羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章52

加奈子は、急いで出入り口に行く。しゃがんで傘立ての下に手を入れて鍵を取った。
立ち上がってドアを出ようとした時、誰かにぶつかった。
顔を上げると、さっきエレベーターでずっと一緒だった女性たちだった。
加奈子は、頭を下げて彼女達の横を通り過ぎる。
突然、コートの後ろが風でふわりと捲れ上がった。
加奈子は、急いで手を後ろに持って行き捲れ上がるのを防いだ。胸が無防備になりコートの前がはだけて、彼女達におっぱいを見せ付ける恰好になった。
女性1「あんた、まだやってるの?! 恥ずかしくないの?」
彼女達は、加奈子のこの姿をまた見せ付けられた事に腹が立ち、思わず声に出して加奈子に問い質していた。
加奈子は、俯くしか出来ず片手で胸元を隠そうとした。
しかし、彼女達の1人が加奈子の手を制しておっぱいをマジマジと見はじめた。
女性1「ちょっと何やってるのよ!」
女性2「面白いじゃない? こんな女か、なかなか見れないよ。」
加奈子「すいません、放して下さい。」
女性2「何よ! 自分から見せておいて。どうせ、ここでみんなに見せていたんでしょ?!」
加奈子「………違います。」
女性2「あらそうなの? じゃあ、今から見せてあげたら、露出狂さん。」
そういうと加奈子のコートを脱がせようと手をかける。
加奈子は、ビックリして彼女の手を払い階段を駆け下りていった。
彼女達が追いかけてくる。加奈子は、恐怖で躓きそうになりながらも階段を駆け下りロッカーに急いだ。
ロッカーに着くと鍵を開けた。そこへさっきの女性達が追いついた。
彼女2「どこ行くのよ!」
加奈子がロッカーから荷物を取り出そうとする手を払い、彼女が荷物を取り出した。
彼女2「へぇ、着替えるの?」
加奈子は、荷物を奪い返そうと手を出す。
しかし、周りにいる女性達が彼女の手を押さえつけた。
彼女2「じゃあ、着替えましょ。」
そういうと彼女はトイレの方に歩き出す。他の女性達も彼女の手を持ったままあとを付いていった。
遠巻きで見ていた早紀達は、急な出来事にどうしようかと思案している。

トイレに入ると、持っていたカバンも奪われて、加奈子とその女性の2人が個室に入った。
加奈子は、俯いたままどうして良いのか分からないでいる。
彼女2「さぁ、どうしたの? 早く着替えなさいよ!」
加奈子「あのぅ、荷物を返してください。」
彼女2「着替えるんでしょ、そのコートを脱いでからよ。」
加奈子は、渋々コートを脱いだ。脱いだコートで体を隠していると、コートを引っ張られ奪われてしまった。
加奈子は、「きゃっ!」と声を出してその場にしゃがみ込んだ。
突然、加奈子のカバンからメール着信のメロディが流れた。
女性はカバンを開けて携帯を取り出すと勝手にメールを開く。加奈子は、ジッとその様子を見るしかできなかった。
メール「どう? 可愛い子でしょ? 私のペットよ。あなたも興味ありそうね。良かったら、今から彼女の後についてきて。良い物を見せてあげるわよ。その為に早く着替えさせてやって。」
彼女は、裸でしゃがんでいる加奈子を見ながら考えた。
――仲間がいたんだ。ペット? もしかしてカップルが露出プレイを楽しんでいて、私達が邪魔をしちゃったんだ。あれっ? でも、ついて来てって、もしかして私達の前でもっと何かやってくれるのかな?――
彼女は、トイレのドアを開けた。加奈子は、目を見開いた後、外から見えないよう、彼女を盾にして隠れる。
彼女は、周りに人が居ないのをいい事に、ドアを全開にしたまま、仲間たちと話をしていた。
彼女2「ねぇ、これ見て。」
彼女1「えっ? どういう事?」
彼女3「もう止めようよぅ。怖いよ。」
彼女2「大丈夫よ。何かあったら警察呼べばいいんだから。」
彼女1「ほんと、千夏は好きだよね、こういうの。」
千夏「何言ってんのよ、綾子も好きなくせにっ!」
綾子「そんな事ないよ」
千夏「だって、、前に彼氏と外でヤッたって言ってたじゃん。」
綾子「あれは、その、違うよ。こんなヤツと一緒にしないでよねぇ。」
千夏「でも、興味あるでしょ?」
綾子「………、どうかな?」
千夏「で、博子はどう?」
博子「危なくない? 誰か分からないんだよ。危ないよ。止めようよぅ。」
千夏「もう、博子は怖がりだよね。大丈夫だって。ねぇ、綾子?」
綾子「そうだよね。でも、ちょっとだけだよ。」
千夏「決まり! いいよね、博子?」
博子「………、もう! 知らないよ。」
三人の話し合いは、もう少しこの女と遊ぶ事と結論が出た。
千夏はドアを開けたまま、女に手を頭の上に持って行くように命令した。
加奈子は、ジッとして動かない。

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