羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章40

メモ「目の前の木に登りなさい。3m位上の葉が生い茂っている所まで登る事。もう直ぐ貴子が現れるから見つからないようにね。見つかって大声を上げられても助けてあげられないから。恐らく近所の人が警察に通報するかもしれないし。だから絶対に声や物音を立てないように。木の上からだと貴子の姿がはっきり見えるはずだから。じゃあ、頑張ってね。」
鈴木は、怖気づいて来た道を戻ろうかと思った。しかし、公園の奥から人影が見える。鈴木は、咄嗟に木をよじ登った。幸いにも木は斜めに生えており、所々に適度な枝もある。鈴木は、何とか木に登ることが出来た。地上から4m程まで登っていた。鈴木は、息を潜めてジッとして動かない。奥に見えた人影は、どこかに消えていった。
――ビックリした。貴子ちゃんかと思っちゃった。こんな恰好でどうしよう。――
鈴木は、あまりにも上の方にいる為、安定が悪いらしく、両手で頭上の枝を握り締め、足は大きく開いている。股間のサオが寒そうに縮み上がって揺れていた。恵美が面白がって、写真を撮っている。鈴木は、全く気付いてはいない。
暫くして、正面入口の方に人影が見えた。ゆっくり広場の方に近づいてくる。鈴木は、体を出来る限り小さくして、その人影をジッと見つめていた。

貴子は、指定された通り、10時にピッタリに現れた。指示された通り、コートを羽織っている。貴子は、コートの襟元をしっかりと握りながら辺りを見回している。と、携帯が鳴った。
メール「ようこそ、貴子ちゃん。では、約束通りボクの指示に従ってもらうよ。まず、広場の奥に遊具が沢山並んでいる所があるでしょ。その中のシーソーまで来て。」
早紀は、鈴木になったつもりで口調を真似てメールしている。
貴子は、云われた通り広場の奥に入って行った。遊具のある所は、通りからは全く見えない場所にあった。シーソーの側まで来ると、また、携帯が鳴る。
メール「じゃあ、赤い方の真ん中の椅子に後ろを向いて座って。」
シーソーは、赤と青が相対に塗られている。赤い方、すなわち鈴木が登っている木側だ。しかも後ろ向きという事は、鈴木の方を向いて座る事になる。貴子は、暗く生い茂っている木々の方を向いて座った。
メール「目の前の林の奥に赤いランプが点滅します。その回数を数えて、例の9項目を実施してください。」
貴子は、今日ここに来る前に暗記するように言われていた。

1=10分間、動かない。
2=全速力で走る。
3=足を大きく開く。
4=足を開いてしゃがむ。
5=おっぱいを出す。
6=スカートを捲くる。
7=全裸になる。
8=オナニーをする。
9=自分で目隠しをする。

また、この前の様に恥ずかしい思いをしなくてはいけないのだろう。しかも、今回は、確実に鈴木が、あの茂みの中に居るのが分かっている。それに麻衣達には連絡しないようにも釘を刺されており、助けてくれることはまず無いだろう。もう逃げ出したい気分。しかし、貴子には拒むことが出来ない。不安が渦巻く中、顔は、紅潮していた。

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