羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章45

支払いを済ませ2つのビニール袋に2本づつ分けて入れ両手に持って1Fへ上がった。そこにメールが来た。
メール「みんなの前でおっぱいを見せた気分はどうでした? ゾクゾクしたでしょ^^。じゃあ、次は、屋上まで来てください。ただし、エレベーターやエスカレーターの使用は禁止です。どうしても無理だったらメールをちょうだい。あなたの頑張り次第で助けてあげるわ。」
このビルの屋上は、14階の上にある。今からこの荷物を持って階段で14階の上の屋上まで登らなければいけない。加奈子は、気が遠くなる思いで目の前にある階段を見つめている。加奈子は、携帯をカバンに仕舞うと服がズリ下がらないように両手でビニール袋を持ち、階段で一歩一歩上がって行った。

清水は、予定時刻の15分も前にBビル屋上に現れていた。清水は、謎の女に昨日聞いたアドレスにメールを送る。
清水「今着いた。ここでどうするんだ?」
清水は、辺りに沢山の人がいるこの場所でどうやって接触してくるのか、警戒している。その姿が、妙に不審者だった。当然、清水の周りには誰も近づいてこない。
メール「入口の左手に奥ばった所にベンチがあるでしょ。ゴミ箱とベンチの間に紙袋があるから、それを持って暫く待ってて。また、連絡するわ。」
清水は、指定されたベンチを見つけ、足を進める。ベンチには、若いカップルが座っていたが、怪しい不審者が真っ直ぐに向かってくる姿に気付き、自然とベンチを立った。清水は、指定のベンチに座り、足元の紙袋を拾う。中を見て首を傾げている。
清水は、紙袋を持ったまま謎の女からの連絡を待った。

加奈子は、頑張って階段を上っていく。しかし、思うように進まない。か弱い加奈子では、手に持った荷物が重すぎるからだ。疲れて段々、肩が下がっていく、当然、服も開いていき胸の谷間が大きく覗く。最初のうちは、少し開いただけで直していたが、今の加奈子には直しているだけの余力が無かった。大きく開くまでは、足を進める事にしたのだ。しかし、それも直ぐの事。疲れは、加奈子の体を痛めつけ、徐々に前傾姿勢になってしまう。そうなると、開いた胸元は、更に大きく開く。真正面から見たら、きっと乳首が見えるはず。
突然、「あっ!」と云う声が聞こえ、加奈子は正面を見上げた。階段の上に中学生位の少年集団が加奈子に向かって指をさしている。加奈子は、手に持っている物を床に置き服を直していく。少年たちは、ビックリした顔をしたまま加奈子を見ていた。加奈子は、手荷物を持って、少年たちの横を急いで通り過ぎる。きっと見られたのだろう。加奈子はまだ、背中に視線を感じていた。
もう限界だと思い、階段の踊り場でしゃがみ携帯を取り出す。
加奈子「もう無理です。許してください。お願いします。」
直ぐに返事が来た。
メール「何処まで登れた?」
加奈子「4階と5階の踊り場です。」
メール「あら、よく頑張ったわね。じゃあ、助けてあげようかな。3階に自動販売機があったでしょ、そこの後ろに紙袋があるから、それを持って3階のトイレに入りなさい。」
加奈子は、せっかく登った階段を下りなくてはいけない。何の為にこんな事をしているのだろうかと、思ってしまった。仕方なく階段を下りていく。
この先は、さっき少年たちに見られた場所。もういないとは思うが、顔だけを出して下階を覗いた。安心した加奈子は、下階の3階に行く。3階は、大きな空間になっており休憩のスペースが設けられていた。奥にある自動販売機に向かい、手を裏に廻した。紙袋らしき物が置かれている。それを掴むと引き寄せた。加奈子は、カバンとペットボトルが入った2つのビニール袋と紙袋を器用に持って近くのトイレに急いだ。
トイレの個室に入ると鍵を掛け、荷物を台に置き蓋がされている洋式の便器に座った。
紙袋を取って中を開いた。中には洋服とメモ紙が1通入っている。
メモ「この服に着替えなさい。そうすれば、エスカレーターを使う事を許可します。今、着ている服は、さっきの休憩スペースにあるコインロッカーに仕舞いなさい。ペットボトルも1本だけ持って、残りは、一緒にロッカーに仕舞いなさい。」
メモと一緒に入っていた服を出す。加奈子は、目が点にになった。出てきた服は、上はピンクのブラウス、下は、ミニスカートだった。
加奈子は、悩んだ。しかし、もうこの荷物を持って階段を上がる事は出来ない。といって、脅迫者に懇願した所で許してもらえるとは思えない。加奈子は、覚悟を決めてこの服に着替えてみることにした。

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