羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第三章10

しばらく車は、右折左折を繰り返し、たまにバックもしながらその度に車が大きく揺れる。
智子は、どこに連れて行かれるのか心配だったが、それよりもこの揺れでブランケットがズレ落ちないか、それが一番の気がかりだった。
ようやく着いたのか、車の振動が無くなった。エンジンが止まったようだ。
風が頬で感じられる。窓か、ドアが開いたのだろう。
智子「清水さん? ここは、どこ?」
「………」
智子「ねぇ? 聞こえているのでしょ?」
清水「大きな声を出しちゃ駄目だよ。」
ヘッドフォンを少し持ち上げて答えた。
清水「今から、いっぱいイカせてあげるから、お楽しみに。」
智子「ねぇっ? ちょっと待ってよ、ねぇってば!!」
清水「声には気をつけてね。誰かに見つかるよ。じゃあね!」
智子「…えっ? ここ、何処? ねぇ? 教えて、お願い。」
小さな声で智子は聞いた。しかし、返事は無く、またヘッドフォンを付けられた。


さっ!
智子「きゃっ!!」
智子の体が強張る。

そのまま、時間が流れた。



清水「どう? いい感じだろ?」
早紀「私たちがしようと思ってたのに、あなたがやってくれたのね。手間が省けて助かるわ。」
清水「あいつ、相当Mっ気があるぜ。ついついいじめてやりたくなってしまう。もっと早くに気付いていれば………。」
早紀「あら、残念ね、でも、もう駄目よ。来月には私に譲る話なんだから。今のうちに楽しみなさい。」
清水「ああ、分かってるって、その代わり、あいつの母親は頂くぜ。」
早紀「どうぞ、お好きなように。と言っても、もう好きなようにしてるじゃない。」
清水「まぁな、あのピアスはスゲーぞ、智子にもさせてやったらどうだ。」
早紀「ふふふ、考えておくわ。」
車から少し離れた高台。ここからだと、智子のすべてが丸見えだった。
早紀「みんな、見てみなよ。」
美穂、典子、晴美が早紀の近くに来る。
早紀「私の仲間よ。この人は、智子の彼氏さん、とりあえず清水さんって呼んでるけどね。」
清水「どうも」
美穂たちは、軽く頭を下げた。
早紀「今は、主に加奈子の面倒を見てもらってるわ。」
―――この人が、清水、………、危ない感じの人ね――――
美穂「あっ!」
智子の姿を見つけて三人とも驚いている。
早紀「あれもこの人の仕業よ。」
清水「おいおい、仕業って、お前がそうしろって言ったんだろうが!」
笑いながらおどけて見せた。
清水「せっかくだ、近くで見てやってくれ。」
四人が車に近づく。途中、駐車場入り口にいる麻衣達に高台で見張り役をするよう指示を出す。

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