支配の小屋
しろくま:作

■ 10

和輝「おい、由香! 起きろ!」
 和輝の声に従い由香が目を覚ます。
由香「ひっ!」
 由香は、まるで悪魔を見たかのごとく脅えている。周りを見渡し、美紀がいないことに気づくと恐る恐る口を開く。
由香「み、美紀ちゃんは?」
和輝「あ〜、あいつは結局、君の身代わりになったわけだ。まぁ、何をされたかは本人に聞くんだな」
 今はまだ、二人の関係を崩さない方がいい。
 由香も急いで服を着た。そして、落ち込んだ様子のまま、この《小屋》を後にした。
 和輝は始めての、SEXの体験の余韻に浸っていた。

 その夜、和輝はこれまでの、2回分の行為を撮影したビデオを見直していた。
和輝(いやぁ〜よく撮れてる。高いやつ買って正解だったな・・・)
そんなことを考えながら、ビデオの中身を観察していた。
和輝(ちょっと、由香の処女を奪わせたのはもったいなかったかなぁ)
和輝(それにしても、美紀はまだ感じてなかったみたいだったなぁ)
などなど、これまでの反省をしていた。
 しかし、そのビデオを見ていると、和輝はまた興奮し始めてしまった。そして自分が主演のAVを観賞しながらオナニーをし始めた。
 イヤホンで周りに聞こえないようにして、自分の皮のかぶったモノを右手でつかみ、しごき始める・・・
 SEXの時とは違い、普段しなれているもの。あの時ほどの快楽は得られない。それでも、自分が出演していることもあって、普段より興奮している。
 和輝は美紀のことを思いながらオナニーしている。
和輝「・・・み、美紀・・・うぅ!!」
 数分間しごき続けた後、和輝は射精した。ちょうどビデオの中で和輝がイッタ瞬間と重なっていた。
 和輝が射精をし終わって数分後、一本の電話がかかってきた。それは裕之からだった。
裕之「ねぇ和輝、今日もあの《小屋》に行ったんでしょ? いったいどんなことしたの?」
 裕之は興味津々の様子だ。普段は真面目な分ギャップが激しい。
和輝「あ・・ああ、今日美紀とヤったよ。結構気持ちよかったぞ?」
和輝「あと、由香・・・あぁ、美紀の友達の。知ってるか?」
裕之「!!!」
裕之「・・・う、うん・・・」
 裕之は何故か動揺していた。それは電話越しでも伝わってきた。
和輝「どうかしたか? まぁいいや。美紀にさぁ、由香のあそこに、ぶっといバイブを突っ込ませたんだ。」
和輝「いやぁ、面白かったぜ? 親友の処女を奪わせる! あいつヘコんでるだろうなぁ」
裕之「な、なん・・・い、いや、分かった・・・」
 裕之はなにやらショックを受けていたようだ。
裕之「・・・次はいつなの?」
和輝「2日後。呼んだのは美紀だけだ」
裕之「そう・・・もう切るね」
和輝(あいつ・・・もしかして・・・)
 和輝は、気にはなったが深くは追求しなかった。
和輝(由香を標的になんてしなきゃよかったかな・・・いや、俺の考えすぎか。)
 和輝は自分にそう言いきかせることにした。
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 しかし、裕之は昔から由香に惚れていたのだ。
 ちなみに、和輝や美紀とも同じ中学ではあったが、そのころ和輝とはほとんど交流はなかった。クラスが違えばそんなものだ。
 実際、裕之は相当のショックを受けていた。いや、そんなこと信じたくなかった。
 裕之の頭の中では、由香は処女でなくてはならない、処女であって当たり前だった。そして、オナニーする時は、いつも自分が由香の処女を奪うところを想像していたのだ。
 美紀を困らせるためだけに由香の処女を奪うなんて・・・そう考えて、悩んだことだろう。
 この時から、和輝と裕之の関係が崩れていった。和輝は何も気づいてはいないが・・・
 そして、裕之が変わっていったのもこの頃からだった。

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