羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章47

そこには、かなりの人がいる。しかも殆どが男達。それもその筈、この7階の休憩スペースには、喫煙コーナーもある。15階の屋上以外に館内では、ここだけにしかない為、他の休憩スペースより人が多く集まる場所でもあった。買い物に付き合わされた男達が時間を持て余して過ごす人も多く、かなり混雑していた。
加奈子は、体を隠しながら奥へと進んでいく。
ピッタリと張り付いたピンクのブラウスを大きく押し上げている胸にブラジャーの線は無い。太股も大胆に露出している。突然現れた美女に視線が集中する。
恥ずかしい気持ちを抑え、自動販売機まで来た。加奈子の動きが止まった。
――どうしよう、たしか自販機の下に隠してあると書いてあったけど、この恰好じゃ見れない……――
加奈子は、膝をついて姿勢を崩さないように自動販売機の下に手を入れる。しかし、何も見つからない。徐々に姿勢を下げていき手を奥へと伸ばしていく。徐々に加奈子のお尻が後ろに突き出されスカートが捲くれていく。最初の方は、左手でスカートを押さえていたが、体を支える為、左手が床についてしまう。さっきまで賑やかだったこの場所も、今では、店内のBGMしか聞こえてこない。
加奈子は、いつの間にか、鍵を探している右手の肘まで床につく程に姿勢を下げている。
奥の方で何か指に当たるものがあった。加奈子は、それを掴むと起き上がろうと顔を上げた。目の前に初老の男が加奈子の直ぐ横で加奈子と目が合った。初老の男は、何事も無かったかのように加奈子から離れていった。加奈子は、俯いて立ち上がろうとした。俯いた時に目に飛び込んできたのは、胸元が大きく開いており胸の谷間を曝していた。しかも、汗をかいたのか、ブラウス全体がしっとりと濡れてきており、生地が透けてきておっぱいがその存在を誇示していた。乳首の先まで見てとれる。
加奈子は、急いで起き上がって胸元を両手で隠した。しかし、今度は、お尻の方がスースーしている。あまりにも低い姿勢をした為、スカートが完全に捲くれ上がり、お尻すべてを曝していた。見る角度からは、加奈子の股間も見た者が居たかもしれない。起き上がった今でも、サイズの小さなミニスカートは、加奈子のお尻の上に乗っかっていた。顔を真っ赤にしている加奈子は、慌ててスカートを直し立ち上がって、ロッカーに向かい番号を探した。一番左の最上段。喫煙コーナーの真横だった。突然、携帯が鳴る。
メール「沢山の人に見られて良かったね。今度は、加奈子の大切な所も見えてたよ^^そのロッカーに入っている物を持って近くのトイレまで来なさい。さっき脱いだ服と3階のロッカーキーはそこにしまいなさい。」
悲しくて悲しくて仕方が無い。しかし、心臓の鼓動が速く、背中がゾクゾクして、今まで感じた事の無い感覚が加奈子を包み込んでいる。
加奈子は、ロッカーを開けて中の物を取り出そうと手を入れる。隣では、加奈子のおっぱいを除き見している男がいる。加奈子は、痛い位に視線を感じている。が、今では、自然とそれを受け入れ始めていた。
荷物を持って、さっき脱いだワンピースと鍵を仕舞う。鍵を掛け近くのトイレに行く。もう急ぎ足ではない。ゆっくりと、ゆっくりと。加奈子は、疲れすぎていたからなのか、はたまた、別の理由なのか、誰にも分からない。加奈子自身、考えることさえしていない。
トイレに入ると幸い誰も居ない。一番奥の個室に入った。洋式便座に座り、全身から緊張が解け力が抜けたのか両手を下にダラリと垂らしている。ミニスカートが座ったことによってずり上がり、股間の繊毛がライトの光を浴びている。加奈子は、隠す事もせず、ボーっと座るだけだった。光を浴びた繊毛は、少し輝きを持っている。
暫くして加奈子は、ロッカーから持ってきた袋を開けて中の物を取り出す。出てきた物は、スプリングコートとパンティとメモだった。

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