売られた姉妹
横尾茂明:作

■ 妹の秘密3

車は駿河区の方向に向かう…。
まだ4時だというのに秋の夕日が山々を染めていた。
車は寂しい山道に入っていく…雅美は少し不安になってきた、車に乗ってから先生は怒ったような顔で口をきいてくれなかったのだ。

暫くして山が開け…小さな町に着いた、先生は車をコンビニに着けて山ほどの買い物をしてきた…。

「一週間分の買いだめだよ…」ポツリと初めて口を開いた。

5分ほどしてあぜ道横の古い家の軒先に車を寄せた、先生に促され…荷物を半分持たされて車を降り、ガタガタした引き戸をこじ開けて中に入る…。

「その辺りに座ってろ…」佐藤先生はぶっきらぼうに言って廊下奥に消えた…。
雅美は部屋の中を見回す…雑誌が乱雑に散らばり、机の上の灰皿には吸い殻が山積みになっていた。
先生以外…人の気配は無かった…。

テレビ横に沢山のビデオとDVDが積まれている…ビデオの背ラベルはいかがわしい題名のものばかりで…少女が裸で微笑んでいる写真が貼り付いているものも有った。

雅美は目のやり場に困惑し…座った横の雑誌を何気なく表に返し…慌てて裏返した。
ロリータポルノとかかれており…自分と同じ歳くらいの裸の少女が布団の上で縛られ、脚を折り曲げて横向きに寝ている写真の表紙だったからだ…。

(なんか…怖い…先生って変な人なんだ…雅美もう帰りたいよー…)

廊下に足音が聞こえ…スーツ姿からジャージに着替えた佐藤先生が部屋に入ってくる、先生は散らばった雑誌を無言で片づけながら…私のスカートから出たくるぶし辺たりを目を細めて時折盗み見をしている。

「お前…この本を見ただろー…」先生の唐突な物言いに雅美はたじろぐ…。

「そうよ俺は子供が大好きなんだ…フフフッ、好きと言っても…、まっ、いい意味じゃねーけどな…」

「俺はなー今年…お前のクラスになって正直喜んだよ、お前みたいな子供を前から探してたんでね、俺の好みにピッタリと言うか…その躰…尋常じゃねーもんな、幼い可愛い顔しやがって…背丈は女子高生くらいときやがる、本当に…たまんねーぜ」

「お前んちに金が無いことが幸いしたつーか、ヘヘヘッこうしてじっくり見ることが出来るつーもんだ…」

「お前…俺に目を付けられてたの…前から知ってたんだろう、フフフッ」
「だからノコノコと俺に付いて来たんだよな…」

先生の乱暴な言い方に雅美は愕然とする…。
また…その豹変ぶりに危険な匂いを本能が教え、不安で胸が押しつぶされそうになるのを必死で耐えた…。

雅美には正直…佐藤の言うことが分からなかった…以前から佐藤先生の粘着質な視線を感じてはいたが気にもとめなかったのだ…。

「私は…ただ…先生のお手伝いをしようと来ただけです…何すれば給食費を許していただけるか…はっきり言って下さい…」

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