羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章16

いつの間にか眠っていた貴子は、廊下の物音で目が覚める。
智子「貴子? 居るの? 晩御飯は食べないの?」
貴子「うん、食べる。」
貴子は、寝ぼけた声で返事をし、時計を見た。もう22時前だった。貴子は、起きてジャージに着替え1Fに降りていった。
久しぶりにおねぇちゃんとご飯を食べる。貴子も、いつもの笑顔を取り戻したようだ。いや、今の環境に適応してきているのかもしれない。貴子は、おねぇちゃんの学校での話、クラブの話、いろんな話を聞いた。クラブの話では、合宿の事、試合で遠征に行く事も聞いた。もちろん、最後に彼氏の話も聞かされた。
久しぶりに楽しい晩御飯だった。お風呂も入り貴子は先に部屋に戻っていった。おねぇちゃんは、寝るギリギリにお風呂に入る。クラブの後にシャワーを浴びてくるからだろう。
貴子は、部屋に入りジャージを脱ぎ全裸でベッドに入った。結局、今日は1度も携帯が鳴らなかった。

土曜日、今日からゴールデンウィーク。今日から月曜日までと、木曜日から日曜日まで学校は休みだ。久しぶりにゆっくりと寝ていた。9時頃に目が覚め、ジャージを着て1Fのリビングに行く。智子は、合宿で朝早くに出て行ったらしい。母は、仕事から戻って、この時間は就寝中だ。貴子は、1人テレビを見ながらボーッと過ごしている。
その時、携帯が鳴る。
メール「おはよ、昨日はよく休んだかな? 今日からゴールデンウィーク、少し開放的に行きましょうね。では、まず、貴子の部屋の窓に向かって『8』の練習です。頑張ってね〜。」
貴子は、久々に寛いでいる時間が、また、あの忌まわしい時間に変わる事に恐怖した。貴子は、肩を落としながら自分の部屋に入る。ジャージを脱ぎ、外からは見えにくい位置で窓に向かって座った。外は、青空で雲一つ無い上天気だった。向かいの家の窓が少し見える。という事は、向かいの窓からも見えているかもしてない。貴子は、ドキドキしながらゆっくりと手を股間に持っていった。股間に触れてビックリ! ハッキリと濡れているのが分かる。昨日、ベッドで触ったとき以上に。貴子は、どうしていいのか分からず、動けないでいた。
――そうだ! あのおもちゃを使わなくちゃいけないんだ。――
貴子の中で、オナニー=おもちゃを使う、という事になっている。それ以外のやり方を知らない。貴子は、カバンにしまってあるおもちゃを取り出し、右手でローターを股間に当てた。左手でスイッチを持ち、上げていく。ビクッと体が跳ね、『あっ』と思わず声を出してしまった。1Fで母親が寝ているとはいえ、いつ起きてくるか分からない。起きてきても貴子の部屋に入る事はまず無いが、もし、変な声を出していたら、部屋に入らないとは限らない。貴子は、ローターを股間から離しスイッチを切る。深呼吸をしてからもう1度ローターを股間に当てスイッチを少しだけ入れた。
体がビクッと跳ねたが声は、押し殺している。暫くこの状態でいる。『気持ち良い』けど、貴子は、この前の時ほどでもないように感じている。知らず知らず、この前と比較している事に気付いていない。
――気持ちいいけど、この前は、もっと………。何が違うんだろう?――
貴子は、オナニーをする事に抵抗がなくなっているのか、自らこの前のような快感を求めてしまっている。ローターを少しずつ動かし気持ち良い場所を探している。突然、体が大きく跳ね、『あぁー!』と声を上げてしまった。窓は、閉まっているので外には聞こえていないだろうが、母親が起きていれば、もしかしたら聞こえていたかもしれない位の声だった。貴子は、思わず、ローターを持つ手を離し、口を押さえている。耳を澄まして部屋の外の様子を伺った。何も聞こえてこない。恐らく、母親は、まだ夢の中にいるのだろう。貴子は、股間に手を伸ばし、さっき思わず声を出してしまったポイントを触れてみた。軽く押さえただけでも気持ち良い。ここがクリトリスだ。もう少し下を触ってみるとさっきよりも濡れていて、お尻の方まで垂れていた。貴子は、ティッシュでふき取り、タオルを持ってきてお尻に敷いた。胸を押さえて心を落ち着かせる。まだ、鼓動がドキドキと早打ちをしている。
ローターを拾い上げ股間に当てる。美紀がしてくれた様に、今度は尿道口にも当たるようにした。少しスイッチを入れる。『うっ』と声が出たが唇を噛んで漏れるのを押さえた。暫く、ローターを押さえた状態で、快感に浸っている。知らず知らずに足が開いている事に気付いていない。押さえる手にも力が入り、段々強く押さえ、クリトリスを下から押し上げるような格好になった。左手のスイッチを更に押し上げ半分位の所まで上げてしまった。貴子の体がビクッビクッと痙攣して、頭の天辺から爪先まで快感が駆け巡っている。思わず『あぁ〜ぁあぁ』と声が漏れてしまった。そのまま力が抜けてその場に蹲ってしまった。ローターは、タオルの上で今も“ヴゥ〜〜ン”と震動をしている。
時間がたち、今の自分の状況を見てビックリして、起き上がり近くに置いてあったジャージを拾い上げ体を隠した。顔は俯いたままである。
――どうしたんだろう、私。こんな事するなんて。しかも、向かいの家から見えるかもしれないのに。でも、ドキドキして、手が勝手に。。。私ってこんな子だったの? いやっ! 違う。命令されたから。。。仕方なくやったのよ。――
貴子は、快感に浸ってしまった自分と、恥ずかしい気持ちと、罪悪感で、どうしたらいいのか困惑している。

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