女子能力開発研究所
二次元世界の調教師:作

■ 2

――彩美の体を洗ってやりたい……

 もちろん人の親としてそんなことが出来るわけはないが、俺はどうしてもそれを想像してしまい、浴室から離れる途中で情けないほど興奮して股間を手で抑えていた。彩美が完全な引きこもり状態になってもう数ヶ月。恐らく垢とぜい肉にまみれた娘の体中を優しく洗い流して、真っ白な博多人形のようだった美少女の姿に戻してやるのだ。

 今外界との接触を拒み、唯一俺にだけ心を許している彩美は、俺が部屋に入っても壊れた人形のように無感動無反応だ。正直に言おう。俺はそんな彩美を見ていると襲ってやりたいと言う強烈な衝動に駆られて怖くなり、いつまでも娘の側にいることが出来ないのだ。今一糸まとわぬ姿で湯船に浸かっている彩美は、俺が浴室にちん入してもなお無反応でいるだろうか? そしてそんな無反応な彼女をいいことに、父親として体を洗い流してやることは許されない行為だろうか?

――何をバカなことを考えているんだ。 彩美の心を壊してしまうつもりか?

 俺は危うくそんな危険な衝動に押し流されそうになる自分を、何とか理性で抑え込もうとした。引きこもって他人から心を閉ざしている少女に性的な悪戯を加えれば、さらに彼女の心を傷付けてしまうのは間違いない。それも仮にも実の父親からとなれば、一生消えないほどのトラウマを負わせてしまうであろうことは、俺にも十分理解出来ることだ。

 だが今全身に横溢する狂いたちそうに凶暴な欲情の嵐をどう発散すれば良いのか。俺は玄関に置いてある洗濯機まで彩美の脱いだ衣服を運ぶと、しゃがみ込んでズボンを下ろし爆発しそうな脈動を示している欲望の塊を摘み出す。そして引きこもる前から着用していた彩美の白いパンツを手に取ると、染みがベットリと付着し茶色くなった布地をクンクンかぎながら自慰行為を始めてしまった。

――臭い……これが彩美の生きている証か……

 あっと言う間に訪れた股間の爆発に、俺は慌てて手にした彩美のパンツで白濁液を受け止めた。

――すまない、彩美……

 俺は娘に心の中で頭を下げながら残り滓までそのパンツで拭き取ってしまい、他の衣類と一緒に放り込んで全自動洗濯機のスイッチを入れる。凄まじい罪悪感と自己嫌悪に陥りながら廊下を引き返す俺はしかし、まだ一向に衰えぬ股間をいきり勃てていた。そしてこの機会に掃除してやろうと、彩美の引きこもっている部屋に入り込む。

――な、何だ、この異臭は……

 部屋に入るなり男にとっては過酷な、女の臭いが鼻を刺激した。引きこもりの娘などを持たなければ、一生馴染みになることもなかったであろう、汚穢に満ちた悪臭だ。掃除をしてやるなどと言ったが、何の活動もしていない彩美は部屋を汚すこともない。食べ物や菓子の包み紙などは部屋の隅のごみ箱に捨てている。だがこの悪臭はその箱が発生源だ。俺は何と言う変態野郎だと自分を責めながら、彩美に対する募る思いを発散出来ず夢中でごみ箱を漁る。あった。彩美が使った生理用品だ。

――お前がこんなど変態の父親だから、彩美はこんなになってしまったんだ……

 俺はやり場のない怒りを自分にぶつけながら、自棄になったように彩美の生理血の臭いを嗅ぎ舌で舐めながら、なおも変態丸出しの自慰行為に耽った。そして2発目と言うのに驚くべき量の精液を、彩美の使用済みナプキンでぬぐい取り、彼女の血で亀頭を汚して倒錯気分を味わってしまう。

 その時だった。俺がケイタイから呼び出しを受けたのは。

「田中さん! 彩美さんのご様子はいかがでしょうか?」
「どうもこうもありませんよ。相変わらずです」

 掛けて来たのは誰あろう和田さんだった。俺と同じ父子家庭で、その娘も同級生と言うことで、ずっと家族ぐるみの付き合いをしている男性である。そしてその娘が高校に入学してからドロップアウトし掛けている、と言う共通の悩みまで抱えて、お互いに連絡を取り合い励まし合っている仲だ。俺は彩美の部屋で彼女が使用した生理用品を漁り自慰に耽ると言う狂気じみた行為から、正気に戻されたようでハッとした。こんな状況だから、いつもは湿っぽいグチを言い慰め合っている和田さんが、今日の口調は妙に明るく興奮しているようだった。

――そうだ。和田さんは娘の奈津子さんを矯正施設に入れたとか言ってたな

「奈津子さんは……」
「それなんですよ! 今日施設から戻って来たんですが、もうビックリなんですよ、これが!」

 どうやら奈津子さんが更生されて帰って来たらしい。俺が「更生」と言う言葉を使うのは悪いと思い少し黙っていると、興奮仕切りな様子の和田さんは1人で話し始めた。

「私も半信半疑で金をドブに捨てるつもりだったんですが、奈津子がまるで別人になってくれたんですよ! ホントにもう信じられません! 思い切って預けてみて正解でした、奈津子がこんな、立派になって……」
「それは良かったですね。おめでとうございます」

 何と和田さんはここで涙声になり、言葉に詰まってしまった。和田さんは俺より少し年下で、体育会系でガタイがデカいだけが取り柄の俺と対照的に小柄で優しそうな人だが、涙まで見せるとはよっぽど嬉しくて感激しているのに違いない。俺は素直に祝福する気持ちになって言葉を掛け、彼との会話を続けた。奈津子さんは違う高校だが、引きこもりの彩美と違い、悪い不良仲間と付き合うようになって生活が乱れ家出したり学校にも行かなくなり、彩美と同じく1年生で留年して新学年を迎えてしまったのだ。俺も何度か奈津子さんを見掛けたことがあるが、髪を妙な色に染めて下品な厚化粧を施し、制服をひどくだらしなく着崩した完璧なヤンキー娘になっていて、快活で感じの良い子だった彼女のあまりの変わりように驚かされたものだ。

 奈津子さんはついに警察沙汰にまでなり、退学処分になるのも時間の問題となって、困り果てた和田さんは、わらをもすがるつもりで人伝に紹介されたその「施設」に彼女を強制的に入れたのだそうだ。そして親元を離れて寝泊まりし1か月間の矯正教育を受けた結果、奈津子さんは生まれ変わり前以上に素晴らしい娘さんになって、和田さんの元に帰って来たのだ。

「電話口でいくらお話してもおわかりにならないでしょうから、今度うちに来て頂けませんか?」

 和田さんはそう俺に誘いを掛けると電話を切った。しょっちゅう家を出て遊び歩き警察のお世話にまでなったヤンキー娘の変わりようを、俺に自分の目で確かめろと言うことだろうか。和田さんは俺なんかと違ってとても誠実な苦労人で、軽々しく冗談を叩くような人ではない。俺は彩美の使用済み生理用品を処理しながら、俄然興味がわいて来た。

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