優等生の秘密
アサト:作

■ 49

 気分は最悪だった。成績で、初めて京介以外の人間に負けたというのもその要因の一つだったが、得体の知れない男に自分の卑猥な行為を見られたという事が、聡子にとっては耐え難いことだった。
京介に先に帰るように言われて、家に帰ってきたが、母親の姿は無かった。かえって、この方が良かったかもしれない。聡子は心の中で呟いて、自室へ戻った。部屋着であるTシャツタイプのワンピースに着替えると、いつものように机に向かった。これ以上、貢太に成績で劣るわけにはいかない。だが、強迫観念にも似た感覚があるにもかかわらず、まったく勉強する気になれなかった。
 そのまま、時間だけがどんどん過ぎていく。いつもなら、問題集を10ページは解いているぐらいの時間が過ぎている。それでもやはり、勉強する気力はなかった。
 ふいに、玄関のチャイムが鳴った。こんな時に、誰だろう。そう思いながらも、表情を取り繕って玄関のドアを開けた。そこにいたのは、京介だった。
「京介、来るなら来るって連絡……」
「聡子……」
 玄関先だというのに、京介は聡子を抱きすくめた。その突然の行動に、聡子は困惑した。
「京介……!?」
 聡子が京介を呼ぶが、反応は無い。京介は聡子を抱きすくめたまま家の中に入った。そして、ドアを閉めるなり、聡子をその場へ突き倒した。以前にも乱暴にされたことはあったが、この日は異常だった。
「京介、どうしたの……!?」
 突き飛ばされた時に擦り剥いたのだろう。掌がじわりと痛んだ。だが、そんな事は構っていられなかった。にじり寄ってくる京介の表情に、いつもの知的な顔はなかった。
 また、親の事で何かあったんだ。そう思うと同時に、身の危険を感じて、聡子は部屋へ逃げ込もうとした。だが、京介は聡子の脚を掴んで自分の方へ引き寄せると、聡子が逃げられないように覆いかぶさった。
「京介、やめて!」
 聡子が抗議するが、京介は聞く耳を持たない。ワンピースの裾を乱暴に捲り上げると、露わになった白い肌に舌を這わせる。
「んん……っ!!」
 身体のラインをトレースするかのように、京介の舌が、指が、聡子の身体の上を這っていく。その度に、聡子の身体を痺れるような快感が駆け巡る。だが、玄関に鍵がかかっていないという事が、聡子に不安を感じさせていた。
「お願い、するなら、私の部屋で……っ!?」
 言いかけた聡子の口を、京介の唇が塞いだ。唇を吸い上げ、口内に舌を滑り込ませ、そのまま蹂躙するかのように舐めまわす。歯茎を、歯列を、唇の裏を、まるで味わいつくすかのように舐めつくし、京介はようやく唇を離した。
「……京介……ねぇ、本当に、どうしたの……?」
 口の端から二人の唾液が混ざり合ったものが糸を引いていたが、聡子はそれを拭うことすら忘れていた。先ほどから何も言わず自分を貪る京介が心配でならなかったのだ。
「部屋、行きましょう。ここじゃ、母さん帰って来るかもしれないし……」
「なんだ、そんな事を気にしてたのか。大丈夫、帰って来ない。」
 言うなり、京介は聡子の顔に跨った。そして、ジッパーの間から顔を覗かせた怒張を、無理矢理聡子の口にねじ込んだ。
「んぐっ!? んんっ、んーーーー!!」
 聡子がくぐもった悲鳴を上げるが、京介は構わず、緩やかに腰を振る。逃げようとする聡子の髪を掴み、その頭を前後に動かすことも忘れない。聡子の喉の奥を深く抉っていることには気付いていたが、それがたまらなく心地よかった。
「んっ、うっ!」
 聡子はむせ返りそうになるが、口の中に満たされた肉棒が、それすら許してはくれない。嘔吐感に襲われながらも、必死でそれに耐え、京介が満足できるよう舌を動かす。
「聡子……っ!」
 ふいに、喉の奥に苦味が広がった。聡子はそれを必死で飲み下す。ゆっくりと引き抜かれた肉茎は、まだ硬さと大きさを保ったままだった。ようやく息苦しさから解放された聡子は、京介から顔を背け、乱れた呼吸を整えようとした。
 だが、今度は下着の上に亀頭があてがわれる。淫らに濡れて、僅かに透けて見える亀裂の上をなぞるかのように動かされ、聡子は背中を仰け反らせた。
「あっ……っ!」
「欲しい?」

 焦らすように、まるで風が肌を撫でていくかのような強さで先端を擦りつけながら、京介が尋ねる。このまま首を縦に振ってしまいたい衝動に駆られるが、聡子のプライドと理性がそれを許さなかった。
「欲しいけど、ここじゃ、嫌……それに、今日は……」
「欲しい、か。」
 言うなり、京介は聡子のショーツを乱暴に引きちぎった。布を裂く音に聡子が驚いた時には、聡子の蜜壺に、京介が無理矢理に自身をねじ込んでいた。
「あ、あぁあっ!!」
 濡れていても、まだ慣らされていなかったそこは、京介の侵入を拒んでいた。だが、それが逆に京介の形を聡子にまざまざと認識させていた。
「あ、ああ……だめ……っ!」
 ゆっくりと奥へ侵入してくる肉棒の、浮き上がった血管の一本一本までが、聡子の中を犯していく。襞の一枚一枚まで、余す所なく蹂躙されているかのような感覚に、聡子は言い知れない快感を覚えていた。
「ああっ、あんっ、あぁあん!」
 徐々に速くなるストロークに、聡子は理性が揺らぐのを感じていた。このまま、快楽に溺れてしまえばいい。そんな声が聞こえた気がした。
 京介は、聡子をうつ伏せにさせると、腰を掴み、聡子の腰を一気に引き寄せた。
「うあああっ!!」
 最奥まで突き上げられる感覚に、一瞬意識が遠のく。京介は何度か根元まで引き抜き、奥まで一気に突き上げるのを繰り返すと、今度はそれをゆっくりとしたストロークで繰り返す。膣内を隅々まで擦り上げられる感覚に、聡子は甘い声を抑える事が出来なくなっていた。
「あぁ、あぁあっ……京介……っ……」
「聡子、好きだもんな……ゆっくり擦り上げられるの……」
「そ……なこと、んっ……なっ……いぃっ!」
 緩やかな快感が、聡子を攻める。だが徐々にそれにも慣れてきて、もっと大きな快楽を身体が求め始める。それを見計らったかのように、京介が再びストロークを速めた。
「あぁあっ! あぁっ!! ああんっ!!」
 急速に、膣内が収縮していくのが分かる。京介の形が先ほどよりずっと明瞭に把握できて、それが聡子を絶頂に導こうとしていた。
「も、もうっ……だ、め……ッ!!! あぁあああっ!!!」
 背中を思いっきり反らせて、聡子は身体をがくがくと痙攣させた。その振るえが京介を追い詰めていく。
「く……っ……おおぉっ!!」
 京介が獣のようなうめき声を上げた。その声で、遠のいていた聡子の理性が蘇る。
「……中はダメ……ッ!!」
 聡子が叫んだ瞬間、京介が体内で大きく震えた。そして、熱い奔流が膣内を満たしていく。
「あ、あぁ……そんな……っ! 赤ちゃん……できちゃう……」
 聡子は京介から迸ったものが体内を満たす感覚に、初めて恐怖を覚えていた。危険日に避妊をしなかったことはあったが、中出しされたことはなかったのだ。

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