セレブ欲情調教
影山有在義:作

■ 幻惑4

「お前はいつからそんな淫乱になったんだ」
冷たい声の夫のその一言で、のり佳は正気に返り、始めて自らの行為を恥じた。
どうして、こんなになってしまったのか。その答えはのり佳自身が一番よくわかっているのだ。

もう一人の私がいるのだ。淫乱な私が、私の中に潜んでいるのだ。
虐待されると燃えあがり、とめどもなく大きくなる肉欲。
一度嵌ると見境が無くなってしまうのだ。
“もう一人の私”をなんとしても封じこめなくてはいけない。
夫から再び優しい抱擁を受けながら一緒に眠りたい。
のり佳は禁欲をかたく決意するのだった。

 その時、使用人の一人がのり佳を呼びにきた。
「奥さま私の実家から季節はずれのめずらし野菜が届きましたので御覧になっていただきませんか?」
「まぁ、一体何かしら」
のり佳は努めて明るい声を出して、腰をあげた。

 キッチンの奥にご用聞きようのドアがあり、そこの一角に使用人達が集まってガヤガヤとざるの中の野菜をのぞき込んで賑やかだ。
「みなさん、賑やかなこと。何があるのかしら」
明るい声でみんなに声をかけた。
「奥さま、見てください、この大きなナスとキュウリ」
一人がそう言って、ざるを、のり佳によく見えるように傾けた。
「私の実家は農業を営んでまして、飾り用でこのような大きな野菜を作ったりするのですよ」
さっきの使用人の年配の女性が説明した。

 ざるの中には、特大のナスとキュウリが数本あった。
長さが30センチほどのナスは先の一番太いところが5センチ程もあった。
キュウリも長さが30センチ位で先端部が大きくまるびをおびていた。
「まぁ、なんて大きいでしょう!」
のり佳もはしゃぐように言った。
「縁起ものですから、どこかに飾りましょうね」

その時使用に達の中の一人がナスをムンズと掴んだ。
大きな節くれだった指がナスの根元をしっかり握っていた。
ナスの大きく膨らんだ部分が黒く照り光っていた。
帽子で目元が隠れているが源蔵とすぐにわかった。
微かに口元が笑っているように感じたのはのり佳だけか。

「あら源蔵さん、ぶっきらぼうに、いやですよ」
先ほどの使用人の女が笑った。みんなもいっせいに笑った。

その笑いが何を意味するのかわからなかったが、のり佳は笑えず、その手元を見て、あの忌まわしい光景が一瞬蘇えった。
そう、源蔵が自らのペニスをしごいている姿。
その次ぎに行われるであろう行為。
また、茶室のような醜態を晒すまいと必死で目を固く閉じた。
頭の中からその思いを払拭すべく拳を握りしめた。

“こらえるのよ、こらえて”

「奥さま、いかがなされましたか!大丈夫ですか!誰か救急車を!」
「大丈夫。大丈夫です。ちよっと、眩暈がしただけです。本当に大丈夫」
無理に笑顔を作ったが額に汗をうっすらとかいていた。
「大丈夫だから、ほら大丈夫でしょ、ね」
のり佳は自分に言い聞かせるようにつぶやきながらふらふらと歩いて自分の寝室へと向かった。
 寝室にたどりつき、ベットの脇でマットにもたれるように崩れた。

“源蔵、源蔵!そうあの男が悪の根源だった。まだあの男はここにいるのだわ”

義男をけしかけられ、私は狂わされた。
義男の舌がねっとりと乳首を締め上げた。
どうゆう技法を施しているのかは分らなかったが、真空状態の口の中で乳首が痛いほど硬くされ、そこにあの舌が絡みついてきたのだ。
時々、ざらざらと舌が動くと私のバギナもどろどろと汁を染み出した。
散々じらされて、ようやくバギナにたどり着いた舌は、節足類のような細かな蠕動をバギナにあたえた。そして、一番敏感な先端にも。
私は完全に淫乱地獄に陥った。

そんな私の姿を見ながら源蔵はしごき始めたのだ。
源蔵に口を巨根で犯されたとき、源蔵に思いっきり貫いて欲しかった。
犯してくれと懇願した。
私の口の中に放出しようとする源蔵を阻止したかった。
私の疼きを鎮めて欲しかったからだ。
私をサカリのついた牝に変え、その姿をあざけりながら、私の顔面に精を放っていった。
しごかれるあの巨根が私の目の前で反りかえり、カリを広げきって唾を吐きかけたのだ。

“悪魔の源蔵、私を狂わせた源蔵。憎い。憎いのに、なぜ、なぜ私をここまで狂わせる!”

 のり佳の首筋から頬が赤くなる。手が股間に延びて行く。

“あんな男に。私が蹂躙されて。気色わるいテクニックで無理やり!”

乳首がブラの中で硬くなり擦れている。バギナが充血しはじめている。自然と口が開いて舌が這いずりまわる。

“だめ、だめだったら”

清楚なのり佳が叫んでいる。

“正樹さんとの生活はどうなるの”

のり佳は股間を掌でぐっとおさえ、固く目を瞑った。

「奥さま、だいじょうぶですか!」
ノックの音が響いている。

のり佳はハッと目を開けた。慌てて立ちあがりドアを開けた。
 さっきの使用人が心配そうにのり佳を見つめている。
「冷たい水をお持ち致しました。どうぞ」
「ありがとう。おかげで良くなったわ。ご心配かけてすみません。お水、いただくわ」
のり佳はおいしそうに水を飲んだ。
「助かったわ。これでもうだいじょうぶ。ありがとう」
のり佳はすっきりと吹っ切れた。
これからも、何かあっても乗り越えられる自信がでてきた。

 “私がしっかりすればいいことなんだわ。いたずらに体を慰めたりしないことだわ”

のり佳の顔に自信が戻ってきた。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊