羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章50

メール「どうしたの? 云えないの? なんて云えば良いのか分からないのね。じゃあ、こういいなさい。<私、加奈子は、人に裸を見られると凄く感じちゃう変態の。こんな露出狂の加奈子の恥ずかしい姿を見てください。>って。じゃあ、頑張ってね。」
加奈子は、メールの<露出狂>というセリフにまた、背筋をゾクゾクさせた。
――私は、露出狂なの? 私は、変態?。――
加奈子「私、加奈子は、人に裸を見られると凄く感じちゃうへ、へ、へん、たい、です。こんなろ・ろ・ろしゅつ・………」
加奈子は、最後まで云えなかった。目の前では、女性達がメールを打ちながら話をしている。加奈子には、全く気付いていない様子だ。
メール「早くしなさい。」
加奈子は、ドキッとして、
加奈子「私、加奈子は、人に裸を見られると感じちゃうへん・たい・です。こんなろ・しゅう・きょう・の加奈子の恥ずかしい姿をみて・みて・見てください。」
加奈子は、詰まりながらも何とか最後まで言った。もう、心臓が飛び出しそうな位の緊張と得もいえぬ不思議な感覚が全身を包んでいた。しかし、その声は、女性達に全く聞こえないほどの小さな声量だった。
メール「もっと大きな声で言わないと分からないわ。」
加奈子は、勇気を持ってもう1度喋り出す。先程よりは、大きな声だったが、まだまだ聞き取れるような声量ではなかった。
メール「もっと頑張って。」
時折、優しく励まされるメールで、加奈子もついつい相手のペースに乗せられてしまっている。
加奈子「私、加奈子は、人に裸を見られると凄く感じちゃう変態です。こんな露出狂の加奈子の恥ずかしい姿を見てください。」
加奈子は、何度も言わされる内に、すんなりと言えるようになっていた。しかも、今度の声は、確実に女性にまで聞こえているはずである。しかし、女性達は、チラッと加奈子を見るだけで、またみんなと話をはじめる。
加奈子は、女性達と目が合った瞬間、足がガクガクと震えだした。しかし、直ぐに顔を逸らされたので、内容は理解されていないと思った。思わずその場にしゃがみ込んでしまう。
隣にいる女性達は、みんなで目配せをして、ニャっと笑っていた。そう、この集団こそ、加奈子を羞恥の快感の世界に招待した早紀達だった。加奈子に背を向けているのが早紀で、さっきからメールを送っていたのも、ここからだった。
加奈子の手に持っている携帯が鳴る。
メール「聞こえたようね。どう? 今の気持ちは? 最高でしょう? 今度は、もっと気持ちよくしてあげるからね。次は、フェンスまで行きなさい。そうね、北西の一番角が空いてるわ。そこまで行きなさい。」
指示されたフェンスを見つめ、徐に立ち上がるとフラフラした足取りで歩き出す。
フェンスの前まで来ると、一段と風が強く加奈子のコートを捲ろうとしてくる。

早紀は、清水にメールを打った。
早紀「お待たせ、私のペットの登場よ。向かいのKデパートの屋上にスプリングコートを着た女性がいるわ。何処からでもいいわ、その女性を見て。」
清水は意味が分からないまま、とりあえず移動する。
向かいのデパートの屋上を見る。デパートは、清水のいるビルよりも低い為、見下げて捜す。
清水は、直ぐに発見できた。天気の良いこんな日にコートを着ている女性は、向かいのビルからでも目立っていた。
――あれか?――
清水「あれがどうかしたのか?」
早紀「しっかり見ててね。」
早紀は、加奈子にメールを打った。
メール「じゃあ、空に向かってコートを開いて。爽快感があるわよ。」
加奈子は、言われるままコートの襟元を持つと徐々に開いていく。
角に居る為、フェンスを抱き込むようにコートを開くと屋上にいる人には見えない。
しかし、向かいのビルからは加奈子のセミヌードが丸見えだった。幸いにも、遠いために加奈子の顔までは確認できないだろうが、ヌードであるのは分かるだろう。
金っ子は、目を瞑ったまま肩幅よりやや広いくらいまで開いている。
加奈子のおっぱいを風が通り抜ける。加奈子の乳首が大きくなっていた。
もう体中が火照ってきて、心臓も大きく煽ってくる。しかし、加奈子は、メールで書いてあった通り、凄い爽快感を体中に受けている。さらに羞恥感、開放感、から来る快感を堪能していた。

清水は、ビックリした目で加奈子を見ている。見ていた女性が突然、コートを開いていくと思ったら、その下から着衣を着ていない裸体が出てきたからだ。周りを見渡すと、誰も気付いている様子がない。

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