体罰
ドロップアウター:作

■ 19

 涙がまたツーッと出てきて、頬の辺りを濡らしました。
 先生は、私の正面に回りました。
 部員のみんなの視線が遮られて、私はほっとしました。
(えっ・・・)
 でも、ほっとしたのは一瞬だけでした。
 先生は、急に私の前でしゃがみ込んだのです。
(やだ・・・先生!)
 私は危うく叫びそうになりました。
 先生の顔の位置は、ちょうど私の股間の正面にありました。液で濡れているアソコを、先生にのぞき込まれるような格好になってしまったのです。
 先生は、なかなか叩こうとはしません。またさっきみたいに、私の体を「観察」し始めたみたいです。
(先生・・・見ないで・・・お願い・・・早く私を叩いてください・・・)
 私は涙を流しながら、心の中で先生に懇願しました。
 先生はふと、私の顔を見上げました。そしてなぜか、一瞬にやっと笑いました。
 そして、ようやく物差しで打つ動作に入り始めました。
 私はそれを見て、安堵しました。
(良かった・・・これで・・・もう・・・最後だよね・・・)
 先生は物差しを私の股の下に入れました。そして、太ももの内側を物差しでなでるようにそっと触れました。
 物差しのひんやりした感触が伝わってきました。
 先生は、物差しで肌に触れたまま、ゆっくりとそれを上の方に持っていきました。それは、なんだかくすぐったいような感触でした。
 やがて、物差しは私の股間に触れました。
「あ・・・」
 その瞬間、私はドキッとしました。
 先生は、物差しを下に下げました。そして、手首に力を込めて、物差しを小さく振り上げました。
パシッ! パシッ! パシッ! パシッ!
 先生は四発続けて、太ももの内側の両側を打ちました。
 今度も痛みはかなりありました。でも、これが最後だと思ったので、我慢できました。
 先生が物差しを股の間から抜いてから、私は「うぅ・・・」と小さくうめき声をもらしました。
 次の瞬間、全身の力が一気に抜けました。
 重心が前の方に傾いたかと思うと、私は膝から崩れ落ちました。
「いやぁ・・・!」
 部員の誰かの悲鳴が、遠くに聞こえたような気がしました。


 私はしばらく、畳の上に正座のような姿勢で座り込んでいました。
 意外にも呼吸は落ち着いていました。肩や胸を少し上下させて、私はゆっくりと息を吸い込みました。
 佐伯先生は一旦私から離れて、戸棚に包帯と物差しを戻しました。
 それから、また私のところに戻ってきました。
 先生は、私のすぐ手前にしゃがみ込んで、かすかに笑みを浮かべました。
「蓮沼さん・・・今まで、よくがんばったわね」
「・・・はい」
「どんなに辛くても、最後まで責任をしっかり取ろうとしたあなたの態度、本当に立派だったわ」
「・・・はい」
 私は、先生の言葉の真意が分からず、単純な返事を繰り返すことしかできませんでした。
(先生・・・何が言いたいのかな・・・それより・・・早く・・・手首の包帯ほどいてくれないかな・・・)
 私はそんなことを考えながら、先生の顔を見つめていました。
 すると、先生はまた口元に笑みを浮かべました。
「蓮沼さん・・・あなた、少し興奮してたでしょ?」
「えっ・・・」
「裸見られて・・・変な気分になっちゃってたんじゃないの?」 
「あっ・・・!」
 先生の言葉に、私はすぐにピンときました。先生は、さっき私の体がおかしくなっているのを見ていて、今、そのことを言っているのです。
「あ・・・あの・・・あれは・・・」
 私は慌てました。
「ふふ・・・何もあれぐらいでうろたえる必要はないのよ」
「えっ?」
 先生は妙なことを言いました。
「安心なさい。誰も、あなたがやらしい子だなんて思ってないから。・・・乳首がたったりアソコが濡れたりするのは、別にやらしいこと考えてなくてもあることなんだから。すごく恥ずかしいことさせてたはずだから、当然よね」
 先生の言葉に、私は何も返すことができませんでした。意外にも私をかばってくれていることはうれしかったのですが、私の体に起こっていたことを言われて、余計に恥ずかしくなってしまったのです。

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