羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章37

メールの最後に、青い文字でアルファベットが載っている。何かのサイトなのだ。
貴子の携帯は、インターネットに繋げていない為に見ることが出来ない。貴子は、嫌な予感がして、家に入る。家には、母の加奈子の部屋にパソコンがある。誰でも自由に使っていいのだが、みんなあまり使っていない。貴子は、母の部屋に行きパソコンの電源を入れた。また、メールが来る。
メール「どう? 見てくれた? いいでしょう、このサイト。」
貴子「すいません、携帯では見れないので家のパソコンで開いてみます。」
メール「そう、じゃあ、パソコン用のアドレス送っておくね、こっちの方が見やすいよ。」
貴子は、アドレスをパソコンに打ち込む。暫くして、出てきた画像は、貴子の通っている学校の写真だった。
メール「見てくれた? 一番下にパスワードってあるでしょ? そこに『rosyutukyou T』って入れてみて。」
貴子は、云われるまま打ち込んだ。打ち込んで気付く。『rosyutukyou』って、『露出狂』ってこと? 貴子は、頬を赤くした。暫くして、出てきた画像は、貴子自身だった。しかし、顔にはモザイクが入っている。
メール「どう? いいでしょう! また下にパスワードってあるでしょ? そこに『inranmusume T』って入れてみて。」
貴子は、パスワードを見て大体想像がついた。しかし、確認しなければいけない。パスワードに『淫乱娘』とローマ字で打ち込む。出てきた画像は、さっきの画像からモザイクがなくなっている写真だった。
メール「綺麗に撮れてるでしょ。また、パスワードってない? そこが最後のパスワード。そこに『Takako』って入れて。」
もう貴子には、分かっている。きっと今までに撮られた写真が出てくる事を。しかし、確認しておかなければいけない。貴子は、震える指でパスワードを入力する。エンターを押して、貴子は思わず目を瞑ってしまった。なかなか目を開けられない。メールの着信バイブにビックリして目を開けてしまった。目に飛び込んできたのは、深夜の公園で1人裸になってオナニーをしている画像だった。しかし、目隠しをしている為、貴子とは分からない。でも、よく考えたら、ここまで来るのに貴子の学校、貴子自身の顔写真、名前の入力で、今、写っているのが、貴子である事は、誰にでも想像はつく。画像は、下にスクロールが出来る。下の画像を開いていくと、公園での出来事が、まるで時間の巻戻しの様にコマ送りに張られていた。一番下には、動画という項目がある。恐らく、この時の動画が流れるのだろう。
貴子は、眩暈を起こしたように倒れそうになる。机の横で、また携帯が震動をしていた。
貴子は、半放心状態で携帯をとりメールを開く。
メール「どう? 素晴らしいでしょ。」
メール「あれっ? 貴子ちゃん? お返事は?」
貴子は、メールの内容も理解できないぐらい魂が抜けていた。

その頃、早紀達は、典子の家に集まっている。みんなでモニターを見ながら笑い転げていた。そう、母、加奈子の部屋に仕掛けてある隠しカメラで貴子の様子を見ているからだ。早紀は、携帯をとりメールを打つ。

貴子は、なかなか魂が体に帰ってこないでいる。手に持っている携帯がまた震え出した。無意識なのか、貴子の右手だけが反応して携帯のボタンを押している。
メール「返事をしなさい! 5分以内に返事をしなかったら、このサイトのパスワード、まだ、誰も知らないけど、フリーにしちゃおっかな。」
貴子の頭上にいる魂がメールを確認した。
――まだ、誰も知らない? 誰も見てないの? ほんと?――
魂は貴子の体に戻ったのか、体を動かし、もう1度ちゃんとメールを読み返した。」
――こんなのをみんなに見られたら………  ――
貴子は慌ててメールを返す。
貴子「お願いします。このサイトを削除してください。」
メール「それは出来ないよ、だって、ボクの大切な写真があるんだもん。」
早紀は、鈴木になりきってメールを打っている。
メール「さぁ、昨日のお返事を聞かせて欲しいな。」

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