羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章74

それぞれのコメントの横には、それぞれの写メも掲載されている。
月曜日は、教室で、笑顔で上着とスカートを捲っている写真。
火曜日は、廊下で、笑顔で上着とスカートを捲っている写真。
水曜日は、運動場の隅にあるトイレで、ホットパンツを膝まで下ろし、体操服を捲っている写真。
木曜日は、公園のベンチで、笑顔で上着とスカートを捲っている写真。
金曜日は、女子トイレで全裸になって、カメラに笑顔を見せた写真。
どの写真も笑顔の貴子の顔が写っていた。
HPの書き方のベースは、早紀が指示していたが内容は貴子本人が書いている。
いかにも自分が楽しんでいるように。
もし、犯人の機嫌を損ねるような書き方をしていれば、何をされるか分からない。
最悪、このHPが公開されてしまう。
貴子が最も恐れている事だった。


早紀「自分で書いて興奮しているのね。」
恵美「部屋に戻って続きを楽しんでいるわよ、この子。」
美穂「ところで、今計画中のものはどうなってるの?」
早紀「う〜ん、ボチボチね。後は、あの石田がどこまで勇気があるのかが問題だから。うまく乗ってくれるといいんだけどね。」
恵美「何をさせたいの?」
早紀「露出の楽しさを教えてあげてるのよ。」


金曜日、学校の放課後、早紀は恵美を連れて公園の奥、池の反対側に来た。
恵美「何? どうしたのよ、こんなところに連れて来て?」
早紀「この辺りでいいわね。恵美、ここから池の中島が見えるでしょ。大きく松の枝が飛び出している根元辺り。あそこに向けて高感度カメラを仕掛けてほしいのよ。」
恵美「突然、何? そんなの持ってきていないわよ。」
早紀「明日の夜までに仕掛けてほしいのよ。明日の夜、あそこで野外エッチが繰り広げられるからそれを記録して欲しいのよ。」
恵美「野外エッチ!? 誰がするの? まさか、貴子の処女を破るの?」
早紀「だめよ! 貴子は、処女のまま熟女マ○コにするのが私の夢なんだから。もっと違う人よ。恵美も楽しみにしてなさい。それと、他の人には内緒よ。ここでは隠れる場所が少ないから、見つかる可能性があるからね。」
恵美「分かった。でも、ここからだとちゃんと映らないかもしれないよ。ちょっと遠すぎるから。夜、ここからだと肉眼はまず見えないし。対岸のあそこは駄目なの? あそこなら近いから確実に映せるよ。」
早紀「駄目! ここからじゃないと駄目なの! あの対岸は、この野外エッチを見学するギャラリー席なんだから。恵美は、野外エッチを撮るのと、見に来たギャラリーも一緒に映して欲しいのよ。」
恵美「わかった! ギャラリーって石田でしょ?!」
早紀「正解! だからここじゃなきゃ駄目なの!」
恵美「仕方がない。何とかしてみますか〜。」



土曜日の夕暮れ、石田はいつも通り野球部の練習をしていた。日も落ち、練習が終了する時間になった。
石田は、いつもより段取りよく片づけを済ませ部室で着替えをした。
他の部員達はお互い冗談を言い合っていたが、石田は、話に入らずそそくさと着替え、みんなに挨拶もそこそこに部室を飛び出していった。
そんな石田を、みんなは首を傾げて見送った。

石田は、走って例の公園まで来た。辺りを見渡し、誰も居ないのを確認すると、東口入り口から奥に入っていく。
公園の中は驚くほど、静まり返っていた。公園の中程にある中央広場には該当が点っており比較的明るい。しかし、広場から離れると外灯も疎らになり奥の方では外灯すら無い。
広場の前に大きな池があるが半分奥は暗くて何も見えない。池の中に小さな島があるのだが、木々に覆われていて存在すら分かりにくい。
この島には、広場から反対側に回ると島まで渡る為の端が架かっている。しかし、利用者のマナーの悪さから、行政がこの橋を渡って島に行く事を禁止している。
最近では、橋を渡るものも居なく、数ヶ月に一度、公園の管理組合が掃除に利用するだけだった。
人が入らない為、草は生い茂っているが適度に整備されており、知る人ぞ知る、癒しの空間になっていた。
石田は、池を回りこみ、島が一番近くに見える所で大きな帰途草むらにしゃがんで隠れた。
その姿を、近すぎず遠すぎず、静かに記録している早紀の姿もあったが、石田は、全く気付いていない。
石田がここに来て5分ほどが経った。石田も落ち着きをなくしてソワソワしている。
カバンを抱え、帰ろうとした時、静まり返っていた公園の奥から妖しい声が微かに聞こえた。
石田にも聞こえたらしく、持っていたカバンを置き、体を隠して声のした公園の池の中島をジッと見つめている。
島の奥の方から人影が見えてきた。ゆっくりと石田の方に近づいてくる。
島の波打ち際まで来た。
石田は、声を出しそうになったのを必死で堪えた。
見えたのは、男と女の姿だった。しかも、女の方は、スプリングコート一枚で、前が肌蹴たまま俯いて水際に立っていた。男は、上半身裸で、女が着ているコートの両サイドを持って、体がコートに隠れないようにしていた。
女「ねぇ、もういいでしょ?」
男「もうちょっといいだろう。大丈夫誰も居ないから。」
女「でも、恥ずかしいよぅ。」
男「ちゃんと濡れてるぜ。」
男は、不意に女の股間を後ろからそっと指でなぞった。
女「ああっ! 駄目!」
女は、その場でしゃがみ込む。
それまで俯いていた顔が、しゃがんだ拍子に石田に正面を向く形になり自分の素性をばらす結果となった。
石田「………?!! あ“!!」
女性の顔を見て思わず声を出しそうになった石田は、両手で口を押さえ言葉を飲み込んだ。

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