羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第一章6

貴子は焦っていた。見つからないのだ。その時、貴子の携帯が鳴った。
貴子「もしもし」
早紀「見つかった?」
貴子「お願いします。何処にあるんですか?教えてください。」
早紀「タダでは、教えられないなぁ」
貴子「どうすれば、……いいんですか?」
早紀「そうだなぁ、隣の音楽準備室に行きなさい。」
貴子は、音楽準備室に急いだ。
早紀「ロッカーがあるでしょ。一番右上のロッカーを開けなさい。」
扉を開けてみると、中に白い物があった。
早紀「中に水着があるでしょ。それに着替えて廊下に出なさい。制限時間は、10分ね」
貴子「えっ?  ………  」
早紀「用意スタート!」  ツーッ、ツーッ、ツーッ...
そこで電話が切れた。貴子は、迷っていた。しかし、ここは、準備室。外からは見えない。着替えている所を除かれる心配はなかった。覚悟を決めて、貴子は着替える事にした。
まず、水着を確認してみる。バストとボトムの白いビキニだった。殆どが紐状で、胸の先が辛うじて隠れる、胸の殆どが露出しそうな水着だった。ボトムもサイドと後ろが紐で布の面積が極めて小さい。
―― こんな水着に着替えるなんて。しかも、こんな水着を着て廊下に… ――
しかし、貴子には拒む事が出来ない。何としても写真を見つけ出さなければいけない。あんな写真を誰かに見られてしまったら。
まず、水着のボトムをスカートを穿いたまま、足を通して穿いていった。貴子は、周りを見渡して誰も居ないのを確認しながらブレザーを脱いでいった。胸の先がブラウスを押し上げているのが分かる。うっすら透けて見えてもいる。ブレザーを畳んでロッカーに入れ、ブラウスのボタンに手をかけた。上から1つ、2つ外し、3つ目を外すと胸の谷間がハッキリと覗けてくる。最後までボタンを外し、もう一度周りを見て肩からブラウスを脱いだ。16歳の肌理の細かい白いバストが少しも垂れることなく綺麗なお椀型を晒している。胸の先も淡いピンク色で、少し立っているのかハッキリと存在感を示していた。自然に両手が胸をかばってしまう。ブラウスを畳んでロッカーに入れる。水着の上を着ていく。思った以上にバストが露出してしまう。水着の裏地も無いので胸の先がどの位置にあるのか、誰が見ても明らかだろう。スカートを脱ぐ。腰まで下げて水着を見た。思わず声が出そうになるぐらい透けていた。布地の横からも毛が覗いている。スカートを足元に落とし慌ててはみ出ている毛を布の中に押し込んだ。貴子はそれ程多い方ではないのだが、どうしても僅かに出てしまう。それほど、布面積が狭いのだ。貴子は諦め、スカートを畳んだ。時計を見ると、すでに9分を過ぎていた。急いで、ブレザーとブラウス、スカートを持って廊下に出た。場違いな姿で廊下にいる自分が信じられない。足が震えている。丁度10分が経った時、携帯が鳴った。
貴子「もしもし  言うとおり着替えました。写真の場所を教えてください。」
早紀「間に合ったようね。でも、手に持っているのは何?その服は、さっきのロッカーにしまって来なさい。」
電話が切れた。貴子は、渋々準備室に戻り今まで着ていた制服をロッカーにしまった。改めて廊下に出る。さっきまでは、制服で水着を隠す事が出来たが、今は両手で隠すしかない。より一層不安感が募る。また、電話が鳴った。
貴子「もしもし」
早紀「では、次の写真の場所のヒントを教えてあげる」
貴子「音楽室にあるって……、 ここには、無いんですか?」
早紀「あるわよ。大丈夫。後で制服を取りに来たときに教えてあげるから」
貴子「そんな、……」
貴子は、それ以上言葉が出てこなかった。あまり相手を刺激すると、逆に何を言われるのか、その方が怖い。とにかく素直に従って写真を取り返す事を優先した。
その時、音楽準備室から「カチャ」と音がした。貴子が振向く。何も変わっていない。

準備室の扉に手をかけてみる。
―― 開かない?!! ――
誰かが、内側から鍵を掛けた音だった。
―― 誰か居たんだ?! もう少し注意をしていれば、犯人を見つけられた。 ――
―― あっ!着替える所も見られていた?! ――

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