売られた姉妹
横尾茂明:作
■ 性奴隷4
二人布団に入った…夕紀は雅美を抱いて目眩に耐えながらポツリポツリと語り始める…。
「雅美…今からお姉ちゃんの言うこと聞いて…驚かないで…」
「佐伯さん…知ってるよね、あの人からお金…300万も借りてるの…」
「その借金…お姉ちゃんのお給料では…とても返すことが出来ない…」
「ごめんね雅美ちゃん…、お母さんの入院費を何とかしなくちゃと…そればかりに夢中で高利なお金に手を出してしまったの…ぅぅん、お姉ちゃん騙されたの、あのオジサン…私たちの体が目当てだったの、返せないこと分かってて…」
「雅美ちゃん…男の人が体目当てって意味…もう分かる?…」
「私たち…あのオジサンからもう逃げられない…」
夕紀はここまで語り…こみ上げる嗚咽に耐えられず妹の胸に縋った。
「お姉ちゃん…嘘…嘘でしょ、やだ…そんなこと雅美ぜったいイヤだ…」
「ねっ警察! 警察に行こうよ…ねえあした警察に行こうヨー」
「………………」
夕紀は取り乱す妹を抱きかかえて謝った…「雅美…私が馬鹿だったの…私がバカだったのよー」嗚咽で片言になりながらも妹に言い聞かせるように語り継ぐ…。
「警察に訴えれば借金300万は高利として減額はされるかも知れないけど…元本の200万近くは返さなくちゃいけないの…」
「自己破産も考えたけど…そんなことを黙って見過ごすような人じゃないの…すごく怖い人…」
「お姉ちゃん、佐伯さんて…暴力団の人なの?」
「うぅん…わかんない…でもすごく怖い人」
「逃げたら本当に殺されるかもしれない…」
「お姉ちゃん…私怖いよ…やだよーどうしたらいいの」
「お姉ちゃん…オジサンに痛いことされたの? どんなことされたの…ねえ教えて」
「………………」
「逃げようよ…遠くに逃げようよー…お姉ちゃん、もう泣かないでよー」
「私…貯金が10万円ほど有るの…ねえ…これで遠くまで行けない?」
「……そんな大金どうして雅美ちゃん持ってるの?」
「そんなこと…今はどうだっていいじゃない!、それより逃げることを考えてよ」
「雅美ちゃん…遠くに逃げても生活が出来ないじゃない…少しばかりのお金じゃ住むところも借りれないし…働くと言っても身元保証が無いんじゃどこも使ってくれないの…」
「それと…雅美ちゃん、中学はどうするの? 戸籍の転出入をしなくちゃ次の学校へは転校出来ない…もし転出入届けをしたら戸籍抄本から逃げた先が分かっちゃうじゃない…」
「私たち……ホームレスしか道は…もう無いの……」
「…お姉ちゃん…私たち…これから…どうなるの…私怖いヨー」
雅美は夕紀に抱きついて震えながら泣き出した。
「オジサンに…雅美ちゃんにはぜったい手を出さないようお願いしてみるから…安心しなさい、雅美ちゃんは何も考えないで…今まで通りにしてればいいの…」
「でも…それじゃ…お姉ちゃんは…どうなるの…」
「私は…もう慣れたから……」
「慣れたって…お姉ちゃん・何されたの? …ねえオジサンに何されたの」
「Hなこと…されたの? …お姉ちゃん教えてよー」
「………………雅美…もう寝なさい」
夕紀は言うべきじゃなかったと後悔した…何の解決にもならないことを妹に言い…不安だけを与えてしまったことを悔やんだ。
(あのオジサンにどんなにお願いしても…)
(雅美も私と同じ目に遭う事が分かってるくせに…)
(安心しなさいなんて…なんて馬鹿なことを…)
(いっそ…借金返すまで…私たち性奴隷として生きていくのよって言った方が…)
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