羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章29

――何を? 何を言ってるの? 私。こんなこと言ったらマズイよ、どうしよう。――
加奈子は、犯人のペースに巻き込まれて思わず答えてしまった。急に赤面し、カメラから目だけを逸らす。
メール「また目を逸らしたわね、ペナルティ4ね。もう後が無いわよ。じゃ、最後の質問です。あなたの子供の名前と年齢を言いなさい。」
メールの文字を見て、ドアにすがりついた。
加奈子「お願い、娘には何もしないで。お願いします。」
涙声で、必死に犯人にお願いした。が、また、ドアを強く叩かれた。言われた通りにしろという合図だ。加奈子は、下を向いたまま何も答えなかった。
メール「まだ反抗するのね、これでペナルティ5よ。鎌田主任にメールしますね。ついでに、今の恰好の写真を娘の智子と貴子に送ろうかな。」
――知ってるの?! 何で! 娘の名前まで。いったい何者なの?――
また、ドアを叩かれた。観念したのか、加奈子は顔を上げて涙目になりながら、
加奈子「娘の名前は、智子、17歳、貴子15歳、です。」
答える。また、メールが来た。
メール「やれば出来るじゃん。素直に我々の指示に従う方のがあなたの家族のためになると思いますよ。でも、もうペナルティ5までいきましたので約束通りメールします。」
加奈子「お願いします。許してください。なんでもしますから、お願いします。もう逆らいません、お願いします、許してください。」
加奈子は、ドアの抜こう側にいる誰とも分からない脅迫者に許しを請う。しばらくの沈黙の後、メールが来た。
メール「じゃあ、1度だけチャンスをあげる。その通り出来たらメールは止めてあげる。でも、少しでも出来ていなかったら即メールするから。いい? じゃあ、………。」
加奈子は、メールの内容をみて愕然とした。しかし、今の加奈子にはこれを拒否できない。
加奈子は、カバンを敷物代わりにして座り、携帯を床に置き、足をカメラに向かって開いていく。大きく深呼吸をしてカメラを見る。右手をおっぱいに、左手を股間に、左手の指で大陰唇を開いて見せた。そして、
加奈子「加奈子と言います。歳は、42歳。スリーサイズは、上から90―60―94です。主人は、6年前に事故で亡くなりましたので今は、娘の智子17歳と妹の貴子15歳と3人暮らしです。私は今、総合病院の外科医、鎌田主任と不倫関係にあります。およそ2年が経ちました。私は、鎌田主任の事が好きで好きで今すぐにでも会いたいのですが、鎌田主任は、最近私に冷たくなりました。もう、私のこの火照った体を押さえる事が出来ません。だから、ここで自ら欲求を解消しようと思います。破廉恥な加奈子のイク姿を見ててください。」

加奈子は、指示された通り、カメラを見続けながら言い切った。あのカメラには、加奈子が、胸を揉みながら股間を指で開いた姿で、顔は恥ずかしくも上気し欲望を曝け出しているように写っているのだろう。
加奈子は、台詞の後、両手の指を動かし始める。目を閉じて、声が漏れないようギュッと唇を閉じて。右手は、おっぱいを下から掬い上げる様に揉み、左手は、大陰唇の内側をゆっくり這わし、時折、クリトリスに刺激を与える。頭を反らし、顎を上げて、快感を声に出さないよう必死に堪えている。
加奈子の頭の中では、
――どうしてこんなに気持ちいいの? こんな所で、誰とも分からない人に見られているのに、しかもビデオに撮られているのよ。でも、背中がゾクゾクする! 気持ちいい。イキそう。でも、駄目よ、イッたら駄目。そんな恥ずかしい事しては駄目! イクフリをするのよ。それで、、ああぁ、ダメ〜、気持ちいい〜、ダメ〜、我慢、ガマンよ、耐えるの――
加奈子は、1人自分自身と戦っていた。その姿がカメラを通して、早紀達にはまる分かりだった。早紀達は、笑いを堪えるのに耐えている。

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