羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章35

美香「ねぇ、貴子? これでいいの? これからどうする?」
貴子「………。」
麻衣「貴子? もし、あいつの云ってた事が本当だとしたら、従うしかないよ。貴子の安全は保障するって云ってたし。」
貴子「もういいの。もう。」
麻衣「えっ?」
貴子「警察に行く。」
麻衣達は、焦った。
麻衣「早まってはダメよ! どうするの? 証拠だって無いのに鈴木を捕まえる事なんて出来ないよ。あいつが云ってたように恥を曝すだけだよ。」
貴子「………。」
麻衣「もし、貴子にそれだけの勇気があるのなら、あいつのセリフを信じてみない? もし、あいつが貴子に手を出してくるようなら、その時に証拠を押さえるわ。そうすればあいつだって世間体があるだろうし、取引に応じてくると思うの。写真を取り返せば、こっちのものよ! その後で訴えてやればいいんだから。ねっ。」
麻衣は、必死になって貴子を説得した。
貴子「でも、また、恥ずかしい事させられるくらいなら……。」
麻衣「う〜ん、もし、そんな事云ってきたら、私達が誰にも見つからない様に周りで見張っているから。ねっ。世界中の人に見られるよりはマシなんじゃない? ネットに流れたらもう、半永久的に残ってしまうんだよ。私達がきっと助けてあげるから。」
貴子「……、うん。」
貴子の返事に、麻衣達は内心ホッとしていた。
美紀「とりあえず、明日のこの時間まで猶予をくれたってことは、今日はもう何もないと思うし、ゆっくり家に戻って休もう。」
麻衣「そうだね、貴子は、家で休みなよ。私達は、今後の対策でも考えておくからさっ。」
貴子「うん、分かった。みんなありがとう。」
麻衣「何言ってんのよ、私たちは、いつでも貴子の味方よ。これからも何でも相談してね。」
貴子の顔に笑みが戻った。屋上を出て、貴子は1人家路につく。麻衣達は、早紀達が待つ駅前のカラオケ店に急いだ。


早紀「お帰り〜、どうだった?」
麻衣「はい、バッチリです。鈴木もしっかり悪役を演じてましたよ。」
早紀「そう、あいつも必死なのね。そりゃあ、こんな写真撮られてるんだから仕方ないけどね〜。」
早紀はそう云うと、公衆トイレでの写真を広げて見ていた。1枚を取り上げて、
早紀「これなんか最高ね。」
その写真は、鈴木が加奈子に入れようとしている瞬間だった。鈴木の顔が興奮度が最高長になっているのか、目が完全にイッている。加奈子も興奮しているのか、自ら腰を持ち上げていた。
美穂「ねぇ、それより智子の方はどうなったの?」
早紀「そうそう、これ見て。あの鈴木偉いわよ。ちゃんと写メ送ってきたから。相手の名前も分かったわ。○×大学医学部2年、名前は清水。まず、この清水ってヤツを調べないとね。」
麻衣「もしかして、また、私たちですか〜?」
早紀「なに? 嫌なの?」
麻衣「いえ、そういうわけでは……。」
早紀「な〜に、大丈夫よ、こういう雑用はパートナーにやってもらうから。」
恵美「へ〜、そういう風に使うんだ、あいつを。」
早紀「使い方はいろいろよ。」
早紀達は、次のスケジュールをみんなに話した。


貴子は、全裸姿で部屋の片隅でうずくまっている。この1ヵ月位の出来事を思い浮かべて、これからどうするべきか悩んでいた。

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