体罰
ドロップアウター:作
■ 8
「それでは、今日の活動を始めましょう」
佐伯先生の言葉で、ようやく部活動が開始されました。
部員は三つのグループに分かれて、それぞれ茶道の道具セットを囲むようにして座ります。もちろん、正座です。正座以外の座り方は、休憩時間以外は許されていません。
始めの一時間は、テキストを見ながら茶道の知識を勉強します。学校の授業と同じように、先生が黒板を背に話をします。
「今日は、23ページから・・・」
一斉に、部員達がぱらぱらとテキストをめくります。
佐伯先生はテキストを読みながら、時に黒板に板書します。部員はテキストを読みながら、メモを取ったり板書を写本したりします。
いつもなら、その輪の中に私もいるはずです。でも・・・今日は私にその権利はありません。
(痛い・・・痛いよぉ・・・)
正座した足がしびれてきていました。いつもよりも、しびれがくるのがずっと早いです。たぶん、固い床の上に座っているからなのでしょう。
私は今、ほとんどの衣服を脱がされて、パンツ一枚の格好です。本当に、すごく、恥ずかしいです。それに、とてもみじめです。
幸いにも、今は部員のみんなは先生に話に聞き入っていて、私の方を見ている人はいません。少しでも注意を逸らすと体罰の対象になってしまうので、みんな真剣です。
私は、両手を揃えて膝元にのせています。もちろん、私の胸はここにいる全員に見られてしまっています。
(いや・・・いやぁ・・・こんな格好でずっといるなんて・・・恥ずかしい・・・あたし・・・消えてしまいたい・・・)
心の中で、私は泣き声を上げていました。
でも、それを表に出したくはありません。
転校してきてまだ二ヶ月の私は、部員のみんなにずいぶん助けられてきました。先生のは関係なく、みんなに迷惑をかけてしまったことが、私は自分で許せなかったのです。
だからせめて、罰はきちんと受けたいのです。
だから、正座の時はずっときちんとした姿勢を保とうと思います。それが、どんなに恥ずかしくても。
一時間後、佐伯先生の講義が一通り終わりました。
「それでは、グループでの活動に入ってください」
先生の指示で、部員は一斉にそれぞれの活動を始めました。
(うぅ・・・痛い・・・痛いよ・・・)
私は、さっきから唇をぎゅっとかんで、正座の激痛を懸命にこらえていました。膝の骨が、自分の体重で固い床に押しつけられた状態で、骨がギシギシと押し潰されるような感覚に襲われていました。
それに、ここにきて寒さもひどく感じるようになってきました。夕方が近くなってきて、気温がどんどん下がってきているのが分かります。もう十一月で、制服を着ていても肌寒さを感じるようになってきています。それが、裸では・・・。全身に鳥肌が立って、肌がしびれるような感じです。
(苦しいよ・・・お願い・・・早く終わって・・・)
苦痛の叫び声を、私は一切飲み込んでいました。でも、それももうすぐ限界です。
裸を見られていることの恥ずかしさも、なかなか消えません。服を脱がされた直後ほどではなくなっているのですが、それでも、裸なのを思い出しては恥じらい、思い出しては恥じらい、という状況が続いていました。
私はさっきからずっと、佐伯先生の顔を見ていました。正座があまりにも辛いので、早くそれから解放して欲しいのです。
先生から、まだ体罰が残っていると告げられてはいます。でも、頬への平手打ちも、竹刀でおしりを打たれるのも、今の苦しみに比べたらずっと楽なように思えました。
私は苦しみに耐えながら、部員のみんなの活動を見ていました。
やっぱり、どこか雰囲気がおかしいのです。
いつもはもっと真剣に活動しているのに、この日はみんなどこかそわそわして、落ち着きがありません。佐伯先生の目つきが、みるみる険しくなっていきます。
(あたしのせいだ・・・)
私は自分を責めずにはいられませんでした。
そのうち、みんな私の方をチラッ、チラッと見るようになってきました。
(やだ・・・恥ずかしい・・・)
まともに体を見られてしまうと、急に羞恥心が強くなってきました。胸がドキドキして、体が熱くなってきます。
そしてついに、私は恥ずかしさに耐えられなくなってしまいました。
(ダメ!・・・)
私はとうとう、さっきまで膝元においていた手を胸のところに持っていきました。
乳房を隠しても、なかなか胸がドキドキするのを抑えることはできませんでした。恥ずかしさで、ますます体がほてってきます。
そのうち、私は腕の中で、体の状態が変化するのを感じました。
(やだ・・・ち・・・乳首が・・・!)
私は心の中で叫びました。
私の乳房の先端のピンクの部分が、普通の状態よりも大きくなってしまっています。たぶん、みんなの視線をまともに意識してしまって、緊張と羞恥心が強くなったせいだと思います。
乳房の中に芯が入っているような感じで、少し痛いような感じがしました。
実は、同じことは何度かあったんです。でも、ここまで体が強く反応してしまったのは初めてでした。
その時、私は手前に座っていた副部長の先輩と目が合ってしまいました。
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