羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第三章14

智子「お願い、もうやめて。許して。どうすれば許してくれるのですか?」
メール「どうぞ、警察に行ってくださっても結構です。」
―――警察? 行ける訳無いでしょ。あんな恥ずかしい写真を見られるなんて、ムリよ!! あぁぁ、どうしよう。。。―――
考えた挙句、彼氏の清水に相談する事にする。
清水に電話をかける。
しかし、出ない。
そう、ここ一か月程、研修とかで忙しいと聞いている。
出ないのは、知っていた。でも、電話せずにはいられない。
―――はぁ、どうしよう。。。―――

智子「お願いします。写真を処分してください。もう許してください。お願いします。」
しかし、返事が無い。

八月に入ってメールが来た。
メール「今から学校に来なさい。あなたのノートパソコンも持ってきなさいね。通信端末も忘れずに。」
―――ノートパソコン? 何をするの?―――
分からないまま、制服に着替えてノートパソコンを持って学校に行く。学校では制服の方が目立たないだろうと思ったからだ。

学校に着くとメールが来た。
あまりにもタイミングが良すぎる。きっと何処かで見張られていると気付いた。
メール「校舎B棟の屋上に行きなさい。」
智子は、屋上に行く。
屋上は、ものすごい日差しと、地面のコンクリートからの照り返しで物凄く暑い。
建物の日陰を探してそこに腰を下ろした。
しばらくすると、メールが来た。
メール「パソコンで次のURLにアクセスしなさい。」
本文の下にURLが載っている。
智子は、自分のノートパソコンを出して立ち上げる。
URLを打ち込むと、タイトルに

『智子の秘密の世界 〜私のすべて、見せて あ・げ・る〜』

その下には、目元こそ隠してあるけれど、智子の制服姿の写真が数枚載っていた。中には、パンチラ写真かなと思わせる物まであった。
カテゴリーには、Profile、Gallery1、Gallery2、My room、Diary、BBS、Link、Chat room、mail、shop、などがある。

―――な・に、これ?―――
また携帯がなった。メールだ。
メール「チャットルームに入りなさい。プライベートの方よ。今すぐにね。」

智子は、カテゴリーの中のチャットルームをクリックした。
画面が変わり、プライベートルームとフリールームが幾つかあった。
智子は、プライベートルームにマウスを合わせクリックした。
名前を入力する画面が出る。
智子は、分からないままトモコと入力し OK を押した。
画面が変わり文字が出てきた。

主人「ようこそ、待っていましたよ。」
トモコ「あなたは、誰ですか?」
主人「わたし? 私は、これからあなたの御主人になる者ですよ。」
トモコ「ふざけないで。こんなホームページまで作って。これは犯罪です。警察に訴えますから!」
主人「どうぞ、何でしたらこのホームページも証拠に提出するといいでしょう。」
トモコ「言われなくたってそうします! このホームページからあなたの事を突き止めれますからね!」
主人「ふふふ、あなたこのページの他の所見た? いいわ、今から一通り見てきなさい。そうそう、パスワードは、<tomoko 18sai>だから。では、また一時間後にここで会いましょう。」
主人と名乗る相手が落ちた。
智子は、一旦ホームページのトップページに戻る。
カテゴリーのProfile、Gallery1、Gallery2、My room、にはパスワードが掛かっている。
智子は、さっき聞いたパスワードを入力し、プロフィールを開く。
そこには、名前や住所、自宅の電話番号、智子の携帯番号やメールアドレス、学校名、クラスまで。
更に家族欄には、写真付きで母と貴子が紹介されている。
もちろん、母親の勤める会社名や携帯番号とメールアドレス、妹の貴子の学校名、クラス、携帯番号とメールアドレス。
更に下には、家の間取り図まで。
智子、貴子、母親の加奈子の一週間の生活習慣まで。
一番下には、智子、貴子、母親の加奈子がそれぞれ服を着たままの正面画像の横に身長や体重、スリーサイズ、などが乗っていた。
貴子と母の数字が正しいかは分からないが、智子の数字は正確に表示されていた。

智子は、体が震えだした。
震える手で画面を戻し、ギャラリー1をクリックする。

智子は、体が震えだした。
震える手で画面を戻し、ギャラリー1をクリックする。
そこには、小学校時代の写真や中学校時代の写真、修学旅行や家族旅行での写真など、家のアルバムにある写真が100枚を超える枚数がアップされていた。
―――どうしてこんな写真があるのよ。まさか、空き巣に入って…―――
次にギャラリー2を開く。
そこには、高校時代の写真が並んでいる。通学途中や学校での写真。
しかし、下に進むにつれ男と二人で歩いている写真が出てきた。
男は、清水だ。しかし、清水の顔は真っ黒に塗りつぶされている。
その先は、智子にも記憶に新しい、数々の羞恥写真が数え切れないほどアップされていた。
写真に写る智子には、一切のモザイク処理がされていない。羞恥に顔を赤くしている表情や体のすべてをそのまま晒している。
しかも、どの写真も嫌そうな表情が無い。
当然、清水との情事で撮られたものなのだから、嫌々ではなくどちらかと言うと自ら撮ってもらおうとしている姿だった。
―――どうして、こんなにも…、清水さん、もしかして…―――
―――まさかそんなはず無いよね、清水さん、どうしてこんな写真が…―――
智子の目から涙が出てきて止まらない。
涙を拭ってマイルームを開く。
タイトルに『オナニールーム』と書かれている。が、写真が無い。
トップページに戻ってダイアリーやリンク、ショップを開くがまだ何も無かった。
BBSには、
『見に来てくれてありがとう。でも、プロフィールや画像は特定の人にしか公開していません。どうしても見たいと言う方は、ここにメッセージを残して下さい。又は、メールでね。』
と、あった。
その下には、30件以上のメッセージがあった。

<可愛いですね、ぜひその素顔が見たいです。>
<もったいぶるなよ、とっとと公開しろよ>
<凄い、タイプかも、どうすればパス、教えて貰えますか?>
<お願いします、パスワードを教えてください。>
<この制服って○○高校の制服ですよね? ぜひパス知りたい!! 教えて!!!>

などなど、沢山のメッセージがあった。
さすがに高校名は間違っていたが、いずれバレるだろう。
智子は、急いでチャットルームに入った。
しかし、そこには誰もいない。まだ、一時間が経っていないのだった。
後、どれくらいなのだろうか、智子は頭を抱え祈るように主人が帰ってくるのを待った。

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