体罰
ドロップアウター:作

■ 6

「蓮沼さん・・・」
 佐伯先生は、怖い顔になって言いました。
「罰として、ここで服を脱いでもらいます」
(やっぱり・・・いや・・・恥ずかしい・・・)
 予想通りとはいえ、先生の言葉に私は声を上げそうになりました。
 胸がドキドキするのが、急に激しくなりました。心臓の「ドクドクドクドク」という音が、周りにも聞こえてしまいそうな気がしました。
 でも、私は悲鳴を上げるのを必死でこらえました。
(しっかりしなきゃ・・・悪いのは・・・あたしなんだから・・・もう・・・どんな罰でも受けるって・・・決めたんだから・・・)
 佐伯先生は、今度は具体的な指示を出しました。
「ここで、パンティだけの格好になりなさい。靴下も、ブラジャーも、全部脱ぎなさい」
 先生の声は、私を威圧しているようでした。
 辺りは完全に静まりかえっています。私にはもう、逃げ場はありませんでした。
「・・・はい」
 佐伯先生の言葉に、私はこれから自分がすることを自分に言い聞かせるために、きっぱりと返事しました。
 さすがに、手が震えました。手だけじゃなく、膝もがくがくいっています。
(いや・・・パンツ一枚なんて・・・ほとんど・・・裸じゃない・・・)
 でも、私は唇をきゅっとかみしめてこらえました。ここできちんと罰を受けることが、迷惑をかけてしまった部員のみんなに対する、せめてもの償いだと思うようにしたのです。
 私は、最初にブレザーを取って足元におきました。続けてネクタイも外して、脱いだブレザーの上に重ねました。
 足を片方ずつ上げて靴下も脱ぐと、足の裏に畳の感触が伝わってきます。
 素足になった時、私は急に寒さを感じました。
(裸になったら、きっと寒くて風邪ひいちゃいそうだなぁ・・・)
 私はつい、場違いなことを考えてしまいました。
 そして、私はゆっくりとブラウスのボタンに指をかけました。
「いや!」
 ブラウスの一番上のボタンが外れた時、同じ一年生の子が耐えかねて悲鳴を上げました。
 その子は今にも泣きそうな顔をしています。でも、私にはどうすることもできません。
 そのまま、ブラウスのボタンを一つ一つ外していきました。シーンとした部屋の中で、ボタンが外れる「プツン、プツン」という音だけが小さく聞こえました。
 ボタンを全部外し終えると、私は思いきって、ブラウスの前をばっと開きました。
 白いシミーズが人前に晒されて、さすがに恥ずかしさを覚えました。でも、動作を止めずに、両腕から袖を抜き去って、ブラウスもブレザーに重ねました。
 ブラウスを取った勢いで、私はスカートも脱ぎにかかりました。ジッパーを下げて止め金を外すと、スカートはあっけなく、私の足元にふわっと落ちました。
 スカートを足元から抜いてブラウスの上に重ねると、シミーズの裾から、私の白いパンツがのぞいているのが分かりました。
 その時、私は初めてみんなの視線を意識してしまいました。
(みんな・・・あたしが・・・脱ぐところ・・・見てるんだよね・・・)
 無意識のうちに、私の目は蒼井さんを探していました。
 蒼井さんは、少し悲しそうな目で私を見ていました。
 勢いで服を脱げたのは、もうここまででした。ここから先は、本当に恥ずかしいところをみんなに見られることになるのです。
(やだ・・・やっぱり・・・やだ・・・やだよぉ・・・恥ずかしいよぉ・・・あたしの・・・パンツも・・・胸も・・・見られちゃうなんて・・・)
 私の手は、すっかり止まってしまいました。
「何してるの?」
 佐伯先生がすかさず言いました。
「パンティ一枚って言ったでしょう。ちゃんと最後まで脱ぎなさい!」
 先生の剣幕に、私はビクッとしました。
「は・・・はい・・・ごめんなさい・・・」
 私はもう一度、自分に言い聞かせました。
(そうだよ・・・あたし・・・がんばらなきゃ・・・だって・・・忘れ物して・・・みんなに迷惑かけてるし・・・ちゃんと・・・責任・・・取らないと・・・)
 私は何とか自分を落ち着かせて、もう一度脱衣の動作を始めました。
 ごくんとつばを飲んでから、私は思いきってシミーズを脱ぎ去りました。
 私はとうとう、ブラジャーとパンツだけの格好になってしまいました。
(いやっ・・・恥ずかしい・・・)

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊