羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第一章8

★ ゲーム4

貴子「もしもし」
早紀「間に合わなかったようね。残念でした。」
貴子「そんな、鍵が、鍵が掛かっていて、ボールが取れないんです。」
早紀「そんなの知らないわよ。じゃあ、鍵を開ければいいじゃない。」
貴子「そんな、許してください。お願いします。お願いします。。」
早紀「また、<貸し>を作るの?我儘な子ね。まぁ、今日は、初日だから許してやるよ。これで、<貸しB>だからね。」
貴子「はい、ありがとうございます。」
早紀「じゃあ、ボールは、体育館の舞台の袖にあるから、それを持って広場に着なさい。」
初めからボールが取れない事を知っててワザと云っているのに気付いた。しかし、どうする事も出来ない。体育館に入ってボールを取り、広場に出た。午後の日差しが貴子の全身を照らした。日差しの暖かさは全身で感じられ、貴子は、今の破廉恥な格好を改めて実感した。今までは、常に室内でいたが、ここは、屋外だ。上半身は、裸、下は、殆どが、紐で出来た水着。僅かに大切な所を覆う布地は薄く、微かに透けている。水着の脇から、隠しきれずにはみ出ている毛まである。ボールでバストを隠しながら広場の真ん中まで歩いていく。幸い、ここは、校舎からも、運動場側からも死角になっている為、見られる心配は無い。が、屋外という状況が、より羞恥心を煽られている。
電話が鳴った。
貴子「もしもし」
早紀「今から、そのボールで3回シュートを決めなさい。シュートを打つ場所は、三点ゴールラインからだからね。3回決めれば写真の場所を教えてあげるわ。制限時間は、特に無し。決まるまでよ。まぁ、授業が終わる前に終らしといた方がいいんじゃないかな?次の授業、2年4組が体育館を使うらしいからね。じゃ、よろしく。」
貴子は、焦った。2年生がここに来る?!急がないと、貴子は、あまり運動が得意ではなかった。体育でバスケットの試合をした時も、ほとんどボールに触れないしゴールなんて決めた事が無い。まして、3点ゴールなんてした事もなかった。
貴子は、ゴールラインからシュ−トを打ってみる。バストが完全に太陽の日差しを受けていて、光り輝いていた。ボールはゴールまで届かない。急いで、ボールを拾いに行って、何度も何度もシュートを打つ。時折、バストを庇いながら、水着のズレを直しながら。何度かする内にコツを掴めてなんとか、ゴール近くまで届くようになった。更に何回かした時、偶然、ゴールが決まった。
授業が終るまで、あと20分程。貴子は、腕が疲れてきて、思うようにシュートが打てなくなってきている。左手でバストを隠し、右手で水着を直しながら、ゴールを見つめている。
―― どうしよう。まだ、1回しか決めてない。腕も疲れてきたし、後2回も残ってる。どうしよう。どうしよう。 ――
少し休んでから再開する。結果は、変わらない。もう時間が無い。もう我武者羅にシュートを打つ。水着がずれても、バストが“ぶるんぶるん”揺れていても構う事なく打ちまくった。
授業終了まで5分前になって、ようやく3本シュートが決まった。貴子は、その場にへたり込んだ。
―― やっと、終わった。 ――

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊