羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章2

貴子は、背筋を凍らせた。暖かい日差しの中、体をブルブル震わしている。

(きっと、何かされるんだ。ただじゃ、教えてくれないんだろうな。)
貴子は、そんな事を思いながら、メモをポケットにしまい、先生に気分が悪いので休ませてもらう許可を貰う。先生も、貴子の表情の異変を察知して、保健室で休むように言った。貴子は、お辞儀をして教室に向かった。
教室に着くと携帯がなった。貴子は、出たくなかった。恐らく、いや、間違いなく謎の脅迫者だと分かったからだ。しかし、出ないと写真が返ってこない。仕方なく出る事にした。
貴子「もしもし…」
早紀「写真、ほしい?」
貴子「はい。欲しいです。」
早紀「タダでは、あげないよ。」
貴子「はい。どうすればいいですか?」
早紀「あら? えらく素直になったのね。じゃあ、今ここでスカートを捲くりなさい。」
貴子「えっ!」
早紀「出来ないの?」
貴子「………」
早紀「さっきは素直に返事できたのに、まだ分からないの? あんたは、言われた事を実行するしかないのよ。それとも写真を公表する? 皆に見られたいんだ。」
貴子「いやっ」
早紀「誰もいない教室でスカートを捲くるか、皆に恥ずかしい写真を公表するか、好きな方を選ばせて上げる。今から、5つ数えるまでに決めなさい。
   ひと〜つ、ふた〜つ、み〜つ」
貴子「スカートを捲くります。」
早紀「そっ、じゃあ早く捲くりなさい。」
貴子は、渋々スカートの裾を持って上げていった。徐々に膝頭が見え、太股が覗ける位にまで捲くれてきた。あと少しで、黒い繊毛が日の光に照らされる。羞恥に震える貴子は、それでもスカートを上げていく。逆らうとさらに辛い事を要求される事を十分承知しているからだ。黒い繊毛が姿を見せた。
早紀「その格好のまま、今度は胸を出しなさい。」
貴子は、凍りついた。今、ブラウスの下にTシャツを着ている。ばれたらどんなひどい目に合わされるのか…
貴子「はい。」
貴子は、携帯を肩に挟んで、ブレザーを開いてブラウスのボタンを外した。中からは当然Tシャツが出てきた。
早紀「そんなの着て良いって言ったかしら?」
貴子「………」
早紀「あんた、私に歯向かうのね、良い度胸だわ。直ぐに脱ぎなさい。そのTシャツは、鈴木のカバンの中に入れるのよ。」
貴子「そんな…」
早紀「早くしなさい」
貴子は、言われるまま、Tシャツを脱ぎ鈴木のカバンに入れた。
早紀「じゃあ、さっきのスタイルになって。」
貴子は、スカートを捲くり上げ、バストを晒した。
早紀「そういえば、あんた、私に貸しが3つあったわよね? これで4つ目よ。分かった?」
貴子「はい。申し訳ありませんでした」
貴子は、理不尽と思いながらも謝罪した。
早紀「じゃあ、写真の在りかを教えてあげる。但し、今日一日は私の言うことをちゃんと聞く事! 分かった?」
貴子「はい、分かりました。」
早紀「じゃあ、今日は、学校が終わったら家に帰らず何処かに遊びに行きなさい。クラスメイトと一緒にね。相手は誰でもいいわ、あなたが選びなさい。必ず、二人以上で行動する事。分かった?」
貴子「分かりました。」
早紀「はい、では手を離してもいいわよ。写真の場所に案内してあげる。」
貴子は、言われた通りA棟の屋上に来た。西側のフェンスに行きなさいって言われたのでフェンスに近づいたら双眼鏡がぶら下がっている。
早紀「双眼鏡があるでしょ。その双眼鏡で自転車置き場を見て見なさい」
貴子は、双眼鏡を持って自転車置き場を覗いて見た。
貴子「あっ!」
早紀「トイレの写真は、それで全部よ。さっきの約束忘れるんじゃないよ。」
電話が切れた。自転車置き場にあの写真がぶら下がっている。

貴子は、急いで自転車置き場に向かった。もう直ぐ授業も終わるだろう。休み時間になれば誰かが見てしまうかもしてない。貴子は、弾むバストや捲くれるスカートを押さえる事もせず、自転車置き場に急いだ。貴子が自転車置き場に着いたのは、幸い授業が終わるまであと10分位前である。貴子は、写真を剥がそうと見ると、写真は、透明のプラスチックのボードが2枚貼り合わせてある中に入っていた。そしてそのボードは、屋根の鉄柱に針金でグルグル巻きに縛ってある。貴子は、力いっぱい引っ張ってみたがビクともしない。終業が刻一刻と迫り貴子は焦っていた。近くの自転車の荷台に乗り、片手と片足で鉄柱にしがみつき片手で針金を一個づつ外していく。今、誰かが近づけば、貴子のスカートの中は丸見えだろう。恐らく繊毛の中も見えるかもしれない。貴子は、今の自分の格好も忘れて針金を外している。針金が全部取れた時、終業のチャイムが鳴った。貴子は、外した写真のボードを持って自転車から飛び降りた。貴子は、校舎に入れないでいた。ボードを隠せないからだ。プラスチックのボードは、2枚張り合わせてある為、厚みが1cm位あり折り曲げる事が出来ない。こんな写真を抱えたまま校舎に入れば誰かに見られるかもしれないし、友達が覗いてくるかもしれない。色々考えた結果、自分の下駄箱に隠すことにした。幸い、下駄箱の中に入り扉も閉めることが出来た。貴子は、「ホッ」として、ゆっくり教室に向かった。教室では、奈々が心配そうに駆け寄って来たが、保健室で休んでいたから…、と誤魔化した。そして、貴子は奈々に
貴子「ねぇ、今日、学校が終わったらどっか遊びに行かない?」
と誘った。約束を守る為に。でも、奈々と遊びたいのは本心だった。ここ最近の貴子にとって非現実的な出来事を忘れたいからだ。
奈々「家で休んだ方がいいよ。」
貴子「もう大丈夫だって、家で休んでばかりだったから、たまには外でパーッと遊んだ方が元気になれるんだって。」
奈々「そうかなぁ。でも、ごめん今日、家庭教師が来る日なんだ。だから…」
貴子「そっか〜、そうだったね。じゃあ、また今度どっか遊びに行こ。」
奈々「ごめんね、貴子も体ちゃんと治してね。でないと遊んであげないよ。」
貴子「え〜、もう大丈夫なのに〜」
奈々「ウソよ、でも、もうちょっと安静にしてたほうがいいよ。」
貴子「ありがと」
そんな話をしているうちに始業チャイムが鳴った。

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