売られた姉妹
横尾茂明:作

■ 売られて7

「藤井さん、あの子ら…どうでした、お気に召しましたか?」

「うん…気に入ったよ、しかしお前なー…蛇の生殺しみたいなことしおってから…憎い野郎だ」
「んん…でっ、…彼女ら、いくらだ…いくら払ったらいいんだ」

「クククッ…そうきましたか…」
「……じゃぁ言いますよ…一人なら2千万、二人なら3千万!…どうですかい」
「…………」

「佐伯君…豪勢にふっかけるねー…」
「豪勢だなんて…あの二人にはたっぷりと元手をかけていやすからねー」
「それとあれほど従順にするにも相当手間が掛かっていますんで…ハイ」

「ふぅん…3千万か……」
「まっ安かないが、あれほどの上玉なら…しかたがないよな…」

「しかし二人はなー…この歳で二人はきついよ、クゥー迷うなー…」
「それと下の子は14才だと言ったなー…て言うことは中学生かー…」
「クーッ…ロリータねー…こりゃ本当に迷うよ」

「藤井さん即決して下さいとは言いませんから…二三日ゆっくり考えてくださいな」

「んんーじゃぁそうさせてもらうか…だけどなーこの件、私が決めるまでは絶対他には持って行くんじゃないよ!」

「はいはい…お任せ下さい、もし藤井さんに買っていただけなかったら…あの二人は俺の愛玩にしますよ、クククッ」

「じゃぁ電話連絡待ってますので…おやっさん、宜しく」

佐伯は隣の部屋を開け…「お前ら、用意は出来たか、帰るぞ」と声を掛けた。


3人は表通りまで歩いてタクシーを拾った…。
姉妹は暗い表情で車窓に流れる街の風景を物憂げに見ている…。
佐伯は…姉妹を知らぬ男の前で裸にし、恥ずかしい思いをさせたことが彼女らの心にどれほどの苦痛を与えたのかを考えた…。
借金という呪縛に絡みつかれ…身も心も男の前にさらけ出さねばならない恥辱…。
(しかたがない…今日明日は…遊ばせてやるか…)

そのままホテルに直行し、今夜は姉妹を飽きるまで陵辱してやろうと佐伯は思っていたが…運転手に渋谷に行ってくれと方向を変えた。
渋谷の西部前でタクシーを降り…3人はパルコの方向にブラブラと散策する…。

最初二人は俯いて歩いていたが…華やいだ雑踏と人の多さに気づき…次第に明るい表情を取り戻していく…。

「俺はそこの喫茶店でコーヒーを飲んでるから…お前ら欲しい物が有るだろう、遠慮せんで買ってこいや」と言って夕紀に10万円を握らせた。
「全部使ってもいいが、5時までには戻って来いよ」と言い二人を送り出す。

(さてと…藤井のオヤジ…どう出てくるか…)
(まっ…二人とも欲しいとは言わないだろうな…)
(夕紀か…雅美か…)
(夕紀は…残して貰いたいが…)
佐伯は…どちらかというと夕紀の方が好みだった、自分が女にしてやったという想いと…あの清楚で愁いに満ちた表情と雰囲気…無理矢理性器を開かれ悲しげに泣く様がたまらなかった…。

(……いい歳して……子供に惚れたか…)

二人はパルコに入り…目を輝かせて各ショップを見て回る、夕紀は欲しかったスクエアネックのコクーンドレス、ノーカラーのボレロジャケットなどを手に取って見比べる…そして値札を見ては溜息をつく…。
雅美はプリントTシャツやリボンモティーフのバックストラップのパンプスを見て回る…。

「お姉ちゃん、10万円も有るんだから…思い切り使おうよ…」
「だめ!…そんなに使ったらオジサンになに言われるか怖いもの…」
「だから…ねっ雅美、一つずつだけにしようよ…」
「もう…お姉ちゃんたら…」雅美は不満顔を隠さず…姉から1万円だけ貰い靴のショップに向かう…。

二人は袋を下げてパルコを出る…時間は4時半であったが喫茶店に向かった。

不意に後ろから肩を叩かれビクンとして夕紀が振り返る…。
「君たち…少し時間有る?」
「先程から君たちのこと見てたけど…スゴイね、もう何処かのプロダクションに所属しているの…」
唐突な質問に二人はたじろぎ後ずさる…。
「ちょっとお茶でも飲みながら…お話きいてくれないかなー」

「いえ…結構です、連れが待ってますから、ごめんなさい」
二人は逃げるように喫茶店に向かって小走りになる…。
男も小走りにいつまでもついてくる…。

喫茶店に入りオジサンを探す…。
「何だお前らもう帰ってきたのか、早いじゃねーか…」

「だって変な人がしつこく追いかけてくるんだもん…」二人は佐伯の後ろに回り肩を掴む。
その怯えを含んだ姉妹の声に佐伯はキッと入口近くを睨む、その入口には半身を覗かせ店内を物色する男の顔が有った。

「あの野郎!」佐伯は立ち上がり肩を怒らせてその男の方向に向かう。

入口でなおも物色する目は姉妹を捜し当てる、その鼻先に佐伯が立ちふさがった。

「おい! 俺のスケになんか用かい」

「………………」

「用がねーんなら失せろ!」
佐伯の底知れぬ表情に男はたじろぎ…「お連れさんが居たとは…こりゃどうも…」

男は逃げるようにドア外に消えた…。

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