売られた姉妹
横尾茂明:作

■ 妹の秘密2

部屋の中は薄暗く…目が慣れるまで数秒を要した。
白い物が部屋の中央で蠢いている…暫くして全裸で四つんばいになった姉のお尻と分かる、そしてあのオジサンが姉のお尻に何かしている…。
黄色い太い棒を姉のお尻にねじ込んでいたのだ…。

姉は…「きついです…そんなのもう入りません…ゆ…許して下さい」と喘いでいる…。
太い棒の挿入が痛いのか…お尻が逃げる、そのたびにオジサンに尻を叩かれて泣いていた…。

雅美の心臓は凍った…2年前の自分とラップし、正視することが出来ず…夢中でアパートの階段を駆け下りた。

何処をどう走ったのか…気付いたら安倍川堤のベンチに座って泣いていた。

(可哀想なお姉ちゃん…借金したばかりにあんな恥ずかしいこと事されて…泣いている…でも…私は何もしてあげられない…怖くて…怖くて逃げだしてしまった)

(私の時も…そうだった…給食費が払えないばかりに…あの日…あんなことに…)


二年前の秋だった…お母さんはスーパーを休みがちになって…お給料がどんどん減っていき、毎月大家さんに罵声を浴びせられ米つきバッタのように頭を下げていた。

大家さんが口汚く近所にふれ回るから、ある日…近所の民生委員の人がうちに来た。
生活保護を受けなさいと母に言ってきたが…母は頑なに拒んで、「まだ働けますから結構です」と帰してしまった…生活保護を受けると姉は高校をあきらめなければいけないと近所のおばさんが言ってたからだった…。

雅美は給食費と学習費をもう半年も払っていなかった、姉もそうだったと想う…。
教頭先生に就学援助や教育扶助といった補助金があるからお母さんに相談してみなさいと…何度も言われた。

ある日、担任の佐藤先生に雅美さんだけ残りなさいと言われ掃除が終わった教室で一人ポツンと待っていた。

暫くして佐藤先生が少し怒った顔で教室に入ってくる…

「雅美…お前いつになったら給食費を払うんだ! 来週保護者向けに会計報告をしなくちゃならんのよ…プリントに「未納者1名」とは…人権保護とやらで書けんのよ…ったく!」

「この学校はなー、担任が責任をかぶって自腹で穴埋めしなくちゃならんのよ!」
「あほらしー、なんで俺がお前の肩代わりをしなくちゃならんのだ、もうやてられねーぞ」

「先生…ご…ごめんなさい…お母さん体が悪くて…でも…でも年末までには…」

「ふん!、そんなあてにもならん話…もう遅いんだよ、俺が先ほど泣く泣く埋めさせてもらったよ!、クソー…イライラするなー、どうしてお前みたいな貧乏人がうちのクラスにいるんだ、これじゃー卒業までの半年分も俺が払うのかよー…信じれんぜ…ったく」

「そうだ…お前いまから俺のうちに来い、借金の穴埋めに少しは俺のために働いてもらわなきゃ気がおさまらん、わかったな!」
「それがいやなら俺が立て替えた金…あしたもってこいや!」

(みんなといるときはあんなに優しかった先生…今は別人みたいに怖い人…)

「先生んちに…行きます…」
「何か先生のお手伝いをさせて下さい…それで許してもらえるなら…何でもします」

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