羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章42

――どうして私のジャージがここにあるの?――
不自然は場所にあっても、自分が日ごろ着ている服は分かる。貴子は、何の為にこんな事をするのか分からないでいた。しかし、貴子には、もうどうでも良かった。裸の上にジャージを着込む。体育の時以外許されていない下のズボンも用意されていた。上下ジャージ姿になった貴子は、逃げるように公園を後にする。公園を出た所でまたメールが来た。
メール「今日最後の指令です。あなたの携帯は、公園の門裏に置いて行きなさい。次の指示は、例のサイトの掲示板に書きます。これからは、毎日サイトを開き掲示板をチェックする事。じゃあ、また、遊びましょ。」
貴子は、俯いたまま携帯を閉じ、門裏に置いた。貴子は、家まで走って帰る。走りながら考えた。
(あのサイト、誰かに見られたらどうしよう。でも、パスワードが無いと見れないんだよね。でも、もし、探し当てられたら……、もうおしまいだよ。。でも、今日は、約束通り見るだけだったし、もしかしたら、ちゃんと言う事聞いていれば、あのサイトも見られないようにしてくれるかも。。。でも、さっき、全裸で公園内を走ってたんだ。なんか不思議な感じだったなぁ。オナニーをした時も、いつも以上に感じてしまったし。私って、淫乱なのかな?)
貴子は、命令されてやっているとはいえ、こんなに感じてしまう自分が淫乱なのかと思い始めていた。


木の上で見ていた鈴木は、興奮の最高潮にいる。貴子が目の前でオナニーをして、全裸で公園を走って、トイレに入ってジャージ姿で帰っていく。あのジャージはボクのジャージだ。貴子が鈴木のジャージを着て帰ったと思い込んでいる。貴子達の通っている学校のジャージは、男女同じ物である。鈴木は、興奮しすぎて股間のサオから白いものを滴られていた。
暫くして、鈴木は、ふと思う。
――あれっ? 貴子ちゃんがボクの服を着ていったら、ボクはどうやって帰ればいいの?――

鈴木は誰も来ないのを確認して木を降りていく。急いでトイレに入った。やはり服が無い。携帯もカメラを入れていたカバンも無くなっている。体中が震え出した鈴木は、床にヘタりこんだ。ボー然としていると、トイレのドアの内側にフックが付いておりそこに携帯が吊るされていた。鈴木は、急いで携帯を取った。
メール「お疲れ様。どう? よかったでしょ? また、ご褒美が欲しかったら、ちゃんと仕事をしてね。そうそう、あなたの服、貴子ちゃんにあげちゃったから、あなたは、貴子のコートでも着て帰りなさい。噴水の所にあるから。じゃあ、またね。」
鈴木は、トイレを出て、講演の端にある噴水に向かった。鈴木が登っていた木からは噴水が見えない。貴子が何をしていたのかも分からなかった。噴水まで来た。通りの道が見える。姿勢を低くしながら辺りを見回す。コートが無い。よく捜すと、噴水の中にコートらしき物が浮かんでいた。鈴木は、噴水に入って取った。間違いなくさっきまで貴子が着ていたコートだった。ベタベタに濡れていたが、鈴木にとっては最高のプレゼントだった。びしょ濡れのコートを着て家に帰る。鈴木は、満面の笑顔をしていた。


一部始終を見ていた早紀達は、最後の鈴木の笑顔が気持ち悪かった。
恵美や晴美、典子が合流する。
恵美「何? あいつの顔。キショク悪い。」
早紀「う〜ん、こんなはずではなかったのに。びしょ濡れで肩を落としながらしょんぼりと帰る絵を予定していたんだけど…。」
典子「でも、いいじゃん。あいつにとっては最高のプレゼントと思っているんでしょ。あのコート大切に仕舞っておくんじゃない?」
早紀「そうね。まぁ、これからも働いてもらわないといけないし、あいつが喜んでいるんならいいか。」
皆で、大笑いをしながら撤収する。

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