一点である文江と仲が良く、彼女に打ち明けてしまったのが翔太にとっては運の尽きだった。

 いじめられっ子の分際で、クラスのアイドル的存在の香奈子を好きになること自体、許されないことだろう。彼女を狙っていた俺はもちろんのこと、皆激怒して翔太を手ひどくシメてやろうじゃないかと言う話になり、それとなく文江が持ち掛けると香奈子も仲間に入れてくれと言ったものだから、俺たちは驚いた。香奈子は、俺たちがいない時は翔太をシカトしたりせず、普通に挨拶を交わしていたらしく、だから翔太は勘違いしたのだろう。が、だからと言って仮にもラブレターをくれた男子のいじめに加担しようとは。

――マジで、女の子が信じられなくなったな……

 今もツンと澄ましている香奈子を見て、昨日のことを思い出した俺は、そう思わないではいられない。昨日の放課後、俺たちは学校の近所にあるしんごの家に翔太を連れ込んだ。1人っ子であるしんごの家は、親が遅くまで帰らないので、翔太をシメるのによく使っているのだ。そこで俺たちは、香奈子にラブレターを出したことを持ち出して責め、制裁を加えてやると言い手錠で人の字に拘束してやった。その状態で、当の香奈子までいじめ仲間として登場した時、いつも無表情な翔太が激しく狼狽し、手錠を引き千切ろうと暴れた様子が、俺たちのいじめ欲に火を注いだと言って良い。情け容赦なく翔太のズボンを下ろして下半身を露出させると、巨乳巨尻のエロ娘文江がシコシコせんずって勃起させ、皮被りを罵倒しながら何度も射精させ、股間を引っぱたいたりケリを入れたりした。さらに顔にションベンをぶっ掛けたり、陰毛を1本ずつブチブチと抜いてやったり、チンポをライターの火で炙ったり……そしてその一部始終は写メで撮影したのだが、ラブレターを出した相手の香奈子にそんないじめを受けた翔太のショックは相当のものであったはずだ。

「みんな目を閉じて。先生信じてますから、絶対目を開けないでね。このクラスにいじめがある、と言う人は静かに手を挙げて下さい」

――はっ! きょうび小学生でも、そんなバカ正直なやつはいねえよ……

 全くアッコTは甘い。だけどいい女だから許す。当然ながら俺は薄目でクラスの様子をうかがった。さすがに何人か挙手するやつがいるだろうか。

――やっぱ腐ったクラスだぜ……

 結局挙手したのは、翔太本人だけ。俺はホッとすると言うより、情けなくなってしまった。どんだけ薄情なんだ、コイツら……

「ありがとう、もう目を開けてもいいわ。やっぱり先生の信じた通り、このクラスにいじめはないことが……」

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