売られた姉妹
横尾茂明:作

■ 恥ずかしく並べられて1

何事もなく数日過ぎたある日…雅美が通う中学で集団風邪が流行り…。
「本日は午前中で授業を終え全生徒は帰宅するように…」と校内放送が有り…週末まで学校閉鎖となった。

雅美は思わぬ事で4日も学校が休みになり嬉しいとは思ったが…姉とのぎこちない関係のまま…4日も顔を合わせねばならぬことは、正直…憂鬱であった。

昨日までの長雨から一転し今日は雲一つ無い晴天…しかし天気とは裏腹に雅美の心は暗く憂鬱に曇っていた…。
雅美は自然と安倍川の堤に足を向けていた。

いつものベンチに座って弁当をひらく、美味しそうに配置された中身を見て、優しい姉にいつも辛く当たってる自分が本当に情けないと思う…。
しかし、自分を子供扱いする姉にどうしても反発してしまう…。

(お姉ちゃんに…2年前の私の身に起こった禍を包み隠さず話せばもう子供扱いは出来ないはず、でも…私の口からは絶対言えない…)
(あんな恥ずかしいことを…小学生の私が先生にされてたなんて…)

(あぁーどうしたらいいの、お姉ちゃんだけ一人苦しんで…私は何も知らない子供を演じ続けるの?)
(あぁぁ私、どうしたら……)

(やっぱり黙っていよう、あの事を言ったらお姉ちゃんもっと苦しむもん、だから帰って謝ろう…今まで拗ねてたことだけでもすなおに謝ろう…)
雅美はそう思うと少しは心が晴れた。

雅美は弁当を食べ終え家路についた…。

(こんなに早く帰って…オジサン今日は来てないかしら、もし来てたらどうしよう…)
(また逃げるの? それともお姉ちゃんばかりに恥ずかしい想いをさせず、私も姉と一緒にオジサンの好きなようにして下さいって言うの?)

雅美は借金300万の肩代わりが姉一人の体で済むはずがなく、いずれか自分にも手が伸びることは時間の問題だと…内心覚悟はしていた…。

(お姉ちゃんはどんなことしても私を守ろうとするに違いない、でも…そのことでお姉ちゃんはどんな酷い目にあうの…)
雅美はそれを考えるとまた憂鬱に落ち込んでしまう…。

アパートの階段を上る、ドア前に立ち雅美はそっとしゃがんで鍵穴から中を覗く…。

(あっ…)

鍵穴の向こうで白い物が蠢いている、真っ白な姉の裸体だ…。

オジサンが姉のお尻の後ろに膝立ちし腰を淫らに振っている、そして何か黒い物が姉のお尻に出入りしているのが見えた…。
(あっ、お姉ちゃんSEXされてる…どうしよう…)

雅美は凍った様に動けなかった、姉の顔は布団に埋もれ…お尻をオジサンに掴まれ前後に揺り動かされている、そのたびごとに姉の悲痛な泣き声が漏れてくる。

雅美の躰は脚から震えが始まり、徐々に体全体に広がっていく…震えは恐怖のためなのか、それとも……。

雅美は見て見ぬふりをしてまた逃げるか、それとも部屋に入るか数秒のあいだ逡巡する、しかし…心がまだ決まっていないのに雅美は何かに引き込まれるように、鍵穴に鍵を挿入していた…。

「ガチャ…」
雅美はドアを開ける、明るい光りが部屋中に広がり、一瞬凍り付いた時間が流れた。

ドア音に振り返った姉の目と合う…。
「イ…イヤーーーー…………雅美ちゃん! 出て行って、出て行くの!」
姉のつんざくような悲鳴が響き、オジサンから逃れようと姉は必死に藻掻く…その姿はコマ送りの描写の様にぎこちなく、雅美の視野は白く濁っていった…。

「オジサン離して! 妹には見られたくないの、こんな恥ずかしいところ…妹だけには…」
「雅美ちゃん、出て行ってよ。あぁぁ…見ないで…見ないでヨー…お願いだから…」

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