羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第三章4

翌日、10時50分。加奈子は、時計の針を見つめながらソファに腰を下ろしている。
もう間もなく、また清水がここにやってくる。
加奈子は、ジッと待っている。

11時。玄関でチャイムが鳴る。加奈子は、サッと立ち上がると唯一着ていたバスタオルをを脱いだ。
腕で体を隠しながら玄関へと向かう。
また、チャイムが鳴る。3回続けて。
加奈子は、玄関先でしゃがみ昨日清水に挨拶をしたときのポーズをとった。
またまた、チャイムが鳴った。今度は、続けて2回。
足を大きく開き、指をしっかりと広げた状態。
加奈子「どうぞ、お待ち致しておりました。」
震える声で決められた台詞を言う。
ドアが大きく開き、カメラを構えた清水がゆっくりと入ってきた。
ドアが大きく開いたまま、加奈子の前に立つ。
加奈子「清水様、お待ち致しておりました。今日も私のこの淫らな体に調教してください。」
清水「まだまだ声が小さいな。次からはもっと大きな声でハッキリとカメラ目線で挨拶をしろ。」
加奈子「…はい。」
清水「毛の手入れはちゃんとしているようだな。よし、褒美をやろう、これを受け取れ。」
清水は、加奈子に紙袋を渡した。
加奈子は、受け取り袋を開けようとするが、
清水「礼はどうした?」
加奈子「す、すみません。ありがとうございます。」
清水「事在る事にすべて返事をしろ、いいな。」
加奈子「はい、分かりました。」
清水「よし、では礼を述べろ。ちゃんとした礼を述べろよ。」
加奈子「………、淫らな私にご褒美を頂きありがとうございます。」
清水「物足りんな。まぁよい、おいおい勉強しろ。」
加奈子は、袋の中を覗いた。一瞬何が入っているのか分からなかったが、よくよく見て加奈子は清水の方を見る。
清水「どうした? 遠慮せずに出したらどうだ?」
加奈子は、おずおずと取り出す。出てきた物は、大きめの首輪だった。
清水「どうだ? 嬉しいだろ。嵌めてみろ、そしてちゃんと礼を述べろよ。」
加奈子は、諦めたかの様に首輪のベルトを外して自分の首に嵌め、バックルを留めていく。
帯の幅が10cm近くあるので常に上を向く様にしないと苦しく、顔を俯ける事が出来ない。
加奈子「す、素敵な首輪を、ありがとうございます。大切にさせて頂きます。」
清水「そうか、大切にするんだな。よし、これからはその首輪を嵌めて出迎えろよ。」
そういうと加奈子を立たせて後ろを向かせた。後ろで手を交差させ、持ってきたロープで腕を縛る。加奈子は、されるがまま抵抗はしない。
手を固定したら、さらに別のロープを取り出し加奈子が嵌めている首輪のリングに取り付けた。そのロープを引っ張り部屋の中に入っていく。

あいさつの仕方、そして口と股間を使って一通りのサービスをする。
加奈子は、全身汗と白濁でベトベトだったが、唇奉仕で最後の一滴まで搾り出すように飲み込んだ。
咽ながらも正座をして、閉めの挨拶をした。



こんな調教が一週間程続たある日、
清水「例の物は届いたか?」
加奈子「はい。お持ちします。」
加奈子は、自分の寝室から小さな箱を持ってきて、清水に差し出す。

昨日、宅配便で届いたものだ。中身は何か聞かされていない。ただ“受け取り保管しろ”とだけ言われていた。
実際は、着払いだったので支払いもさせられていた。しかも、決して安い金額では無かった為、カードでの支払いをした。

清水は、受け取ることも無く、
清水「その箱を持って総合病院に行って鎌田という医者に渡せ。」
加奈子「……! えっ?? えっ!?」
清水「か・ま・た・主任という医者だ。後は、その男の指示に従えばいい。」
加奈子「どういう事ですか?」
清水「今言った通りだ。」
加奈子「お願いします、あの方は関係無いはずです。あの方を巻き込まないで下さい。お願いします。」
―――鎌田とどういう関係なんだ? たしか、コイツの勤先は、その病院だったはず。まさか……、へへへっ、こりゃ面白そうだ―――
清水「分かったな、明日必ず持って会って来いよ。」
そういうと清水は立上がり玄関に向かう。
加奈子は、項垂れたまま清水の後ろを四つ這いの姿勢でついて行く。
清水が玄関で靴を履く。
加奈子「どうしてもダメですか?」
清水は、何も答えない。
加奈子「お願い致します。どうか、どうか、あの方を巻き込む事だけは…、お願い致します。私は、何をされても構いません。お願い致します。」
土下座で清水にお願いをする。
清水「は? 何をされても構いません? だぁ? 当たり前だろ! お前は、俺の言う事を忠実に実行する。当然の事だ! 今さら自分の立場を忘れた訳じゃ無いだろうな!?」
加奈子「………、はい。」
清水「必ず行けよ!」
加奈子「…………。」
清水「返事は?」
加奈子は、目に涙を溜めながら小さく「はい。」と返事した。
清水「よし!」


コンコンコン。
「どうぞ」
加奈子「失礼します。」
部屋に入ると正面に大きな机があり、その奥に鎌田がいる。
加奈子「あの……。」
鎌田「しみず、だったかな。」
加奈子「!!……。」
鎌田「昨日、いきなり電話がかかってきたよ。まさか、こんな形でバレるとは…、しかも、全くの他人から…、僕は今、大切な時期なんだ。僕を巻き込むのは止めてもらえないかな。迷惑なんだよ!」
加奈子「!!」
加奈子(迷惑!? そんな言い方って…私だって…。)
鎌田「まぁいい、今日の勤務が終わったら、6階の簡易処置室まで来なさい。いいね。くれぐれも誰にも見つからないように。」
小箱だけを受け取ると加奈子を業務に戻した。
鎌田は、清水に連絡と取り次の指示を仰ぐ。

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