羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章68

奥の茂みで息を潜めている加奈子は、コートを着ながらもう1度木の方を見る。
初老のサラリーマンは、加奈子の方を見ながら、でも、通りの先の住宅街に足は進んでいた。
加奈子(見られた!! どうしよう!! どうしよう!! 見られた!!!)
加奈子は、全裸姿で脚立に登っている姿を見られたことにかなりのショックを受けていた。
しかし、加奈子の股間の下では雫が落ちて地面を濡らしていた。

30分程、ジッとしていて、気を落ち着かせていた。
落ち着いたところで帰ろうと立ち上がった時、ふと思い出した事があり携帯を開いた。
メール「あなたには、ペナルティがあったはずよ。今日はそのまま帰りなさい。って、言いたいけど、あまりにも可哀相だから返してあげるわ。この公園の何処かにあなたが着ていたコートを置いておきます。あなたのだって分かるように写真も付けて置きましたから。誰かに持っていかれる前に見つけなさいね。そうそう、今日使った縄やおもちゃは大切にするのよ。キレイに洗って保管しておくようにね。」
加奈子(写真? そんなの無かった。何処にあるの?)
コートのポケットもすべて確認する。しかし、何処にも見当たらない。
加奈子は、蒼白になりながらもう1度あの木の所まで行くことにした。
今度は、コートを着ているため堂々と木に近づくことが出来る。
加奈子は、散歩をしているような素振りで木の周りを歩き回り写真を探す。
加奈子「あっ?!!!!」
さっきはコートを取る事に一所懸命で気付かなかったが、コートがかかっていたその上に釘で打ちつけてある紙切れを見つけた。
写真のようだったが、木の下からでは何の写真かは分からない。
加奈子は、横で倒れている脚立を立てると辺りを見回した。
数人の歩行者がいて、公園内の加奈子を不審そうに見てくる者もいた。
加奈子は、そ知らぬふりをして木の前で佇んでいた。もちろん、ボタンの無いコートの前をしっかりと押さえながら。
しばらくして、人通りが途絶えたのを確認すると、急いで脚立に登り写真を見る。
間違いなく、加奈子の携帯に送られてきた写真と同じ物が写っていた。加奈子は、引き剥がすように写真を取ると脚立から下りて、公衆トイレの方に歩いていく。
歩きながらもう1度、皴シワにいいなった写真を見る。
加奈子(イヤらしい写真、よかった、誰にも見られなくて。)
写真を小さく丸めるとポケットに突っ込み公衆トイレの中に入っていく。
一番奥の個室を覗くと、今日、加奈子を狂わせていた縄や棒などの淫具が散乱していた。
一つひとつ拾い上げ、トイレ入口前の手洗い場で軽く濯ぐと水を切ってポケットに仕舞った。
鏡に映る自分自身の姿を見て驚いた。
加奈子(どうして?)
髪型は崩れ、化粧はほとんどとれていたが、紅潮した表情や目元が自分でもビックリするほどイヤらしいと思うほどの顔をしていた。
ある程度、手で髪型を整えてから加奈子は公衆トイレを出て家に帰って行く。

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