羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第一章1

★きっかけ

これは、郊外にある公立高校での話です。
3年2組のクラス委員である智子が体験した事は、今でもトラウマとなって心の奥底に刻まれて癒える事は無いでしょう。
智子は、学業だけでなくスポーツも万能で、でも、それを鼻に掛けること無くクラスでも明るく人望が厚い事から、1年生の時からクラス委員をしている。3年になった時は、先生からも生徒会長になってはどうか。と誘われた事もあった。智子本人は、そこまでする自信がなくやんわりと断ったようだが…
それ程、生徒や先生から評判が良いと、それを妬む輩が出てくるのも仕方が無いのでしょう。この3年2組にも智子を妬むグループがいた。美穂を中心にした典子と晴美の3人組。
その3人組は、智子と正反対のあまり良くないいわゆる不良と云われるグループのメンバーだ。智子に対して妬みはするが、特に害を及ぼす事も無かったので、無視をしている位だった。智子も又、あまり関わらないよう避けている。
そんなある日、美穂を怒らす出来事が起きた。
月曜日の1限目・数学の時間、先週行なったテストが返された。勿論、智子は満点で3人組は全員白紙だったので0点であった。ここまでは、いつもの光景であり、なんでもなかったのだが先生が、
「智子、よく勉強しているな。満点はお前だけだぞ。それに比べて、後ろの3人。ちょっとは智子を見習え!」
智子は(ドキッ!)として、恐る恐る後ろを振り返ってみた。真ん中に座っている美穂がすごく怖い目で私を睨んでいた。智子はすぐ前を向いたが、その目が脳裏から離れなかった。(先生、なんて事を言うのよ。睨まれちゃったじゃない。私、何も悪くないよね。)
先生の軽率な発言が、智子と3人組を結び付けてしまった。
この日、2限目以降、3人組は教室に現れる事はなかった。
3人組は、駅の近くにあるカラオケボックスに来ていた。
美穂「智子ってムカつかない?」
典子「ムカつく!」
晴美「ちょっと絞めてやろうか!」
美穂「あまり派手に動くとこっちが危ないね」
晴美「じゃあ、このまま何もしないで済ませるの?」
典子「そうだよ、このままじゃ私たちの面子丸潰れじゃん!」
美穂「済ませる訳ねぇだろ!」
晴美「じゃあ、どうするのさ?」
美穂「………あいつの信用を潰してやるよ」

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