女子能力開発研究所
二次元世界の調教師:作

■ 15

 それにしてもこんな積極的で激しい求愛行動も研究所の教育の成果なのだろうか? 彩美は唇を吸いあったまま手を俺の股間にやって、ギンギンに突き上げているペニスをズボンの上から掴むと、口を離して言った。

「パパも彩美とえっちしたかったんだね。嬉しい……」

 俺の方はまだ彩美の体に触れることを躊躇していたのだが、これはもう抱いてやらなければなるまい。そう覚悟を決めた俺は脱ぎかけだった靴を脱ぎ捨て、玄関から入ってすぐの居間に入った。俺がいつも布団を敷いて寝ている畳敷きの部屋だ。もちろんガッチリ握ったアタッシュケースも持ち込む。いよいよ娘と合意の上での、SMグッズを用いた藍の営みが行われるのだ。和田さんの言葉を借りるならば、俺は「日本一の果報者」だった。

「ねえパパ。パパだけ脱いでよ」

 2人で居間に入り、アタッシュケースを置くと、彩美が妙なことを言った。

「男の人ってセーラー服を着たままエッチする方がコーフンするんでしょ?」

 おお、何と言う素晴らしい提案だろう。余人は知らず、少なくとも俺に関してはその通りである。これも研究所の教えかと思えば、大金をはたいた甲斐があろうと言うものだ。俺は彩美がニコニコとみつめる前で、暑苦しい背広を脱いでいった。そしていよいよパンツまで下ろそうとした瞬間彩美が声を掛けて来た。

「パパ。こんなのコーフンする?」

 パンツを脱ぎ掛けていた俺が目を上げると、何と彩美は両手でセーラー服のスカートをガッと上げる挑発的なポーズを取っていた。もちろん下に興ざめな黒い衣類など着用してはいない。チラリとだがハッキリ覗けてしまっている下着は小学生がはくような何の飾りもない白だったが、俺は脳の血管が切れそうなくらい興奮して一気にパンツを脱ぎ捨てると、娘の名前を大声で呼んだ。

「彩美っっ!!」
「このヘンタイオヤジっっ!!」

――ええ〜っっ!?

 娘の意外な言葉に驚愕した俺の股間に、次の瞬間彩美の強烈な蹴りが炸裂し、モロに急所を痛めつけられた俺はグエッと言う感じの低い悲鳴を上げ、あまりの痛さに股間を押さえてしゃがみ込んで動けなくなった。情けないがボロボロ涙が出て、ショックと激痛でわけのわからない俺の両手を彩美は捻り上げて背中で手錠の音をガチャリと鳴らす。あっと思った次の瞬間には、首輪まで嵌められて彩美にチェーンでグッと引っ張られていた。

「立つのよ! パパ」
「……」

 彩美の口調はさほどきつくはなかったが、強烈な痛みでもんどりうっている俺の首輪を引く手の力は全く容赦がなく、俺は悪夢の中にさまよい込んだような気持ちで前かがみになり何とか立ち上がる。情けないが完全に息が上がってしゃべることも出来ず、うつろな涙目を彩美に蹴られた箇所にやった俺は再び衝撃を受けた。

「パパってどMなんでしょ?」

 言葉の出ない俺は、そんなことをかわいらしい声で口にする彩美に怯えた視線を送り、首を振って否定した。

――彩美の方がどMのはずだぞ。研究所の矯正教育を受けて……

「じゃあ、どうしてチンコを蹴られてそんなに射精するのよ」

 俺が受けた衝撃はそれだ。彩美と「親密な関係」になることを期待して、ナニが痛くなるくらい大量に溜め込んでいたザーメンが、股間を蹴り上げられた瞬間激痛と同時に放出されて俺の脚や畳にまで飛散しているのだ。だがそれはショックで失禁したようなものだと思う。断じてエクスタシーを感じたわけではない。

「私、パパのこと大好きだったの。ううん、今でもだ〜いすき」

 彩美は首輪を引いて立たせた俺に告白した。

「パパがママと別れて、私ホントは嬉しかったの。だって大好きなパパと2人切りで暮らせるんだもの」

 俺はジンジン頭に響く痛みと精神的ショックでまとまらない意識の中で、娘の気持ちを納得しながら聞いていた。そうだ。そうでなければ、家では何もせず他の女と密通して妻に愛想を尽かされる俺のような父親に、娘がついて来るわけはなかった。

「でもね、その時はそこまで良く自分の気持ちがわかってなかったの。研究所で生まれた時からのことを振り返って、今やっと本当の自分の気持ちに気付いたわ……座っていいよ、パパ」

 彩美が首輪を緩めてくれたので、俺はその場に正座した。言われたわけではないが、正座する気分だったのだ。

「中学に入って、私もっとパパのことが好きになった。私が家のことしてあげないと、何にも出来ないんだもん。だから私、パパのためにご飯も作ってあげたし、掃除も洗濯もやってあげたでしょ」

 その通りだった。ボンクラな俺のために彩美はまるで妻のように尽くしてくれる、申し分のない良い子だったのだ。

「私ね、パパがえっちな目で私を見てたのも、良くわかってたよ。セーラー服が好きだよね、パパ。それにパパはえっちなだけじゃなくて、ヘンタイなんだ……」

――まさか、知ってたのか、彩美……

 彩美に「ヘンタイ」と名指しされた俺はドキッとしたが、娘は俺が思っていたよりずっと大人で、何もわかっていなかったのは俺の方だったのだ。

「私の下着や生理用品でよくえっちなことしてたよね、パパ。私、初めは意味わかんなくて、すごくショックなだけだったの…… でもだんだんヘンタイな人のことがわかるようになって、パパも私のことが大好きなんだな、と思えるようになった。私ってとてもえっちな子なの。小学校から1人えっち知ってたし、パパが私の下着でシテるんだと思ったら、私もパパのこと考えながら1人えっちしちゃってた……」
「…… 彩美」

 ようやく口から出たその言葉は、しゃがれた小声でしかなかった。

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