羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章7

貴子へ
よく撮れているわ。じゃあ、質問に答えてあげましょう。
まず1つ目、貴子を選んだ理由は、たまたまよ。
2つ目、目的は、私が楽しみたいから。
3つ目は、凄く楽しいよ。これからももっと楽しませてもらうから^^」
さて、次は何をしてもらおうかな? そうだ、郵便ポストを見てきなさい。きっと良いものが入ってますよ。但し、貴子が1人で取に行くのよ。裸でね^^

とても人をバカにしたような答えだった。貴子は、メールを見てまた泣き出した。
麻衣が貴子の後ろから優しく抱いて、
麻衣「大丈夫、きっと助けてあげるから。今は、辛抱するのよ。」
貴子は、小さく頷き、麻衣の腕をギュッとしがみついた。
美紀「ポストに何が入ってるんだろう。貴子、取りにいける?」
貴子は、美紀に目を向け涙ぐんだ。
麻衣「今は、我慢よ。ゆっくりでいいから行けるよね? 玄関までなら何か羽織っていっても見つからないと思うし。ね?」
貴子は、小さく頷き、毛布を羽織ったまま立ち上がった。タンスから適当に羽織れるものを出し着てドアに向かった。ドアノブを握り、3人にふりかえった。3人は、『頑張れ』と言わんばかりの目を向けてきていて、何だか心強く感じる。本当は、笑いを堪えている目なんだが…。貴子は、ドアを開け玄関に向かった。
部屋に残った3人は、お互い目を見合わせて声を殺しながら笑いあった。
麻衣「よし、今がチャンスよ。」

3人は部屋を出た。美香は、階段の上に、麻衣は、階段の下に、美紀は手袋をして、貴子の隣の部屋、智子の部屋に入った。麻衣は、貴子を応援するフリをして監視する。美紀は、智子の部屋を物色する。部屋の中央を向けて設置してあるミニコンポに目をつけた。美紀は、器用にコンポのスピーカーの前面を外し、隠し持ってきた超小型CCDカメラと送信機を取り付けた。電源は、コンポの電源に繋げ、コンポの電源がコンセントに嵌っているかぎり、24時間送信される状態にした。美紀は、恵美に電話をしカメラの向きや写り具合を確認してもらう。
その頃、貴子は、玄関で服を脱いでいる。幸い、この時間、母親の加奈子は仕事に行っていて家にいない。智子もここ最近、クラブ活動で帰りが遅く、この時間に帰ってくることはまずない。玄関で裸になった貴子は、中腰になって両手で体を隠し麻衣の方を見ている。麻衣は、両手で握り拳をにぎり、頑張れとポーズで示した。貴子は、ドアノブに手をかけゆっくり廻し顔だけを外に出した。辺りを見回し人影がいないのを確認する。郵便受けを見ると何か大きな物がささっているのが分かる。誰もいない気配だが、足が竦んでなかなか一歩が出せないでいる。家の中では、美紀がセットを終了して麻衣の所まで来た。

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