羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章81

先生が教室に来て授業が始まってからも、クラス中の女子を思い浮かべ、誰がどれだけ当てはまるのか考えていた。



土曜日。
石田と奈々は、約束通り隣り街の遊園地へと出かけた。
朝、会った時、元気のなかった奈々だったのが気になっていたが、今では元気いっぱいで石田も安心していた。夕方、隣接された海の見える公園を散歩しながら他愛もない話をして楽しい時間が過ぎて行く。
日も沈み、お腹を空かせた二人は、近くのファミリーレストランで夕食を摂った。
楽しい時間は、あっという間に過ぎてゆき、帰る時間へとなった。
二人は、電車で地元へ帰る。
地元の駅に近付くにつれ徐々に元気をなくしていく。
石田『どうしたんだろう? 朝も元気がない様な顔していたし。』
奈々は、そんな石田の目線を感じたのか急に振り向いた。
慌てた石田は、前を向いたが視線だけは奈々の方に行ったり来たり。
奈々「何? どうしたの?」
石田の台詞を先に言われた。
石田「いや、別に何でもないよ。」
石田は、意味も無く誤魔化そうとしていた。
奈々「変なの?」
石田『変なのは、奈々の態度だ!』
そう思っていたが、直接には聞けないでいる。
電車が駅に着き、二人は降り改札を抜ける。
バスに乗る為、ターミナルに向かう。しかし、
奈々「少し歩きたい。」
と言い、石田の服の裾を引っ張った。
石田は、奈々のこの何気ない仕草が可愛くて仕方がなかった。
石田「いいよ。でも帰りが遅くなっちゃうけど。」
奈々「大丈夫。母に帰りが少し遅くなる事を言ってあるから。」
そう言って、商店街の方へと足を向けた。
商店街の隅に小さな公園がある。
小さいといっても公園のスペースが小さいだけで、裏にあるお寺とつながっており、境内に通じる道には、ちょっとした林になっていて敷地自体はかなり広い。
奈々は、公園でお話をしようと石田の腕を取って中に入って行く。
入口横に大きな木が立っていた。


屋根付きのベンチがあり、そこに二人並んで座った。
相変わらず、俯いている奈々。
奈々が見つめる先に目を向けた。
奈々の膝から太股までが覗いている。
座った事で、只でさえ短いスカートが更に短くなっていた。
石田は、顔を赤くしながらもチラッ、チラッと見てしまっていた。
奈々も、そんな石田の動きに気付いたのかスカートを手で押さえ引っ張り少しでも隠そうとした。
石田は、バツが悪そうに横を向く。
そして、さっきから気になっていた事を聞いてみた。
石田「何か心配事でもあるの?」
奈々「えっ?! どうして?」
石田「いや、何か元気が無い様な気がするから……。」
奈々「エェッ! 気の、気のせいだよ。奈々は、元気だよ。」
腕を振ってアピールする。
石田「それならいいんだけどね。朝も何か考え事してるようだったから。」
奈々は、石田に気付かれていた事を知って慌てた。
奈々「そんな事ないよ!」
と言って、石田に笑顔を見せた。
しかし、心の中では動揺していた。
それは、昨日の夜の事だった。

金曜日の夜。
明日のデートが待ち遠しいのか、ニコニコ顔で髪を乾かす奈々。
突然、携帯からメールの着信音が流れる。
奈々は、携帯を開くと知らない人からのメールだった。
普段なら無視するのだが、このメールは無視出来ない。
何故ならば、タイトルは、
【奈々ちゃんの秘密】
と書いてある。
奈々は、不安ながらもメールを開いた。

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