寝取られ男の復讐
二次元世界の調教師:作

■ 41

「違います! この写真を見て下さい。これは私の母です……」

 夫がさらに違う女性とラブホテルに入る写真を見せられて、ますますうな垂れてしまう木村校長。あの謹厳で少しのスキも見せない立派な教育者である校長が、自分の夫の浮気三昧の姿を見せられ、さらにそのことに付随する弱みまで握られて、弱弱しく萎れてしまった様子に、俺は哀れみを感じると同時に不埒な黒い歓びも覚えてしまっていた。そして優美ちゃんの暴露は容赦なく続く。

「理事長は、私の特待生の権利をエサに母に迫って関係を持ちました。それだけではありません。母を抱いている現場に私まで呼ばれて、乱暴しようとしました。私が拒絶すると、怒って特待生の資格を剥奪したんです!」
「う、うそです……あの人が、そこまでひどいことを……」

 血の気が引いて顔面蒼白になってしまった哀れな校長の様子に、興奮していた優美ちゃんもしばらく矛先を収めたが、俺が替わりに言った。

「残念ながら、本当です。あなたの大切な旦那様は、裏では浮気を繰り返した上に、利権を振りかざしてとんでもない行為をなさっていた」
「やめて! もう聞きたくありません、そんな作り話など……」

 するとここまで姉の前で黙秘を通していた愛華先生まで話し始めた。

「お姉様、よく聞いて下さい。この人たちの言ってることは全部本当です。でも、お義兄様の一番ひどいことは……」
「お姉さんにバラしてしまっても、いいのですね、愛華さん」

 打ち合わせてはいたものの、いざ実行に移すとなるとさすがに気の引ける俺は愛華先生に確認を取り、山川理事長の、人として許せない最も鬼畜な行為を、妻である木村校長に暴露していった。

「この写真を見て下さい」
「!?」

 もうショックで顔面が引きつり一言も発せずにいる校長の目の前に、俺は夫である理事長と実の妹である愛華先生の情交場面の激写を並べていく。全裸で緊縛された愛華先生が、理事長の腐れ切ったイチモツを口に含まされている決定的な写真からは、もう完全に視線を反らした校長は、普段の彼女からは信じられないことにシクシクと女っぽく泣き始めていた。

――校長が泣いている!

 こうも分かり易い反応をされると、俺はかえって困ってしまった。彼女の夫である理事長の行為は確かに人道にもとる許し難いものであるが、それをもって妻の木村校長につぐないをさせる、ということには激しい良心の呵責を覚えざるを得ない。夫に裏切られた彼女自身が一番の被害者とも考えられるからだ。

「ああ、お姉様……」
「校長先生……」

 仲の良い実の妹である愛華先生や優美ちゃんも、泣き出してしまった校長に対してどうして良いかわからずオロオロしている。ここは俺がやるしかないだろうと思い、心を鬼にして言った。

「あなたの夫の理事長の本当の姿がおわかりになりましたか? もしこれらの写真が表沙汰になったらどうでしょう? 名門女子高の理事長をめぐる一大スキャンダルですよ。警察やマスコミも放っちゃおかないでしょうね。山川理事長は身の破滅でしょう」

 すると泣きじゃくるばかりと見えた木村校長は、ちゃんと言葉を発したのである。やはり彼女は気の強いしっかり者の女性である。

「やめて……そんなことはなさらないで下さい。あの人がしたことのつぐないは、私が何なりといたしますから、どうか……」

――クソ! 何て立派な人なんだ、木村校長は……

 俺が言ったことではあるが、自分を裏切り他の女性と密通を重ねた夫のために、つぐないをしてやるだなんて、あり得ないではないか! 俺は、木村校長は理事長を愛している、と言う愛華先生の言葉は本当だったと、痛感した。一回りも年下で美形と言うだけでなく、そのしっかりした優しい心根の点においても、木村沙希校長は女好きでボンクラの理事長などにはもったいない素晴らしい妻だったのである。

 だが幼なじみの貫太と出会い、童貞を捨て恋人の愛華先生を奪還して、彼女を身も心も虜にしてしまった俺は、もう昔の情けない俺ではないのだ。木村校長を抱いて女の歓びを与え、理事長のような鬼畜野郎のことを忘れさせてやるのは、むしろ彼女のためになることではないだろうか。俺はそう勝手な男の論理を組み立てると、木村校長に迫っていった。

「では、つぐないをして頂けるのですね、校長先生。僕にあなたを抱かせて下さい。それでこの件はなかったこととして、水に流してあげましょう」
「そんな! 私は夫のある身です……」

 妹と同じ言葉を口にする校長。だが良心の咎めより、美しい女性をいたぶる加虐の歓びの方を強く覚えている俺は、もちろん許さない。

「あんなひどい旦那さんに義理立てすることなどないではありませんか。もう何度もあなたを裏切った夫を守るために、あなたはたった一度他の男に抱かれれば良いのですよ。そのくらいでバチは当たりゃしないでしょう。いいですか、これはあなたの旦那さんを守るためなのです……」
「……わかりました」

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